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異世界ネイチャーライフ(?)満喫中
22.ギルドへ行こう
しおりを挟むというわけで。
ある晴れた昼下がり・・・ではなく、荷馬車に揺られて街にやってきました。
モースバーグ国ファルコ領ミッドランド
領内でも大きめの街で、物流の拠点となっており。冒険者、商業ギルド、共に大きめの支部があるとのこと。
街はぐるりと高い塀に囲まれて、魔獣や他国の侵略に備えている。
やはり大きな門があり、門番さん達が入国?管理みたいなことをしている。
身分証みたいなモノは私たちはないため、師匠が身元引受け人として手続きを進めた。
身分証が無いと銀貨1枚かかるとの事。
貨幣は、
銭貨、銅貨、銀貨、金貨の順。
10円、100円、1,000円、10,000円という感じ。物価も日本と同じ感じ。
金貨の上には白金貨があり、100万円相当みたい。
で、お金を払い、一応犯罪歴がないかの確認との事で、何やら半透明な石板に両手をのせる。
無反応だったので、問題なしと。
何か有れば、石が赤くなるとのこと。
うーん。指紋照合みたいな感じなのかなぁ?
無事にチェックが終わり、街に入る。
・・・ホントに日本じゃないんだなぁ。と実感。
まぁ、テーマパークには、こんなコンセプトの所があった気もするけど。
あぁ。そう思ったら、北の大地南方面の、マリンパークさんにも似てる気がする。
一泊予定で来ているし、用事が済んだら街中ぶらつく時間もあるとの事なので、ちょっと楽しみ。
この世界の服装は、良くあるRPGの中世ヨーロッパ風。
女性は普通はロングスカートみたいです。
そんな中、私は体のラインに沿った、狩人用のズボンにシャツです。それに、イサカ爺さんに直してもらった、イズマさんのお下がり胸当て、手甲、脛当て、といった様相。
コッチに来てから、伸ばしっぱなしな髪をポニーテールにしてるけど。
この世界の女性にしては、165cmは背が大きい部類みたいなのと、胸当てのおかげで、一見男の子です。
カン君も、師匠のお下がりの黒っぽい鎧一式をイサカ爺さんに直してもらって装着です。
薄手だけど、丈夫で動きやすい。
髪も黒で、鎧も黒。
うん。何か強そうに見える。
イメージ、カブトムシ?
でも良いのかなぁ。ウチら駆け出し冒険者だよ?お下がりとはいえ、2人とも上位冒険者な訳で。良いものだよねぇ。
不安になって聞いてみると。
「良いんだよ。お前ら十分に一般レベル以上だから。」
何かトンデモナイこと言われたー
「ホントにね。C級ライセンスまで一気に行くでしょ。」
ベネリさんまでー
ん?飛び級とかできるの?
「基本、F級ライセンスからスタートだけど、採取依頼や討伐依頼の物を、今まで貯めてた中から出せば良いよ。」
在庫一掃セールですか。
ベネリさん、サラッと言うけど。
それ、絡まれる予感しかしないヤツ。
「それに今回のレシピの件もあるからな。どうとでもなる。」
わぁ。師匠のお顔が凶悪に。
かっくいー
「リンさん。師匠と一緒に悪い顔になるのやめて。」
カン君から横槍。
大丈夫。
おねーさん、君が絡まれたら、どう助けようかしか考えてないw
寧ろテンプレ楽しんじゃうよ?
「あ、あとな。とりあえず俺らのパーティー『グレイハウンド』に所属って事にしておくからな。」
「了解です」
「トラブル避けですか?」
「まぁ、そんなトコだな。黒髪は目立つし、素性知られるのも面倒だろ?」
「デスねー」
師匠の説明に、カン君と頷く。
今の状態では、師匠達以外と組むのは得策ではないし。
どうせなら、カン君と2人の方が自由度高い。
「基本、お前らだけで十分動けるから、このパーティー所属でも、2人行動で構わん。《例の事》も調べるなら、旅も必要だろうしな。」
そう言って、師匠は私とカン君の頭をポンと撫でる。
《迷い人》の話。
この国や、必要なら別な国まで旅しながら、手がかりを探したい。
そんな話を、師匠は覚えていてくれた。
至れりつくせり、ありがとうございます。ホントに師匠は男前だなぁ。
「まぁ、ウチのパーティー所属ってので、降って湧くトラブルもあるだろうけどねぇ。」
ベネリさんがまた、不穏な事を言う。
なるほど。
それは、例の冒険者のヒガミですね。
それについては、丸っと返り討ちする気マンマンですよ?
「リンさん?自らケンカはダメだよ?」
うん?
自らは行かないけど、降りかかる火の粉は払うよ?
公務員窓口、理不尽な物言い対応には慣れてるけど。
鬱憤は溜まるんですよ、人ですから。
ただ今、個人事業主ですからね。
馬鹿にされたら、あんまり抑えないかもしれないってだけ。
しかも、お世話なってる師匠達の事。
弟子は優秀であること示さないとねー?
