転移は猟銃と共に〜狩りガールの異世界散歩

柴田 沙夢

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向けられた悪意と狂戦士

37.拒絶と憎悪(タルマン視点)

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※  胸糞注意



**************



ーーー この女は、今何を言った?


『ケルベロス』の3人は、二の句を告げられず、固まる。

全員がA級ライセンス持ちのクラスAパーティーになってから、面と向かって逆らう者などいなかった。

忌々しい、ファーマスを除いて。

タルマンの魔力で抑えれば、大概は言う事を聞いた。
魔力量の圧と、魅了の魔法を乗せれば、特に女は勝手にイッて、どうにでもなる。

先程から、自分の魔力を乗せている。
この黒髪の女からダダ漏れている魔力と、柔らかい肌の感触が、今までにないほど心地よい。


それなのに。


目の前の黒髪の女は、ナニを感じることもなく、全てを拒否した。


「ーーー 何を、言っているんだい?僕たちはクラスAパーティーなんだよ。君にとって、魅力的な申し出だと思うのだけれど。」


動揺を隠し、色男としての笑顔と声色で、再度尋ねる。
目の前の女は、屈託のない笑みで、言葉を紡ぐ。


「そんなー。私はD級ですから、A級の皆様の足元にも及びません。冒険者として最高クラスにいらっしゃる皆様の、お仕事の邪魔になってしまいますもの。勿体ないお申し出です。ですからーーー」


こてん、と首を傾げ、申し訳なさそうな顔をする。


「私が、皆様と並び立てるような時が来ましたら、またお声かけ下さい。」


ペコリ、と頭を下げて、呆気に取られる自分達の間をすり抜けていこうとした。


「まっ・・・!」


思わず、手を伸ばす。

『ノガシテナルモノカ』

拘束するための魔力が、女の身体を包もうと伸びる。

その時。


「リンさん!!」


男の声と共に、魔力が弾かれた。
見ると、大きな黒い影が、女を引き寄せていた。

もう1人の黒髪の男。
ーーーしかもあれは、ファーマスの黒鎧。


「あ、カン君。終わった?」

「終わった?じゃ、ないっスよ。」


心配そうな声をかけながらも、目線はこちらに向けている。
鋭い目つき。
コイツも魔力量が多いのだろう。
意図的に壁を作っている。

自分の魔力の手が、その壁に阻まれる。

ーーー コイツもか。忌々しい。


「皆様。」


壁の向こうで、女が柔かな笑みをみせる。


「お声かけ、ありがとうございました。A級のクエストは難しいのでしょう?皆様のお力でも達成できないものが沢山あるようですもの。頑張ってくださいね。
私達も、いつかは皆様と並び立ち、クエスト消化に貢献できるよう頑張りますね。」


にこやかにそう言って、女は黒鎧を連れて離れていく。
途中、ファーマスの犬・・・イズマと合流し、そのままギルド会館を後にしていく。



「くくく・・・っ」


初めてだ。
ここまで相手にされない、というのは。
笑いが込み上げる。
とても丁寧な言葉遣いの裏にあった、完全たる拒絶。

 
「あははは。・・・あの目、どうやって汚してやろうか。」


興味が、憎悪に変わる。


「あの魔力、さぞかし良い声で哭くんだろうなぁ。」


あのガードを、崩して。組み敷いて。
期待も、希望も、なにもかも壊して。


「パートナーとやらも、ファーマスも邪魔だなぁ。」


笑いながら呟く自分に、仲間達が同調していく。


「6日後に、アイツらのC級昇格試験があるらしいぜ。あの時と、同じ方法でヤレばいいんじゃね。」


ガンスが事もなげに話す。
当たり前のように。


「そうそう、商業ギルドで話題になってる、付与つき料理。考案者彼女らしいよー。良い金蔓だよねー」


チッタが、新たな情報をくれる。


「あはは。そっかー、抱き潰しても使い道あるのかー。ますます良いね。」


笑いが込み上げる
こんなに楽しいのは、久しぶりだ。
あの黒髪を手に入れてーーー新しい、玩具に。


「じゃぁ、6日後押し付けプレゼントかなー。2体・・・じゃ、緩いか。3体くらい流してやろうかな。
魔獣暴走スタンピートでも面白いかぁ。」





**************





もっと、気持ち悪さを出したいのですが・・・どうもイマイチ。
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