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『約束』の行方
【閑話】天上の彼方 其の一
しおりを挟む※ 今年も宜しくお願い致します。
※ 以前リクエストのありました、リン達が旅に出た後のニースの森の皆さんや、ギルドの人達なんかのお話です。
※ 視点は『朧梟』のユウになります。(304話「王都までの道のり」で、リンと野営してた子です)
**************
「・・・え。私達が、ニースの森に、ですか?」
「あぁ。『猟犬』も『旅馬車』もクラスAパーティーになってしまったからなぁ。緊急討伐に駆り出されるやも知れん。そうなると、ニースの森の守人が居なくなっちまうからなぁ。後任を用意せんきゃならん。」
何でまた、そんな話に。
初めてギルドマスターの執務室に入る緊張と、対峙したギルマスと副ギルマスへの威圧感への怖れと、想定していなかった話を振られた事でのパニックで、私は意識が飛びかけた。
*
『旅馬車』と一緒に受けた護衛依頼から帰ってきた私達『朧梟』は、冒険者ギルド・ミッドランド支部のギルドマスターであるロイドさんの呼び出しを受けていた。
行く時は商隊『蔓薔薇』の仕入れや売買もあったからゆっくり目だったけど。
帰りはミッドランドの服屋の仕入れ後の護衛だったから、行きの半分日程で帰って来られた。
『旅馬車』の3人ともやっぱり凄かったなぁ、ウチらも頑張らんきゃね・・・って、ダイとベニと話しながら冒険者ギルドに着いたら。
ギルドカウンターに居た、エミリオさんという受付嬢さん(『猟犬』や『旅馬車』といったクラスAパーティー専任担当してるエリート受付嬢さんなんだけど)に呼び止められた。
ギルマスからの呼び出しって・・・何か悪いことした?と思っていたら、何やら重要なお話だったみたいで。
ギルマス部屋なんて初めて入る・・・
ドキドキしながら、エミリオさんに先導されて入ったギルマス部屋には、厳つい金髪坊主で威圧感バリバリなロイドギルマスと、紫色の短髪で精悍な顔立ちのザイル副ギルマスが。
・・・うわぁ、怖っ。
ダイもベニも感じたみたいで、ベニなんか、尻尾がぶわっと膨らんじゃっていた。
そんでもって、冒頭の話。
なんでも、ニースの森の『守人』の後任探しって。
・・・かなりな重要案件じゃん。
私が知ってる限り、このお役目はずっと『猟犬』のファーマスさんがソロ時代から担っていたこと。ソコにベネリさん、イズマさんが加わり。この一年程度でリンちゃんとカン君が加わった、てコト。
そんな彼らは、今や、みーんなA級ライセンスの持ち主だ。
それぐらいに強くないと、ニースの森では、やっていけない、ハズ。
「光栄なお話なのですが・・・何故僕らなのですか?」
私と同じように思ったのだろう。
ダイが質問した。
ビクビクする私達に、くすり、とわらいながら、ザイル副ギルマスが説明をくれた。
「君達の依頼遂行状況と、最近の色々な取り組みを鑑みて、ですよ?あぁ、君達『朧梟』だけではなく、『影猿』も後任候補です。既に『影猿』の皆さんには、ニースの森に入っていただいておりますよ?」
「え?」
「まぁ、『ニースの森』の『守人』になれるかどうかは、森が決めるからな。あの森に入れた『影猿』の連中は素質あり、ってことだ。」
・・・続けて話したロイドギルマスが、何言ってるのかさっぱり。
何でも、ニースの森に入れる人が限定されていて、下手な人間が入ったら、迷って森から出されるらしい。
大丈夫なんだろか、それ・・・
青ざめた私達を他所に、ザイル副ギルマスは、とぉってもイイ笑顔で「強くなりたいんでしょ?じゃ、そういうことで、まぁ、いってらっしゃい。」って・・・
・・・鬼か。
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