4 / 393
狩りガールの日常
3.狩りの朝
しおりを挟む3時50分に目覚めた私は、眠い目を擦りつつ、熱いシャワーを浴びる。
握っておいた梅と鮭フレークのおにぎりを各2個電子レンジで温める。
ポットには最近お気に入りの烏龍茶をホットで入れる。水はペットボトルでいいや。
魚肉ソーセージと眠気覚しの鮭トバも詰め詰め。何か不測の事態用にエネルギー系ゼリーに携行食、飴、チョコも入れる。
朝早くて湧き上がる面倒くささも、準備しているとちょっと楽しくなってくる。
髪を一纏めに縛ると、動きやすい登山用アウターに、寒さ対策のウインドブレーカーを着る。これに、ダニ避けに手拭いを首に巻き、猟友会のオレンジベストを羽織り、帽子を被って完成だ。
準備しておいた物品を再度確認。
使い古したバックパックの中には、軍手、ビニール手袋、使い捨てカイロ、解体用ナイフ、毛焼き用ガスバーナー、ビニール袋、麻紐、一応ヘッドライトと、小型LEDライト、あんまり使わないけど一応十得ナイフ、災害用アルミシートも一応。一応品で荷物が増えるんだよな、と苦笑いしながらその他にも色々詰める。
小型無線機は肩紐に装着。
ポーチの中には、虫除けのハッカスプレー、リップにハンドクリーム、日焼け止め、ウエットティシュに汗拭きシート、カットバン、鏡 etc.一応、女の子だし・・・ね。
目に鮮やかなオレンジ色の猟友会ベストには、ポケットがいっぱいついてるから、空弾回収用に一つ空けて、各種免状、スマホに小地図にコンパス、ポケットティシュと革手、のど飴数個etc.色々入れた。持ちすぎ、って夫に笑われたのを思い出す。
そろそろ出発時間になってきたので、弾ロッカーから、今日使う分の弾を出し、弾帯に弾を入れる。散弾メインだけど、鹿用にスラッグ弾も3発セット。残りは箱ごとバックパックに。
ガンロッカーの鍵を開けて、鎮座する2丁の猟銃を眺める。
一つは、自分のセミオート、レミントンM11-87
もう一つは、夫の形見の上下二連、ウィンチェスター
どちらも、元を辿れば猟友会の大先輩達のお下がりだ。
「やっぱり、こっちかな。」
そっと手を伸ばし、ウィンチェスターを手に取る。
「・・・今日もよろしくね。」
そっと撫でながら、独りごちた。
レミントンにチェーンをかけ、ガンロッカーを閉めて、鍵をかけると、仏壇がわりの写真立てに向かい手を合わせる。
さて、ハードカバーに包まれた相棒と、荷物を持って出発。
「・・・行ってきます。」
誰もいない玄関に呟いて、扉を閉めた。
11
お気に入りに追加
1,009
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。



貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。

幸子ばあさんの異世界ご飯
雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」
伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。
食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる