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鮮やかと見間違える程に美しく、
鮮やかと見間違える程に美しく、#08
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屋敷に戻り、真澄の部屋へ行くとあの強烈な匂いは治まっていた。思わず安堵する。元々は浪人だったから、町で普通に暮らす人間達よりは痛みに慣れているけれど、そう何度も自分を斬りつけるような事は出来ればしたくない。
「まーちゃん、ただいま。入っていいか?」
真澄のからの応答を待って、障子を開けて中へ入る。
「……おかえり、伊吹くん。そ、その……もう、僕の匂いは……平気?」
「……ん。とりあえず今は、な。でもいつ匂いきつくなるか分かんねーから、話してる時とかはちょっと距離取らして?」
そう言って、伊吹は真澄から少し距離を取りながら、一色家で話して来た事を言える範囲で真澄に伝える。今日から薬の量を増やす事、時期が来たら一色家に出向く事などだ。
「……僕が一色様のとこへ? だけど……創くんが許してくれるかなぁ……」
「…………」
長く軟禁状態にあるからなのか、真澄は暗い表情で視線を落とす。今までの事を考えれば、分からないでもない。
「まーちゃんは、何も心配すんなって。一色様のとこだけじゃなくて、普通に外出れるようにもしてやっから、楽しみに待ってて」
それから数日、伊吹はなんとか真澄の発情期を耐えきる。
今まで不定期に来る、得体の知れない発情期に怯えていた真澄も、伊吹という〝理解者〟を得た事、夜な夜な男達の相手をしなくてよくなった事で、少しだけ表情も明るくなってきたようだ。発情期が終わっても、薬は手放せなかったし、伊吹が創に取り合ってくれているようだが、外出も出来なかったが、それでも真澄は嬉しかった。
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