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妄想乙女ゲームに終止符を
255.擬似餌
しおりを挟むガタガタガタガタ・・・
ある晴れた昼下がり。
荷馬車って、やっぱり乗り心地悪いです。
と、言うワケで。
馬車に揺られて絶賛ドナドナ中。
ご安心ください。気絶はフリ、ですよ?
街ブラしている最中に、怪しい動きをする人達の様子が、ずっと【 索敵 】に引っかかっていて。
まぁ、領都に来てから、私が1人で行動することは無かったし。
これが好機とばかりに襲ってきた模様。
後ろ手に縛られて、足も拘束。ついでに変な匂いのするもの嗅がされて、でっかい麻袋に入れられて、気分はジャガイモだ。
ガタガタゴトゴト、ガタガタゴトゴト・・・ガタン。
荷馬車が止まり、何やら話し声が聞こえる。
どうやら、領都の検問かな?
領都から外に出るみたいだ。
腕には、毎度お馴染み魔力制御の腕輪。
こそっと鑑定をかけたけど、ファルコ領騎士団の持ち物なんだよね、これ。魔力が抜けるだけの仕様。精神系術式はないヤツだった。つまりは、正規品。
ふむ。
誰だろねぇ?横流ししたヤツ。
・・・ってかさぁ。
逆に罠だとか思わないんだべか。
それでなくても、領都に来てからずっと私は、街中では3人の誰か、もしくはロイドさんと行動してんのに、今日に限って1人行動。しかも、人通りがあまり無いと分かっている職人街に行くなんて、さ?
因みに、今の私の状況は。
アルにはステルス状態のまま、飛んで付いてきてもらっている、ハズ。
職人街に行く前に、離れて付いてくるように呟いたら、肩から離れてくれたので。
カン君が同期してくれれば、詳細な場所が分かるだろう。
そいでもって。
カン君作製魔改造ネックレスの追加効果により、魔力制御の腕輪の効果は発生しておりません。
【 魔力流出防御 】
カン君が追加した術式の1つ。
私に対する故意的な魔力の抜き取りは拒否する、というシロモノ。
腕輪に対してピンポイントすぎね?と思ったら、悪い魔術師なんかによる抜き取りも防ぐらしい。
・・・全く何でもアリだよねぇ。
彼にしてみれば、常時展開出来ないのが不服らしい。
いや、抜かれる事を感知した途端に無効化してんだから、充分じゃね?
しかも、早速使用させてもらいましたし。
・・・それで、だ。
私を拉致したのは、3人。
雰囲気的には全員男っぽいな。
索敵で進む方向を確認してると、 街道から逸れていくのが分かった。
んー?
馬車が進めるって事は、道が付いているワケだから、、、作業用道路か何かかな?
行った先で、即私をバラすつもりか。
それとも、依頼主が出てくるのか。
・・・街にいた時は、5人程いたんだよね。
ってことは、2人は依頼主に連絡しに行ったかな?
・・・まぁ、依頼主は、多分あの人なんだろうけどさ。
それに、今いる犯人の1人、どっかで会ったことある気配なんだよなぁ?
私がそんな事をぐるぐる考えているとは思いもよらないだろう犯人達を乗せた荷馬車は、誰にも咎められる事なく脇道を進んで行った。
・・・ガタン
検問から30分ほど進んだだろうか。
荷馬車が止まる。
索敵上、空白地帯になっている場所。
100m四方だろうか、不自然に白抜き。
劣竜種の巣の周囲が索敵妨害されていたようなのと同じだ。
まぁ、劣竜種みたいに広範囲でもないし。明らかに不自然なんだよね。
多分そーゆー魔道具があるんだろうなぁ。
うーん。
でもあの時カン君は、アルを通じた【 索敵 】がジャミングで見えないって言っていた気もするけど・・・
ジャミングされた中に入れば、録画は出来てたんだよなぁ?
ま、今回はアルは自由に飛べてるワケだし。
場所確認すれば、繋がるとこまで戻るだろうから心配ないかなぁ?
・・・多分。
ま、最悪、犯人達の拠点での動向次第では、救援信号として、レーザー撃ってもいっかぁ。
そんな事を考えていた私は、荷物として何処かの室内へと運ばれた。
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