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『約束』の行方
332.『約束』の行方 其の二 ※解体描写あり
しおりを挟む※ 若干の解体描写あります。
*********
次の日。
私とカン君は、迎えに来たサビさんに連れられて、サビさんとクロナさんが暮らす拠点へと向かっていた。
こーくんも一緒に行くもんだ、と思っていたけれど、先に王都の冒険者ギルドに行ってるとのこと。
劣竜種討伐の件なら、私達もいた方が良いのでは?と思ったけど、こーくんのソロ時代・・・『独戦士』の時の活動の話もあるらしく。先にそちらの話を終わらせておきたいから、と。
ジャンガラから王都までは馬車で2時間弱。護衛の残り行程はあれど、私とカン君だけで実質問題はないわけで。
護衛対象の商隊『蔓薔薇』の代表、グラハムさんにも了解を貰い、こーくんは別行動となった。
ちなみに、グラハムさんはグラハムさんで、王都に届ける以外に、自分のお店で取り扱う用のロットウェル領産高級ワインを、エイバー子爵のワイナリーから仕入れていたらしく。
キヨサネさん相手にガチ商売をする模様。まぁ、高級宿なら、買ってくれるだろうしねぇ。
*
こーくんを見送り、クロナさんとサビさんの拠点である、ジャンガラの街の郊外にある、小さめだけどしっかりした作りのお邸へとお邪魔する。男爵クラスの持ち家と表現されるようだ。部屋数は6くらい。調理場、食堂、応接間は別。だって。
サビさんがお貴族様だしなぁ。と思っていたら、基本的に2人暮らしとの事。週一くらいでハウスキーパーは入るけど、それ以外は普通の暮らしらしい。使う範囲しか掃除もしない、と。
そんな話をしつつ、お屋敷の裏手へ回ると、勝手口。調理場に繋がっているらしい。その近くにクロナさんが居る。
解体用なのか、大きな三脚を太めの木材で組まれていた。
「おう、おはよう。・・・あれ?『疾風』は?」
「所用で先に冒険者ギルドの王都本部に向かいました。」
「アンタらは良かったのか?」
「ええ。『蔓薔薇』の護衛もありますから、私達は残りました。」
「そ、か。じゃぁ、やるか。」
「「よろしくお願いします。」」
約束通りクロナさんにミノタウロスの解体を習う。
基本はビグベルーと変わらない。
ただ、ビグベルーは毛皮を剥ぐ、という、獣感だったけど。
牛頭は、ちょっと人感があって。抵抗感がないわけではなかった。
まぁ、最終的には、屠畜ってこんな感じか、というところに落ち着いたのは、適応能力が高いとしていいのやら何なのやら。
無論、鑑定さんもお手伝いバリバリでした。カン君も黙々とナイフを入れていく。
お肉は普通に牛肉。ちょっと筋肉質め?ビーフシチューの様な煮込みの方が良いだろうか?叩いてハンバーグ?
部位によっては柔らかサーロイン的な物もあり。
うん。薄切りにして、玉葱いっぱいで煮込んで牛丼もアリかな。
解体練習用の普通種2体と、私の仕留めた上位種、計3体分の肉と魔石をもらった。
普通種の魔石はルビーのような赤さだったけど、上位種の魔石はサファイアのようなブルー。魔導具材料になるかなってことで、カン君に渡す。
肉は私が預かり。
でも、上位種の肉は全部貰うのも憚られ、少しクロナさん達にあげることにした。
クロナさんは要らない、と固辞したけど、サビさんがめっちゃ嬉しそうだよ?
「クロ~?サビ~?いる~?」
ひと段落して、さて片付けようかと動き出した所で、遠くから何処か気怠げでハスキーなしゃがれ声が聞こえてきた。
「裏にいるよー」
サビさんが、大声で声を返す。
少しの間の後、家の影からひょっこりと顔を出したのは、長い睫毛にぷるんとした小さめな唇が特徴的な、美形の猫獣人さんだった。
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