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『約束』の行方
【閑話】天上の彼方 其の四
しおりを挟むそれから二週間。
私達『朧梟』と『影猿』の面々は、イズマさん、ベネリさんに連れられて、ニースの森の中を駆けずり回った。
最初はベネリさんイズマさんも含めた8人で。
そのうち、それぞれのパーティーに指導役の2人が分かれて付き添い指導。
時には、『影猿』とメンバーをシャッフルしたりしながら。
途中、『猟犬』のパーティーリーダー『英雄』ファーマスさんも現れ。
私と『影猿』の盾役のナル君が、前衛の指導を受ける事ができた。
厳しくて、プライドも何もかもバッキバキに折られたけど。
それでも、その鬼畜な指導のおかげで、冒険者として、前衛としてやっていく意識と覚悟が強くなったように思えた。
そんな時、たまたま遭遇したビグベルー、1頭。
それを、私達『朧梟』と『影猿』の6人だけで倒せと、『英雄』に無茶振りされて。
ホント、死にものぐるいで立ち向かった。
守護戦士のナルが惹きつけて、時折格闘家の私が、盾役をスイッチして。
盗賊& 付与術師のジェリが弱体化をかけたり、斥候のベニが回復薬を撒いたりと後方支援にまわり。
火力は、弓師のダイが矢に風魔法を纏わせ遠距離からチクチクやるのと、暗殺者のタカが隙をつき一撃離脱を繰り返して。
私も、盾にならない時は、タカが付けた傷痕目掛けて、殴りかかっていった。
『英雄』のような余裕も、イズマさんのような隙のつき方も、ベネリさんのような圧倒的な火力もない。
スマートさのカケラも全く無い私達は、泥臭く齧り付いて、削って削って。
どれだけの時間を費やしたか分からないくらいで。
ようやく倒せた時は、安堵から来る脱力とことばに出来ない程の歓喜と達成感で身体が震えた。
「まぁ、2週間でここまで出来りゃ、御の字だろ。」
「急拵えだったけど、後は実地で大丈夫じゃないですかね。」
『英雄』達から及第点のお言葉もらって。
凄い泣きそうになった。
そんな鬼のような訓練の後、『猟犬』の皆さんは、王都へ向かっていった。
イズマさんとベネリさんがA級ライセンス持ちになった為に、王都で国王サマとの謁見を受けなきゃならないんだとか。
・・・うわぁ、大変。
今回、私達『朧梟』と『影猿』がニースの森の守役に選ばれたのは、その謁見の為に『旅馬車』も『猟犬』も王都に行かなきゃならないから。
それなら、A級ライセンスを新たに取った、イズマさんとベネリさん、リンちゃんとカンくんだけで良かったのでは?と思ったけど。
よくよく聞いたら、現在A級トップの『疾風』コウラルさんがA級になった時に、一悶着あったんだそうな。
その悶着の牽制の為に、コウラルさんも、ファーマスさんも付いていく事になったんだとか。
何やら、A級って大変だなぁ。。。
まぁ。
私達は、まだまだB級下っ端だから、与えられた大役を懸命に果たそう。
ロイドギルドマスターや、『猟犬』の皆さんが目をかけてくれたチャンスを逃さないように。
いつか、リンちゃんと笑って話せて。
ココで一緒に狩りができたらいいなぁ。
***************
この後の関係性は、
ダイとベニが何となく良い仲。
タカが、ユウに惹かれ気味。
ナルとジェリは・・・BでLな方面かもしれませんww
本編、しばしお待ちを・・・(>_<)
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