転移は猟銃と共に〜狩りガールの異世界散歩

柴田 沙夢

文字の大きさ
上 下
333 / 393
袖振り合うも多生の縁

【閑話】《くろかみのめがみさま》

しおりを挟む



むかーし、むかし。
いまよりずーっと、むかしのおはなし。


このせかいでは、ひとも、どうぶつも、せいれいも、みんななかよく、くらしていました。

あるとき、ちのおくふかくから、わるいちからをもつ『まもの』が、たくさんあらわれました。

『まもの』たちは、にんげんや、どうぶつたちをきずつけ、すんでいたところを、こわしてまわりました。

せいれいたちが、にんげんやどうぶつたちをまもろうと、いっしょうけんめい、たたかいました。
にんげんやどうぶつたちも、せいれいといっしょに、たたかいました。

しかし、『まもの』たちは、せいれいたちをとらえ、ころしたり、たべたりしました。

だんだん、せいれいのちからがよわくなり、にんげんもどうぶつも、たたかうことができなくなりました。


そんなとき、ひとりのおんなのこが、おつきさまにいるかみさまに、おいのりをしました。


「おつきさまにいるかみさま、どうかみんなを『まもの』から、たすけてください。おねがいします。」


おつきさまにいた、えらいかみさまは、おんなのこのおねがいを、ききとどけてくれました。

そして、ゆうきをつかさどる、くろかみのめがみさまのちからを、おんなのこにあたえました。

ちからをいただいたおんなのこは、かみのけが、くろくかわりました。

おんなのこは、わきあがるゆうきと、せいなるちからで、にんげんたちやどうぶつたち、よわくなったせいれいたちを、たすけてまわりました。

きずつけられたものたちを、せいなるちからで、いやしました。

たちふさがる『まもの』を、せいなるちからで、うちたおしていきました。

おんなのこにたすけられたものたちは、しだいに、ゆうきをとりもどし、『まもの』とたたかうちからが、わきあがりました。

そして、みんなでちからをあわせ、すこしずつ『まもの』たちを、ちにおいかえすことができました。


そんなあるとき。


ちのおくふかくにいた、『まもの』たちの『おう』があらわれました。

『まもの』の『おう』は、とてもつよい、じゃあくなちからで、みんなをきずつけていきました。

きぼうかつきかけた、そんなとき。

おんなのこは、かみさまにいのりました。

「おつきさまのかみさま。『まもの』の『おう』をたおせる、めがみさまのちからを、おかしください。」


すると、おんなのこのてに、ふしぎなかたちをした『ぶき』があらわれました。

おんなのこは、その『ぶき』を『まもの』の『おう』にむけ、いのりました。


「くろかみのめがみさま。どうか、『まもの』の『おう』を、たおしてください。」


おんなのこの、いのりのちからが、『ぶき』にこめられ、いっぱいになったとき、『ぶき』から、くろかみのつきのめがみさまのちからが、はなたれました。

めがみさまのちからは、『まもの』の『おう』にあたると、せいなるひかりで『まもの』の『おう』をけしさりました。

『まもの』の『おう』がきえたことで、ちのおくふかくからあふれでた、『まもの』もいなくなり、せかいはへいわになりました。


くろかみになったおんなのこは、みんなからかんしゃされ、『いくさおとめ』『いくさめがみ』と、よばれるようになりました。


そして、ひとりのおうさまとけっこんして、しあわせにくらしました。



~ おしまい ~





しおりを挟む
感想 580

あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。

辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。

王国冒険者の生活(修正版)

雪月透
ファンタジー
配達から薬草採取、はたまたモンスターの討伐と貼りだされる依頼。 雑用から戦いまでこなす冒険者業は、他の職に就けなかった、就かなかった者達の受け皿となっている。 そんな冒険者業に就き、王都での生活のため、いろんな依頼を受け、世界の流れの中を生きていく二人が中心の物語。 ※以前に上げた話の誤字脱字をかなり修正し、話を追加した物になります。

処理中です...