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『約束』の行方
【閑話】天上の彼方 其の三
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お久しぶり過ぎまして、すみません。
閑話の続きからです。
**************
ピオッティさんに家を紹介してもらい、サクッと片付け。
集落の中の紹介をしてもらったら、日が暮れて。
そうこうしていたら、森の入り口から『影猿』の連中が、『猟犬』のイズマさんとベネリさんと一緒に帰ってきた。
・・・ちょっと待って。
何あの屍。
普段と変わらないイズマさんとベネリさん。
その後ろからやって来たのは、屍人のような『影猿』の3人。
見るからに、かなりグロッキーな様子。
「マジかー・・・」
その姿を見て、ダイがポツリと呟いた。
うん・・・明日は我が身、だよね。
ぎゅ、と服の袖を掴んでくるベニの頭をよしよししながら、私は大きく深呼吸をした。
*
その日の晩、集落の皆さんが歓迎会を開いてくれ。
美味しいご飯をご馳走になった。
しかし・・・
「秋のビガティール(魔獣の鹿)は美味しいからな。頑張って獲ってこいよ。」
さくっと、猟師の方に言われ、愕然とする。
あのー、それクラスB魔獣ですからぁ・・・
『影猿』のジェリとナルに情報を聞こうとしたけど。
「んーー。兎に角、殺るか殺られるかだぁ。まぁ、明日やりゃ分かる。」
と、曖昧な情報しか出してくれない。
ホント、どんな人外魔境が待っているのかと不安になった。
***
次の日。
朝から早速ニースの森へと踏み込んだ。
森の境界線と言われる入口を抜けると、ざわり、と、鳥肌が立つ感覚。
慌てて辺りを見回すと、とても静謐な空気。
「お、入れたな?」
指導役として来てくれた『猟犬』のイズマさんが、私達をみてニヤリと笑った。
「うん、第一関門突破だねぇ。」
魔法杖を掌で弄びながら、ベネリさんまで不穏な響きを発した。
そう言われて思い出したのは、ギルマス部屋での話。
『ニースの森は入る人を選ぶ』ってこと。
本当なのか?と尋ねれば、2人からは『本当だ』との簡潔回答。
なぜ選択が可能なのか、と、ダイが問うと、『主様』と呼ばれる存在がいて、その方が選別しているとか何だとか。
その『主様』・・・真っ白なイグバイパーの姿なのだとか。
「因みに、イズマさんとベネリさんは、『主様』にお会いしているのですか?」
「何度か見かけた、程度。直接話はしてない。」
「うん。俺らはねぇ・・・集落の皆んなも遠巻きに出くわす程度って言ってた。あぁ、そうだ。元々、ウチの旦那もその程度だけだったらしいけど、何かリンちゃんのおかげで喋れたって言ってたなぁ。」
「「「「「「は?」」」」」」
意味不明な言葉が聞こえた。
なんでリンちゃんがいる事で、その、『主様』と話できるって話になるの?
きょとん、とした我々に、何の事もなげにベネリさんが続けた。
「リンちゃんはねぇ、『主様』にエッラい気に入られてて、ちょこちょこと会ってたって話。それに、この間、ココが賊の襲撃にあって燃やされた跡を、リンちゃんとカンの魔力譲渡受けて、『主様』が再生させたんだよねぇ。」
「「「「「「・・・は?」」」」」」
「まぁ、リンちゃんとカンが常識外れなだけって話だから、気にしないで。まぁ、リンちゃんと仲良かった君らなら、その内『主様』に会えるんじゃない?」
「「「「「「・・・・・・・。」」」」」」
「ほら、見回りに行くぞ。」
ベネリさんに、つらっと言い切られ。
何か言おうと思ったのに、イズマさんにぶった斬られ。
それ以上、意を唱える事も叶わず。
私達は、先へ進むベネリさんとイズマさんの後を追い、森の奥へと進んで行った。
***
閑話の続きからです。
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ピオッティさんに家を紹介してもらい、サクッと片付け。
集落の中の紹介をしてもらったら、日が暮れて。
そうこうしていたら、森の入り口から『影猿』の連中が、『猟犬』のイズマさんとベネリさんと一緒に帰ってきた。
・・・ちょっと待って。
何あの屍。
普段と変わらないイズマさんとベネリさん。
その後ろからやって来たのは、屍人のような『影猿』の3人。
見るからに、かなりグロッキーな様子。
「マジかー・・・」
その姿を見て、ダイがポツリと呟いた。
うん・・・明日は我が身、だよね。
ぎゅ、と服の袖を掴んでくるベニの頭をよしよししながら、私は大きく深呼吸をした。
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その日の晩、集落の皆さんが歓迎会を開いてくれ。
美味しいご飯をご馳走になった。
しかし・・・
「秋のビガティール(魔獣の鹿)は美味しいからな。頑張って獲ってこいよ。」
さくっと、猟師の方に言われ、愕然とする。
あのー、それクラスB魔獣ですからぁ・・・
『影猿』のジェリとナルに情報を聞こうとしたけど。
「んーー。兎に角、殺るか殺られるかだぁ。まぁ、明日やりゃ分かる。」
と、曖昧な情報しか出してくれない。
ホント、どんな人外魔境が待っているのかと不安になった。
***
次の日。
朝から早速ニースの森へと踏み込んだ。
森の境界線と言われる入口を抜けると、ざわり、と、鳥肌が立つ感覚。
慌てて辺りを見回すと、とても静謐な空気。
「お、入れたな?」
指導役として来てくれた『猟犬』のイズマさんが、私達をみてニヤリと笑った。
「うん、第一関門突破だねぇ。」
魔法杖を掌で弄びながら、ベネリさんまで不穏な響きを発した。
そう言われて思い出したのは、ギルマス部屋での話。
『ニースの森は入る人を選ぶ』ってこと。
本当なのか?と尋ねれば、2人からは『本当だ』との簡潔回答。
なぜ選択が可能なのか、と、ダイが問うと、『主様』と呼ばれる存在がいて、その方が選別しているとか何だとか。
その『主様』・・・真っ白なイグバイパーの姿なのだとか。
「因みに、イズマさんとベネリさんは、『主様』にお会いしているのですか?」
「何度か見かけた、程度。直接話はしてない。」
「うん。俺らはねぇ・・・集落の皆んなも遠巻きに出くわす程度って言ってた。あぁ、そうだ。元々、ウチの旦那もその程度だけだったらしいけど、何かリンちゃんのおかげで喋れたって言ってたなぁ。」
「「「「「「は?」」」」」」
意味不明な言葉が聞こえた。
なんでリンちゃんがいる事で、その、『主様』と話できるって話になるの?
きょとん、とした我々に、何の事もなげにベネリさんが続けた。
「リンちゃんはねぇ、『主様』にエッラい気に入られてて、ちょこちょこと会ってたって話。それに、この間、ココが賊の襲撃にあって燃やされた跡を、リンちゃんとカンの魔力譲渡受けて、『主様』が再生させたんだよねぇ。」
「「「「「「・・・は?」」」」」」
「まぁ、リンちゃんとカンが常識外れなだけって話だから、気にしないで。まぁ、リンちゃんと仲良かった君らなら、その内『主様』に会えるんじゃない?」
「「「「「「・・・・・・・。」」」」」」
「ほら、見回りに行くぞ。」
ベネリさんに、つらっと言い切られ。
何か言おうと思ったのに、イズマさんにぶった斬られ。
それ以上、意を唱える事も叶わず。
私達は、先へ進むベネリさんとイズマさんの後を追い、森の奥へと進んで行った。
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