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妄想乙女ゲームに終止符を
264.茶番劇 其の二
しおりを挟む※ 主人公、久々にガラ悪め。言葉が汚いのでご注意。「女性なのに、その言葉遣いは・・・」と言う方には、激しくゴメンナサイ。
※ 卑猥、陵辱表現あります。ご注意下さい。
※ そして、作中痛い表現があります。先に謝ります。・・・世の男性の皆様ごめんなさい。
**************
ーーー 茶番は終わりだ。
猫被りも、囮芝居も、もう、どうでも良い。
コイツは、今、カン君を害する発言をした。
もう、それだけでいい。
殺しはしない。
けど。
徹底的にヤる。
私は床に這いつくばっていた状態から、ゆっくりと身体を起こす。
股を開き、つま先を立てて、跪座の姿勢をとると、後ろ手の拘束姿勢のまま、下から彼女を睨めあげた。
急に雰囲気が変わった私に、ヒルデ嬢は一瞬たじろいだようだ。
周りの奴らも気圧されている。
「・・・何、を。」
「・・・うっせーよ。身の程知ンのは手前ェの方だよ、馬鹿お嬢。どんなけ手前ェ中心で世界が回ってると思ってんだよ。現実見やがれ。アンタはコウに、クソほど嫌われてンだ。だから、逃げられてンだろうがよ。」
「何ですって!!」
ヒルデ嬢は、美しい顔を憎しみで歪めた。
化けの皮、剥がれやがったな。
「コウの気持ちも考えず、あの人が大切にするものを奪って壊して。ただただ、自分の欲だけで、あの人をからめ獲ろうとした所為だべや。コウはアンタの欲を満たす人形じゃねえ。」
「煩い!黙りなさい!」
「私やカンを奴隷にすれば、コウがアンタと結婚するだぁ?馬鹿にすンのも大概にしろや。そんな穴だらけの計画に、あの人が乗る訳ねぇべや。
むしろ嬉々として、アンタをぶっ潰すよ。あの人は身内が穢されるのを良しとしない。子どもの頃は親に頼らざるを得なかった力が、守る為の力が、今は自分の裁量で存分に振るえるんだ。アンタの思い通りになんかなるワケないだろ、この馬鹿が。」
「何を根拠に!」
「大体にして、既に私はアンタの父親である領主様と面会してる。その時に、“ファルコ領内での、私達『旅馬車』冒険者活動について、阻害する事はない” と文書化して明言してンだ。
なのにその娘が、私を奴隷で手に入れたなんて、そんなアホな話誰が信じるってよ!!
アンタのやってっことは、自分の父親が領主として行っている仕事を、民からの信頼を、失墜させる行為だ!それくらい分かれや!」
「黙りなさいよっ!お父様は、貴女の言うことより、わたくしを選ぶに決まっているでしょうが!!わたくしが正しいのよ!ストーリーでは、わたくしはコウラルと結ばれるんだからぁ!!【 石飛礫 】!!」
錯乱・・・というか、発狂したヒルデ嬢が、私に向けて土魔法を放ってきた。
身体強化をフルで身体全体に巡らせ、身を屈めて攻撃を受ける。
多分勢いはあるんだろうけど・・・私には、パラパラと小石が当たるていどの衝撃。
やってやった的なドヤ顔してるけど、大して痛くもねぇし?
「ふふ・・・あはははっ!」
するといきなり、ヒルデ嬢は大声を出して笑い出した。
「・・・偉そうな事言ったって、今の貴女に反撃はできないでしょう?そうねぇ。貴女が汚れてしまえば、コウラルは見向きもしなくなるんじゃないかしら。・・・いいわよ、貴方達。反抗する気も起こせないほど、好きに遊んで構わないわ。わたくしたちは出ているので、這いつくばって、許しを請うようになったら教えて下さいな。」
「へへっ、ようやっとかよ。」
「好きに、なぁ。」
ヒルデ嬢の指示を受けて、破落戸共が下卑た笑みを浮かべてにじり寄ってくる。
ヒルデ嬢は、扇を広げ、口元を隠しているが、私を蔑み馬鹿にしたような視線を送ってきた。
両端に控える護衛たちも、表情は作らないようにしているみたいだけど。主人を諌める様子もないだけ、私には敵意があると判断する。
・・・護衛の片割れは、どっかで見た事ある気もするけど、誰だっけ?
で。
男性冒険者はニヤニヤしながら。
女性冒険者達は青ざめて、何処かビクビクしながらこちらを見ている。
・・・まぁ、そうだろね。
女性達は、今さっき、ヒルデ嬢の命令で斬り付けられたんだから。次に襲われるのは自分、ってなってもおかしくないはずだよね?
っつーか、今頃気づいたのか。頭弱ぇなぁ?