***
そうこうしているうちに、ギルド支部会館へ到着。
家や商店は1~2階建だけど、ギルド会館だけは3階建みたい。
冒険者ギルドと商業ギルドは隣あっていて、物資関係の卸しとかは、手早いらしい。
商業ギルドは主に商人や職人、各種小売業取りまとめ。
問屋も兼ねてて、それぞれの店から発注された物を、冒険者ギルドにまとめて依頼したりとか。
土地建物販売とか。
新規製造などのレシピ販売・・・特許みたいなモノの扱いとかもらしい。
冒険者ギルドは、商業ギルドからの各種物資の調達や、護衛。
時々起こる魔獣被害に対して討伐対応。
街中から、直接ギルドに上がるちょこっとした依頼など多岐に渡る。
で。
話合いは商業ギルドで、とのこと。
15時の指定時間にはまだ早かったけど、私たちの新規登録と、見学も兼ねて中で待つ事に。
重厚な扉は、時間内なら開け放たれている様子。
師匠達が先に進み、私たちはその後を付いていく。
広々としたロビーに、5箇所受付カウンター。用途ごとに分かれていて、看板もぶら下がっている。
あ、識字の件ですが。
見たことない文字だけど、なぜか読める自動翻訳状態。
書こうとすると、こちらの文字に直して書いてくれる、自動書記です。
チート仕様ありがとうございます。
因みに、意識すると日本語書くことも可能。無論こちらの人は分からない文字になります。
師匠が、新規登録カウンターに行き、何やら話し始めてる。
私とカン君はキョロキョロしながら、イズマさん、ベネリさんと一緒にいる。
周囲の目が何となく気にはなるけど。
とりあえずはおとなしく。
すると、師匠がこちらを向いて手招きしたので、カウンターへ向かう。
「これに、名前と年齢書け。」
師匠から紙を渡される。
見ると、【商業ギルド登録申請書】とあり、名前、年齢、所属パーティーを記載するようになっている。
師匠が書いてくれたのだろう、パーティーは既に『グレイハウンド』と記載されていた。
私とカン君は、それぞれに名前と年齢を記載し、受付のお兄さんに提出した。
再度、犯罪歴がないかの確認と、門と同じ石板に両手をのせる。
問題なしとの事で、登録料を払うと、ギルドカードが作られた。
半透明のキャッシュカードみたいな感じ。
ギルドカードは冒険者、商業ギルド共通らしく、入金確認なんかもカードで行うと。
身分証、キャッシュカードが一本化みたいな感じですかね?
冒険者ギルドに加入すると、カードに一本色付きの線が入り、冒険者ライセンスで色が変わるとのこと。
ま、詳しくは後程。
「ニースの森での薬草採取依頼関係は、冒険者ギルド通さずに、直接商業ギルドで取り扱うこともあるからな。一応コッチも登録しておいた方が煩わしくなくて済む。」
師匠が説明してくれる。
なる。
冒険者ギルドで依頼を受けるのが通常だけど、急ぎだと直接やり取りもあるって話ですね。
まずは、第一段階終了。
「あ、ファーマスさん、もういらしてたのですね。」
爽やかな女性の声が聞こえ、顔を上げると、メガネをかけた理知的美人さんがこちらに来た。
「あぁ、ギルド入会手続きしていた。」
「では、こちらの方々が、『例の』関係者さんですね。私、商業ギルドミッドランド支部の副ギルドマスター、レインと申します。」
そう言って、美人さん・・・レインさんはお辞儀をしてくれる。
わぁぉ。『O・MO・TE・NA・SHI』の人みたいだ~
所作が綺麗。受付の鑑だなぁ。
「『グレイハウンド』所属、リンと申します。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「同じく、カンです。よろしくお願いします。」
私たちは揃ってお辞儀を返す。
名刺が無いのが、何か落ち着かない。
「ご丁寧にありがとうございます。申し訳ありません。お時間早いですけど、もう入ってもらってもよろしいでしょうか?」
ちょっと困った顔をして、レインさんは私たちを奥へと誘導した。
「なんかあったか?」
「すでに、当ギルマスと、冒険者ギルドのギルマスのロイド氏、薬師グループ代表のパッレシート氏、飲食店グループ代表のザグリス氏が揃っておりまして。・・・中々に険悪なのですよ。」
レインさんは、大きなため息をつきながら嫌そうに話す。
「うわ、めんどくせぇ。帰っていいか?」
「それはご勘弁願います。」
師匠の半分冗談に、真顔で応えるレインさん。
おぉぅ。ブリザードが見える。逆らっちゃいけない人だ。
「チッ・・・まぁ、コッチとしては方針は決定してるからな。ソッチが飲むか否かだ。リン、カン、準備いいか?」
師匠が私たちを見る。
なーんか課長会議に放り込まれる感じだなぁ。
ま、今更なんで。心の準備は整っておりますよ。
「良いですよー?」
「大丈夫です。」
カン君も覚悟したのか、大きく息をつく。
それを見て、師匠は頷き、イズマさん達に声をかけた。
「イズマ、ベネリ。ちょっと行ってくる。先にいつもの宿取っといてくれ。17時過ぎても戻らなかったら、先に飯行ってくれ。」
「了解。飯はサグラギ亭に行ってますよ。じゃ、2人とも、頑張って?」
ベネリさん達は、ひらっと片手を上げ、ギルドを出て行った。
「じゃ、行くぞ。」
「「はい。」」
私たちは、レインさんと師匠に付いて、商業ギルドの奥へ向かった。
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