転移は猟銃と共に〜狩りガールの異世界散歩

向けられた悪意と狂戦士

４１．下準備

次の日から『ケルベロス』対策のため、私たちとイズマさん、師匠とベネリさんは別行動。


私たちはイズマさんと、クエストを淡々と受けて、試験対策実施中のフリを続ける。
私たちの面倒は、イズマさんが見ている。何も変わらない、『ケルベロス』側の思惑には気づいていない、といった態度をとることに。


ベネリさんは、単独でニースの森にとんぼ返り。
見かけはいつもの配達だけど、ポーション類や、状態異常を引き起こす薬など、魔獣暴走スタンピート対策グッズの準備に走る。


師匠は、主にギルマスのロイドさんとの連絡と情報操作。
師匠がギルマス部屋に入り浸るのは、よくある事のため、怪しまれることは無いと。堂々と作戦会議って、ある意味すげぇ。
やはりギルド職員の中にも『ケルベロス』側と繋がりを持つ者もいるらしく、今回それも含めて一掃を考えていると。

外部協力として、治療院の先生もお願いしているみたい。
師匠達とロイドさんの旧知の仲。
何かあった時は、この治療院に逃げ込む。怪我人のフリをして、面会謝絶など対応可能。

対策の一環として。
私とカン君は、こっそりＣ級ライセンス昇格となりました。

もし、魔獣暴走スタンピートが発生した場合、前線に居られるのはＣ級ライセンス以上。Ｄ級ライセンス以下は街に戻り、後方支援と決められているため、Ｄ級のままだと、師匠達と分断されてしまうと。

きっと、奴らの狙いはそれもある。
魔獣暴走スタンピートを起こしても、私を手に入れる事が出来ると高を括っていられるのは、その決まりがあるから。
もし、それにより私たちが怪我をしたとか、という話があったら、監督責任でギルマスや師匠達に難癖をつけられる、とかそんなんだろう。


昨日のザイルさん同伴練習で、条件は満たしているので、昇格は問題なし。

但し、この昇格は、副ギルマスのザイルさんが直接処理したため、他のギルド職員は全く知らない情報となります。

その他、ギルマスのロイドさん経由で、冒険者ギルド本部や、タルマンの実家である、隣領の領主へ連絡を取っている模様。詳細は不明。

そんなこんなで、着々と『ケルベロス駄犬』包囲網が準備されていっております。

野犬ならぬ、駄犬掃討。

師匠だけじゃなく、ロイドさんもザイルさんも嬉々として取り組んでいるところを見ると、皆さん腹に据えかねていたんだなぁ、と。

一気にカタをつけたいね。



＊＊＊



さて。

5の月22日火曜日に、私たちは冒険者ギルドで登録実施。
次の日、3馬鹿と対峙。

昇格試験（囮）は、1週間後29日火曜日。

この間、私たちは、囮らしく、大人しくいつも通りの生活を送っております。
駄犬からのアプローチは何もないまま、3日経過。

その間に、ギルド職員からどこで試験を受けるのか、とシツコく聞かれたので。
予定場所を丁寧に教えてあげました。
モチロン、魔獣暴走スタンピートが起こっても、迎え撃てる場所なんだけど。
それに気づいてないんだよなー、この職員。

とりあえず、試験場所なんて、ギルド職員は聞かなくても良い事なんだけどね？
試験官が分かっていれば良い事であって。
あくまで予定。ソコにアグウルグが居るとは限らないし。
終わったあとに、場所を報告すれば良い訳で。

聞いてくるだけ、怪しいって言ってるようなもんだよねー。

顔は覚えたよ？後でザイルさんにチクっとくから、安心してね、おねーさん２人に、おにーさん。