アンタらが手を組んだのは、自分の欲を通す為なら、手駒なんて簡単に切り捨てられるお貴族様だ。
女性冒険者達は、こーくんとワンチャンあると期待してヒルデ嬢と組んだんだろうけど。
ヒルデ嬢の方はどう見たって独占欲が強そうで、こーくんに女性冒険者達が近づくのを良しとしないだろ。
多分交渉は男性冒険者の方がしたんだろうな。その尻馬に乗っかって良い思いをしようと思ったんだろうけど・・・
ま、自業自得。
私を貶める為に、悪い人間と組むと決めたのは自分らだし、騙されるのは自己責任だよね。
精々怯えてろ。ざまぁ。
地下室は基本倉庫なのか結構広め。物がないから、存分に暴れられる。
室内は8人。魔力量は大したことない奴らばかり。
破落戸や冒険者ならすぐ終わる。あとは、護衛が何処まで粘ってくるか。
ヒルデ嬢も余裕ぶっこいてまだこの場にとどまっている。
私が襲われ始めたら、部屋から出るつもりをしてんだね。
その余裕が何処まで持つのか、見ものだね。
・・・で、目下はこの破落戸共か。
どーゆー目に合わせてやろうか。
奴らは短剣をチラつかせ、はぁはぁ言いながら近づいてくる。キモい。
ん?なんか手に注射器みたいなモノ、持ってるなぁ。
「雇い主から、許可もらったんで、思う存分ヤらせてもらおうか。イイクスリも手に入ったしなぁ。アンタも気持ちよくヨガれるぜ?『疾風』も『英雄』も夢中になるA級様のアソコは、余程具合がイイんだろうからな。」
ぐふぐふと笑いながら、にじり寄ってくる。
ふぅん。媚薬か麻薬か、そんなとこな?
・・・決めた。
馬鹿が頭の中で考えていることと、同じ目にあわせてやろう。
まぁ、ちょっとコッチも気持ち悪いけど、全開でヤってやろうじゃないの。
「へへっ、抵抗しても無駄だからな。イキ狂わせてやるぜっ!」
ぬ、と、破落戸共の手が伸びて、私の身体に触れた瞬間、ドロっとしたような、気持ち悪い魔力を感じる。
私は全力で魔力を練り上げた。
「イくなら勝手にイきやがれっ!【乾燥】!!」
「「うぎゃぁぁ!」」
触れた魔力の根幹にある硬いモノを握りつぶすような勢いで、私は、奴らに魔力を無理矢理流し込む。
「あ・・・がぁ・・・」
破落戸共は、白目を向いて倒れていった。
魔力交換は余程のことが無いと起こり得ない現象。魔力の根幹に触れ合う程のキモチイイ魔力交換は、本当に相性の良い相手と発生すると言われている。
ただ私は、この世界の一般的なヒトと、魔力の触れ方、感じ方が違う。
私が魔力を流すと、その者の肌ではなく、魔力の根幹に触れてしまう。従って、相性の良さに関係なく、無理矢理相手に快楽を発生させてしまうってのは実証済み。
ソレを握り潰してやったワケで。
・・・まぁ、言うなれば、絶頂を迎えようとギンギンにおっ勃っていた大事なモノを、全力で握り潰したようなもんだ。
もう、豆腐でも握り潰すように、ぐっちゃりと。
ご愁傷様。
如何でしたかね?天国から地獄の快楽ジェットコースター。
・・・まぁ、多少なりとも、コッチも精神的にダメージだけどね。
やっぱり良からぬことを考える輩の魔力は気持ち悪い。
ネバネバ、ヌメヌメしてるような、触れただけで、すんごい不快になる感触だ。
ほんと、バッチいなぁ。
「あ゛ー、キモかった。」
私は、後ろ手に拘束しているロープを、ぶちっと引き千切ると、首を回しながら、ゆらりと立ち上がる。
そして目の前に転がる破落戸共の身体を思い切り蹴り上げて、部屋の端に寄せた。
そして、お嬢様御一行を見ると、驚愕の顔をして此方を見ていた。
「な・・・何をしたのよっ!なんで、魔力があるのよ!『魔力制御の腕輪』を2個もつけてるのにっ!?」
我に返ったヒルデ嬢が、ヒステリックに叫んだ。
絶対的優位だと、圧倒的強者だと思い込んでいた自信に、ヒビが入ったようで何より。
・・・つか、その自信、今から木っ端微塵に打ち砕いてやるけどな?
私はニヤリと笑みを浮かべて、ヒルデ嬢と視線を合わせる。
護衛達が、す、と彼女の前に出るようにして庇った。
「・・・ねェ、知ってる?」
そんな奴らに、口元に笑みを浮かべ、視線を送りながら、ガッツポーズをする様に両腕を上げてみせた。
「『魔力制御の腕輪』って、制御以上の魔力を流したら、ブッ壊れんだよォ?・・・こんな風に、なっ!」
その瞬間、私の両腕に嵌められていた『魔力制御の腕輪』は、高い金属音を立てて、床に転がった。
************
※ 没ネタが、今頃生きてくるなんてねwww
※ 魔力を握りつぶすについては、「38.反省会と新事実」及び「39.不本意なセクハラ返し」をご参照。
※ 「ねェ、知ってる?」のくだりは、豆でしばな先生の調子で変換いただけましたら幸いですw
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