転移は猟銃と共に〜狩りガールの異世界散歩

柴田 沙夢

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キャットファイト?

357.火蜥蜴退治対決 其のニ

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「なっ何ですって!?」
「まだ、我々を愚弄するつもりか!」


「はいはい。アンタらは、自陣に引き入れられると思ってたコウを掻っ攫った女の私が気に食わないんでしょ?
だから、私が1人で相手してやるっての。
ただ、村の防衛があるから、カン君は連れてく。
コウは、お義兄ライルさんとココギルドで必要なお話し合いしちゃってて。
お義姉ライリーさんは、非番の様だけど、騎士団に戻ります?」

「あ、あぁ。キューケン村の村民と資源は捨て置けない。救援に向かえる様、進言してこよう。」

「したっけ、カン君はそれまで村の防衛に回って。」

「はぁ、分かりました。村を拠点にした防衛ですね。
リンさんも遊撃は良いけど・・・時々戻ってきて下さいよ?支援バフはするんで。」

「リン・・・」

「こーくんは、さっさと必要な話し合い。その為にお義兄ライルさんにも来てもらったんだべさ?それ終わったら、村の防衛。A級トップが居れば心持ち違うでしょ。」

「そうだけど・・・分かったよ・・・。」

「はい。ってことだから、アンタらさっさと行かなくていいの?私らは今直ぐからでも2週間野営できる程の備えをしてあっから、速攻出ていけるけど?準備があるなら待っていた方がイイ?ハンデついでに、来るまで村防衛だけして待ってるけど?」


怒涛の私の返しに、『氷戦神アイス・アテーナー』のお姫サマが、またムキになった。


「うるさいっ!私達だって直ぐに行けるわ!吠え面かかせてやるんだから!!」



バタバタと駆け出していく『氷戦神アイス・アテーナー』のメンバー達。
その背を見送っていると、カン君が吹き出した。


「吠え面・・・リアルで初めて聞いたかも。」

「それなー。」


顔を見合わせてくすくす笑えば、コツンと頭に拳骨が降ってきた。


「あ、痛、」
「リン・・・」


見ると苦々しい顔のこーくん。
隣のお義兄ライルさんも、何か困り顔。



「どぉかした?」

「・・・また、無茶しようとするから。」

「無茶じゃねぇべし。爬虫類系なら氷効くんでしょ?あのお姫様が自信満々に出ていく様子からして。ならイケる。あーそうだ、イグバイパー大蛇モドキとどっち面倒い?」

サラマンダー火蜥蜴の方が動きは単調だから捌きやすいと思う。火炎放射と尻尾による物理アタックが主。突進もあるけど、ビグベルー大熊のように素早くはない。イグバイパーが捌けるリンなら問題ないとは思うけど・・・それでも、クラスBのパーティーでも、1体倒すのに時間はかかる。」

「了解。体力はあるってこったね?したっけ、基本カン君に支援強化してバフって貰って特攻すればいいべさ。急所はイグバイパー大蛇モドキと同じで脳天?」

「あぁ、うん。」

「なら、遠隔で氷射撃、無属性重力で足止めののちに脳天直撃でいけるしょ。回収もし易いし。」

「それなら、回収用のバッグいるっスね?」


面白くなーいって顔しながらも、私の質問に答えるこーくんを尻目に、カン君が乗ってくる。
私達の空間収納は底無しだけど、それを大っぴらにしないように、アイテム使用を仄めかすミスリード。有り難いです。



「ありがと。1人じゃ討伐部位回収面倒いから、そのままブッ込めるのは助かる~」

「容量は任せて下さいッス。最新の出来たんで、後で渡しますね?」



討伐数といっても、証明できるのは部位回収でとなる。
部位回収担当者をつけられるならほっといてもイイけど、あえての一人討伐。
私が討伐したのをアイツらに横取りされても面白くないから、そのまま丸呑みできる方法を取ることに。
多分・・・性格悪い考えだけど・・・アレ系の輩は、他の人が討伐したのも横取りしていく気がすんだよなぁ。
そういうネット小説お話読みすぎかもだけどさぁ。


「ほいじゃ、私とカン君は馬借りてキューケン村現場に向かうね?お義姉ライリーさんは、騎士団に戻って頂いて救援要請、で。こーくんはお義兄ライルさんと一緒に、そちらのギルマスさんと必要なお話し合いの後に、現場の防衛に来てもらえれば良いかな?」

「うむ。早急に手筈を整えてこよう。」

「分かったよ・・・カン、リンば宜しくね。」

「任されました。」

「コウラルのことは僕に任せておいて~」

「・・・うぜぇ」


キリッとしたお義姉ライリーさんは、即座に駆け出して、ギルド会館を飛び出していく。
不貞腐れ気味のこーくんは、お義兄ライルさんにヨシヨシされて鬱陶しそう。
その様子に私とカン君はクスリと笑った。



「じゃ、行ってくんねー」
「行ってきます。」

「「行ってらっしゃい。」」


最終的にはちょっと緊張感のない感じで。
私とカン君もギルド会館から出て行った。




***



2人の背を見送り、ライリーはポンとコウラルの頭を撫でる。


「・・・凄いねぇ、お前の奧さんは。」

「うん・・・だから心配なんだ。」

「愛されてるねぇ。」

「・・・の、かなぁ。だと、イイんだけど。」

「情に絆されるだけで、こんなに率先しては動かないでしょ。愛がないと、ムリだよ。しかし、あの啖呵はカッコいいねぇ。ライリーくらいカッコいいよ。」

「どさくさに紛れて、惚気ないでくれるかな。」

「いいじゃない。ウチの奥さんだって最高なんだから。・・・と、まぁ。リンちゃんが時間を作ってくれたんだから、さっさとケリつけようね。」

「あぁ。」


軽口を叩き終わった2人は、ギラリとギルドマスターへ視線を移した。


「さぁ、そちらのが提示したサラマンダー火蜥蜴討伐での結果と、その後について取り決めておきましょうか。」

「あ、あぁ・・・」


空気と化して逃げようとしていた王都本部のギルマスは、逃れられずにギルマス部屋へと連行されていった。



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