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プロローグ
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先程までいた森とは全然違う植生。
10月早朝の、肌寒い空気から一変した、生温い風が吹く。
そして、目視100m先には、デカイ鹿らしき生き物。
でも明らかに、私の知る鹿じゃない。
鹿とは臆病な生き物だ。人間を見たら普通逃げの姿勢をとるはず。
体形は鹿なのに、頭にあるのは赤く尖った一本角。
殺る気満々に蹄を鳴らし、赤い目でこっちを見ている。
そんなケンカを売る鹿は見たことない。
・・・てか、こっち見んな。
そして、私の前には、185cmタワーの背中が見える。
果敢に両手を広げているが、膝が震えている。
・・・ヤバイよね、これ。
周囲を見回しても、私たち以外に人らしき気配はない。
あの鹿モドキの後ろは山肌が見える。バックストップ確保。
ギギャギャァァァァ!!!
今までで聞いたことのない凄まじい声で嘶くと、鹿モドキは角を下げて突進しようと身構える。
「カン!避けれっっっ!」
タワーの横っ腹にタックルし、吹っ飛ばす。火事場の馬鹿力ってスゴイね。20cmの体格差もろともしない。
鹿モドキの動線上に立つと、両足を踏ん張り、安全器を外した相棒を構える。
3m以上あるだろう体躯の胸元に狙いを定める。凄い勢いで接近してくる。
ーーー 何これ怖い。こわい。コワイ。
倒せるとは思わないが、せめて怯ませられれば。
ーーー 間に合え。
奥歯を噛み締め、半泣きで、定まり切らない照準のまま、引き金を引いた。
ゴゥン・・・
銃声が一発、辺りに鳴り響く。
一瞬なのか、数秒なのかも分からない間のあと。
ズンッ・・・と音を立てて鹿モドキが倒れた。
・・・・・・見るも無惨に、首から上が爆散した状態で。
「・・・・・・なんじゃ、こりゃ。」
10月早朝の、肌寒い空気から一変した、生温い風が吹く。
そして、目視100m先には、デカイ鹿らしき生き物。
でも明らかに、私の知る鹿じゃない。
鹿とは臆病な生き物だ。人間を見たら普通逃げの姿勢をとるはず。
体形は鹿なのに、頭にあるのは赤く尖った一本角。
殺る気満々に蹄を鳴らし、赤い目でこっちを見ている。
そんなケンカを売る鹿は見たことない。
・・・てか、こっち見んな。
そして、私の前には、185cmタワーの背中が見える。
果敢に両手を広げているが、膝が震えている。
・・・ヤバイよね、これ。
周囲を見回しても、私たち以外に人らしき気配はない。
あの鹿モドキの後ろは山肌が見える。バックストップ確保。
ギギャギャァァァァ!!!
今までで聞いたことのない凄まじい声で嘶くと、鹿モドキは角を下げて突進しようと身構える。
「カン!避けれっっっ!」
タワーの横っ腹にタックルし、吹っ飛ばす。火事場の馬鹿力ってスゴイね。20cmの体格差もろともしない。
鹿モドキの動線上に立つと、両足を踏ん張り、安全器を外した相棒を構える。
3m以上あるだろう体躯の胸元に狙いを定める。凄い勢いで接近してくる。
ーーー 何これ怖い。こわい。コワイ。
倒せるとは思わないが、せめて怯ませられれば。
ーーー 間に合え。
奥歯を噛み締め、半泣きで、定まり切らない照準のまま、引き金を引いた。
ゴゥン・・・
銃声が一発、辺りに鳴り響く。
一瞬なのか、数秒なのかも分からない間のあと。
ズンッ・・・と音を立てて鹿モドキが倒れた。
・・・・・・見るも無惨に、首から上が爆散した状態で。
「・・・・・・なんじゃ、こりゃ。」
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