272 / 393
妄想乙女ゲームに終止符を
264.茶番劇 其の二
しおりを挟む※ 主人公、久々にガラ悪め。言葉が汚いのでご注意。「女性なのに、その言葉遣いは・・・」と言う方には、激しくゴメンナサイ。
※ 卑猥、陵辱表現あります。ご注意下さい。
※ そして、作中痛い表現があります。先に謝ります。・・・世の男性の皆様ごめんなさい。
**************
ーーー 茶番は終わりだ。
猫被りも、囮芝居も、もう、どうでも良い。
コイツは、今、カン君を害する発言をした。
もう、それだけでいい。
殺しはしない。
けど。
徹底的にヤる。
私は床に這いつくばっていた状態から、ゆっくりと身体を起こす。
股を開き、つま先を立てて、跪座の姿勢をとると、後ろ手の拘束姿勢のまま、下から彼女を睨めあげた。
急に雰囲気が変わった私に、ヒルデ嬢は一瞬たじろいだようだ。
周りの奴らも気圧されている。
「・・・何、を。」
「・・・うっせーよ。身の程知ンのは手前ェの方だよ、馬鹿お嬢。どんなけ手前ェ中心で世界が回ってると思ってんだよ。現実見やがれ。アンタはコウに、クソほど嫌われてンだ。だから、逃げられてンだろうがよ。」
「何ですって!!」
ヒルデ嬢は、美しい顔を憎しみで歪めた。
化けの皮、剥がれやがったな。
「コウの気持ちも考えず、あの人が大切にするものを奪って壊して。ただただ、自分の欲だけで、あの人をからめ獲ろうとした所為だべや。コウはアンタの欲を満たす人形じゃねえ。」
「煩い!黙りなさい!」
「私やカンを奴隷にすれば、コウがアンタと結婚するだぁ?馬鹿にすンのも大概にしろや。そんな穴だらけの計画に、あの人が乗る訳ねぇべや。
むしろ嬉々として、アンタをぶっ潰すよ。あの人は身内が穢されるのを良しとしない。子どもの頃は親に頼らざるを得なかった力が、守る為の力が、今は自分の裁量で存分に振るえるんだ。アンタの思い通りになんかなるワケないだろ、この馬鹿が。」
「何を根拠に!」
「大体にして、既に私はアンタの父親である領主様と面会してる。その時に、“ファルコ領内での、私達『旅馬車』冒険者活動について、阻害する事はない” と文書化して明言してンだ。
なのにその娘が、私を奴隷で手に入れたなんて、そんなアホな話誰が信じるってよ!!
アンタのやってっことは、自分の父親が領主として行っている仕事を、民からの信頼を、失墜させる行為だ!それくらい分かれや!」
「黙りなさいよっ!お父様は、貴女の言うことより、わたくしを選ぶに決まっているでしょうが!!わたくしが正しいのよ!ストーリーでは、わたくしはコウラルと結ばれるんだからぁ!!【 石飛礫 】!!」
錯乱・・・というか、発狂したヒルデ嬢が、私に向けて土魔法を放ってきた。
身体強化をフルで身体全体に巡らせ、身を屈めて攻撃を受ける。
多分勢いはあるんだろうけど・・・私には、パラパラと小石が当たるていどの衝撃。
やってやった的なドヤ顔してるけど、大して痛くもねぇし?
「ふふ・・・あはははっ!」
するといきなり、ヒルデ嬢は大声を出して笑い出した。
「・・・偉そうな事言ったって、今の貴女に反撃はできないでしょう?そうねぇ。貴女が汚れてしまえば、コウラルは見向きもしなくなるんじゃないかしら。・・・いいわよ、貴方達。反抗する気も起こせないほど、好きに遊んで構わないわ。わたくしたちは出ているので、這いつくばって、許しを請うようになったら教えて下さいな。」
「へへっ、ようやっとかよ。」
「好きに、なぁ。」
ヒルデ嬢の指示を受けて、破落戸共が下卑た笑みを浮かべてにじり寄ってくる。
ヒルデ嬢は、扇を広げ、口元を隠しているが、私を蔑み馬鹿にしたような視線を送ってきた。
両端に控える護衛たちも、表情は作らないようにしているみたいだけど。主人を諌める様子もないだけ、私には敵意があると判断する。
・・・護衛の片割れは、どっかで見た事ある気もするけど、誰だっけ?
で。
男性冒険者はニヤニヤしながら。
女性冒険者達は青ざめて、何処かビクビクしながらこちらを見ている。
・・・まぁ、そうだろね。
女性達は、今さっき、ヒルデ嬢の命令で斬り付けられたんだから。次に襲われるのは自分、ってなってもおかしくないはずだよね?
っつーか、今頃気づいたのか。頭弱ぇなぁ?
