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旅馬車活動開始
183.連絡が飛んできた
しおりを挟む数日の間、連携訓練を繰り返した。
試験対策も兼ね、こーくん抜きの私とカン君2人連携も取り入れる。
3人だと、こーくんがヘイト稼ぎをするけど、2人だと、私がヘイトを溜めなきゃならん訳で。
せっせと動きまくって、囮役になり、一箇所に集めていく。
気分は牧羊犬だろうか。
何とかサマになってきただろうかと思ったところで、主様から、森の秩序も戻ってきたからもういい、と言われてしまい、意図的な魔獣を使った訓練は、強制終了になった。
ランクアップ試験の連絡はまだ来ない。
なので、一旦集落で休む事にした。
集落の端にある、師匠の家の近くに、林檎に似たアールという実をつける大木があり、その木陰で私達と師匠は休んでいた。
麗らかな午後帯。
私は銃剣の分解、手入れを。
こーくんも双剣の手入れをする。
カン君は、極小魔力で的当て訓練。魔力伝導の無駄が無く致命傷を与えたいと。・・・何かエゲツない方向に行ってるような気も。
師匠は、絶賛お昼寝タイム中。
「ところで、A級ランクアップ試験って何すんの?討伐だけじゃないよね?」
ふと思い立ち、こーくんに尋ねた。
剣の手入れを止めた彼は、ふむ、と思案顔になり、回答をくれた。
「うーん、先ずはギルド貢献度から、受験資格の判断がされる。依頼達成率を見ることになるね。
あとは、対人戦闘の履歴。主に護衛依頼の実施になる。絡んでくるのは盗賊討伐。つまりは、対人戦闘の経験の有無の確認だね。
その上での、魔獣討伐。僕の時は1人で受けたから、イグバイパー1体だった。」
「成る程ね。魔獣討伐はともかく、貢献と対人戦闘かぁ。」
「・・・そこは問題ねーだろ?」
いつの間に目覚めていたのか、師匠がムクリと起き上がった。
「ニースの森の守護役を引き受けられている時点で、2人とも貢献には問題はねぇ。実際納品しまくってるからな。護衛だって、やってねぇって言われんなら、集落の連中を連れてミッドランドまで出向きゃいい。
対人戦闘は、カンは街角戦闘してるし、リンだって『ケルベロス』掃討に、今回の騎士団襲撃の相手してんだ。文句はねェだろさ。」
「そんなもんですかね?」
「ロイドもザイルも、そこら辺加味する奴らだよ。文句が出ても一蹴できる。それに、お前らはそれだけの力はあるしな。・・・お、きたな?」
師匠が顔を上げて、自宅の方を見る。
すると、白い何かがこちらに向かってくるのが見えた。
「鳥?」
「あぁ。アレが、レザがベネリに渡していた、伝書用の魔道具な。」
そう言って師匠は立ち上がると、自宅へと歩いていき、その『鳥』を捕まえる。
そして、魔力を流しながら、何事かを呟いた。
すると、ふわ、と『鳥』は淡く光り、師匠の手の中で紙になる。
手紙がそのまま直通するんだ。不思議。
「へぇ・・・あれって、途中で奪われたり、落とされたりしないの?」
「基本、登録している先の場所に着かないと、鍵になる言葉に反応しない。だから中身は見れないし、無理に開けようとすると、中の文字は消えるモノなんだ。」
「便利なもんなんスねー。」
こーくんは、私の疑問にすぐ答えてくれる。
いつの間にかカン君もその様子を見ていたようだ。
「お前ら、一応試験内容が決まったぞ。明日から、ミッドランドに出向く。」
「はいー。討伐は何ですかー?」
「2人で、今ミッドランド近くに出現している、イグバイパー退治だ。詳細詰めるから、ギルドに来いだとよ。」
あら、タイムリー。
ビグベルー何体かと思ってたけど、時期的にイグバイパーが出やすいんだろうか?
「とりあえず明日の朝から移動だな。準備しとけ。」
「はぁい。」
「了解です。」
実際の所は、直ぐにでも出発出来るんだけど、依頼品の確認整理とか、集落のみんなへの挨拶なんかもあるので、明日なのは助かる。
とりあえず、私とカン君は、お世話になっている、イーベさん、ピオッティさんご夫婦に話をしに行くことにした。
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