転移は猟銃と共に〜狩りガールの異世界散歩

柴田 沙夢

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狩りガールの日常

3.狩りの朝

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3時50分に目覚めた私は、眠い目を擦りつつ、熱いシャワーを浴びる。

握っておいた梅と鮭フレークのおにぎりを各2個電子レンジで温める。

ポットには最近お気に入りの烏龍茶をホットで入れる。水はペットボトルでいいや。

魚肉ソーセージと眠気覚しの鮭トバも詰め詰め。何か不測の事態用にエネルギー系ゼリーに携行食、飴、チョコも入れる。
朝早くて湧き上がる面倒くささも、準備しているとちょっと楽しくなってくる。

髪を一纏めに縛ると、動きやすい登山用アウターに、寒さ対策のウインドブレーカーを着る。これに、ダニ避けに手拭いを首に巻き、猟友会のオレンジベストを羽織り、帽子を被って完成だ。

準備しておいた物品を再度確認。
使い古したバックパックの中には、軍手、ビニール手袋、使い捨てカイロ、解体用ナイフ、毛焼き用ガスバーナー、ビニール袋、麻紐、一応ヘッドライトと、小型LEDライト、あんまり使わないけど一応十得ナイフ、災害用アルミシートも一応。一応品で荷物が増えるんだよな、と苦笑いしながらその他にも色々詰める。

小型無線機は肩紐に装着。
ポーチの中には、虫除けのハッカスプレー、リップにハンドクリーム、日焼け止め、ウエットティシュに汗拭きシート、カットバン、鏡 etc.一応、女の子だし・・・ね。

目に鮮やかなオレンジ色の猟友会ベストには、ポケットがいっぱいついてるから、空弾回収用に一つ空けて、各種免状、スマホに小地図にコンパス、ポケットティシュと革手、のど飴数個etc.色々入れた。持ちすぎ、って夫に笑われたのを思い出す。



そろそろ出発時間になってきたので、弾ロッカーから、今日使う分の弾を出し、弾帯に弾を入れる。散弾メインだけど、鹿用にスラッグ弾も3発セット。残りは箱ごとバックパックに。


ガンロッカーの鍵を開けて、鎮座する2丁の猟銃を眺める。

一つは、自分のセミオート、レミントンM11-87

もう一つは、夫の形見の上下二連、ウィンチェスター

どちらも、元を辿れば猟友会の大先輩達のお下がりだ。


「やっぱり、こっちかな。」


そっと手を伸ばし、ウィンチェスターを手に取る。


「・・・今日もよろしくね。」


そっと撫でながら、独りごちた。

レミントンにチェーンをかけ、ガンロッカーを閉めて、鍵をかけると、仏壇がわりの写真立てに向かい手を合わせる。

さて、ハードカバーに包まれた相棒と、荷物を持って出発。


「・・・行ってきます。」


誰もいない玄関に呟いて、扉を閉めた。
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