アンタらが手を組んだのは、自分の欲を通す為なら、手駒なんて簡単に切り捨てられるお貴族様だ。
女性冒険者達は、こーくんとワンチャンあると期待してヒルデ嬢と組んだんだろうけど。
ヒルデ嬢の方はどう見たって独占欲が強そうで、こーくんに女性冒険者達が近づくのを良しとしないだろ。
多分交渉は男性冒険者の方がしたんだろうな。その尻馬に乗っかって良い思いをしようと思ったんだろうけど・・・
ま、自業自得。
私を貶める為に、悪い人間と組むと決めたのは自分らだし、騙されるのは自己責任だよね。
精々怯えてろ。ざまぁ。
地下室は基本倉庫なのか結構広め。物がないから、存分に暴れられる。
室内は8人。魔力量は大したことない奴らばかり。
破落戸や冒険者ならすぐ終わる。あとは、護衛が何処まで粘ってくるか。
ヒルデ嬢も余裕ぶっこいてまだこの場にとどまっている。
私が襲われ始めたら、部屋から出るつもりをしてんだね。
その余裕が何処まで持つのか、見ものだね。
・・・で、目下はこの破落戸共か。
どーゆー目に合わせてやろうか。
奴らは短剣をチラつかせ、はぁはぁ言いながら近づいてくる。キモい。
ん?なんか手に注射器みたいなモノ、持ってるなぁ。
「雇い主から、許可もらったんで、思う存分ヤらせてもらおうか。イイクスリも手に入ったしなぁ。アンタも気持ちよくヨガれるぜ?『疾風』も『英雄』も夢中になるA級様のアソコは、余程具合がイイんだろうからな。」
ぐふぐふと笑いながら、にじり寄ってくる。
ふぅん。媚薬か麻薬か、そんなとこな?
・・・決めた。
馬鹿が頭の中で考えていることと、同じ目にあわせてやろう。
まぁ、ちょっとコッチも気持ち悪いけど、全開でヤってやろうじゃないの。
「へへっ、抵抗しても無駄だからな。イキ狂わせてやるぜっ!」
ぬ、と、破落戸共の手が伸びて、私の身体に触れた瞬間、ドロっとしたような、気持ち悪い魔力を感じる。
私は全力で魔力を練り上げた。
「イくなら勝手にイきやがれっ!【乾燥】!!」
「「うぎゃぁぁ!」」
触れた魔力の根幹にある硬いモノを握りつぶすような勢いで、私は、奴らに魔力を無理矢理流し込む。
「あ・・・がぁ・・・」
破落戸共は、白目を向いて倒れていった。
魔力交換は余程のことが無いと起こり得ない現象。魔力の根幹に触れ合う程のキモチイイ魔力交換は、本当に相性の良い相手と発生すると言われている。
ただ私は、この世界の一般的なヒトと、魔力の触れ方、感じ方が違う。
私が魔力を流すと、その者の肌ではなく、魔力の根幹に触れてしまう。従って、相性の良さに関係なく、無理矢理相手に快楽を発生させてしまうってのは実証済み。
ソレを握り潰してやったワケで。
・・・まぁ、言うなれば、絶頂を迎えようとギンギンにおっ勃っていた大事なモノを、全力で握り潰したようなもんだ。
もう、豆腐でも握り潰すように、ぐっちゃりと。
ご愁傷様。
如何でしたかね?天国から地獄の快楽ジェットコースター。
・・・まぁ、多少なりとも、コッチも精神的にダメージだけどね。
やっぱり良からぬことを考える輩の魔力は気持ち悪い。
ネバネバ、ヌメヌメしてるような、触れただけで、すんごい不快になる感触だ。
ほんと、バッチいなぁ。
「あ゛ー、キモかった。」
私は、後ろ手に拘束しているロープを、ぶちっと引き千切ると、首を回しながら、ゆらりと立ち上がる。
そして目の前に転がる破落戸共の身体を思い切り蹴り上げて、部屋の端に寄せた。
そして、お嬢様御一行を見ると、驚愕の顔をして此方を見ていた。
「な・・・何をしたのよっ!なんで、魔力があるのよ!『魔力制御の腕輪』を2個もつけてるのにっ!?」
我に返ったヒルデ嬢が、ヒステリックに叫んだ。
絶対的優位だと、圧倒的強者だと思い込んでいた自信に、ヒビが入ったようで何より。
・・・つか、その自信、今から木っ端微塵に打ち砕いてやるけどな?
私はニヤリと笑みを浮かべて、ヒルデ嬢と視線を合わせる。
護衛達が、す、と彼女の前に出るようにして庇った。
「・・・ねェ、知ってる?」
そんな奴らに、口元に笑みを浮かべ、視線を送りながら、ガッツポーズをする様に両腕を上げてみせた。
「『魔力制御の腕輪』って、制御以上の魔力を流したら、ブッ壊れんだよォ?・・・こんな風に、なっ!」
その瞬間、私の両腕に嵌められていた『魔力制御の腕輪』は、高い金属音を立てて、床に転がった。
************
※ 没ネタが、今頃生きてくるなんてねwww
※ 魔力を握りつぶすについては、「38.反省会と新事実」及び「39.不本意なセクハラ返し」をご参照。
※ 「ねェ、知ってる?」のくだりは、豆でしばな先生の調子で変換いただけましたら幸いですw
10
お気に入りに追加
1,008
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる