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旅馬車活動開始
182.連携訓練
しおりを挟む「リン!右から斬り込んでなぎ払え!
僕は左から中央に集める!カン!一発で仕留めろ!」
「「了解!」」
現在、ニースの森の深層にある、拓けた原っぱにて戦闘中。
主様に頼んで、増えた魔獣を引っ張ってきてもらい、連携訓練がてらの討伐。
ビグベルーやアグウルグの集団は勿論、単発のレグルパード、主様と全然違う色の巨大なイグバイパー。
ちょっとした魔獣暴走だよね?
しかも、通常ならランクCのアグウルグが肥沃な森奥でスクスク育ってランクB以上の魔獣集団への変貌ぶりという、規格外だらけ。
ある意味虎の穴ってヤツかい。
「せいっ!やっ!!」
こーくんの指示通り斬り込み、なぎ払う。
風属性弾で、散らばるアグウルグ達を、中央にいるビグベルーに向けて吹っ飛ばす。
「【 吹っ飛べ 】!」
こーくんの声と共に逆方向からも、爆風が巻き起こる。
途端に、 ビグベルーの足元を起点に淡い光が広がっていく。
「【 重力緊縛 】!【 雷針 】!」
巻き上げられた魔獣たちは、光る地面に縫い止められていく。
そして、空から降ってきた細い雷が首や脳天に直撃し、次々と倒れていく。
気づけば、50体以上いたであろう魔獣は、一気に数を減らした。
残るは、雷耐性のあったビグベルー1体と、イグバイパー1体。
「カンは熊!リンは蛇を!」
「「了解!」」
こーくんの声を合図に、氷属性弾へ切り替えて、イグバイパーに向け、魔力増し増しの氷属性弾を放った。
イグバイパーでも、やはり蛇。腹辺りに急激に広がった氷に慌て、急な温度低下で動きが鈍る。
その隙に背中へと飛び移り、後頭部を狙って氷属性弾を放ち、飛び降りる。
『キシャャァアァッ!!』
激しい断末魔と共に暴れたイグバイパーは、漸くその動きを止めた。
ちら、と見ると、カン君もビグベルーを倒していた。留めは土槍だったよう。地面から生えた杭が、熊を穿っていた。
・・・なかなかエグい絵面だなぁ。
索敵で、イグバイパーの絶命を確認後、再度周囲に気を向ける。
追撃が無いことを確認後、ふぅ、と一息つき、相棒から脱砲する。
「2人とも、お疲れ様。魔獣については大丈夫だね。」
こーくんが双剣に付いた血を払い、鞘に納めながら笑顔を見せた。
「・・・この量は結構しんどいよ?」
この連携訓練では、自らの身体強化は使っているが、カン君の付与魔法は無しという、縛りプレイだ。
『ーー 仕方ねぇだろ?カンの付与魔法を、いつでも受けられる訳じゃない。離れて任務を行うこともあるんだ。訓練では自分の力だけで連携しとけな。』
打ち合わせをしていた時の、師匠の一言は、確かにその通りだと思い、私達は望んで縛りプレイに勤しんだのだが。
これが、主様の容赦ない魔獣提供の前では、結構キツイ。
まぁ、それが身になるんだけどさ。
効率良い魔力運用や身のこなし、程よい距離感の戦い方と連携。
少しずつだが、身体に馴染んできた気がしている。
「ところでさ、こー・・・さん?」
「なぜ疑問系。」
「慣れないね。でさ、聞きたかったんだけどさ。・・・双剣なのは、おねね様?」
「・・・バレたか。」
照れたように笑うこーくん。
思い出すのは、2人でプレイしていた時の某無双。
こーくんは、ねね様や、くのいちを好んで使っていた。2キャラとも、双剣系。
「前世の記憶が戻る前までは、普通にロングソードだったんだよ?でも、記憶が戻ったら何かしっくりこなくてさ。色々試したら、プレイ動画として鮮明に記憶しているおねね様の双剣に行き着いたんだ。」
「ある意味、刷り込みだね。」
まぁ、そんな私も孫市だけどさ。
「僕がねね様で、リンは孫市。カンは何だろう。」
「戦棍が三節棍なら秀吉で良いカンジなんだけどさー。カッコが真っ黒すぎて、どう見ても第六天魔王様だよねー。」
「信長ねー。でも、攻撃方法が、ガラシャだな。」
「あー魔法少女かぁ。アリだね。」
「先輩方、ちょっと待てや。ガラシャって。」
ケタケタと、笑いあう私達に、カン君がツッコミを入れてきた。
「孫市さんは、ねね様とガラシャと旅をする訳さね~」
「特殊な状況下だなぁ。そりゃ。」
「だから、何でガラシャだって。」
「黒田官兵衛の方が良い?でも攻撃形態はガラシャだよ、やっぱ。側が信長、中身はガラシャ。」
「誤解を招く言い方やめてくれません??」
「そーいや、ガラシャは、孫とは友達だったねぇ。」
「まごまご言われるのかー。・・・ちょっとウザいな。」
「聞けやコラ。」
弄られるカン君を置き去りに、私達はケラケラと笑って目一杯無双話をしながら、次々と魔獣を空間収納へ片付けていった。
***
※ 後半は完全に戦国無双話となりました。ゲームが不明な方、申し訳ない。
※ 「戦国無双2猛将伝」にて、ガラシャと孫市がお友達、というストーリーが、ガラシャ編にございまして。実際に、ガラシャ様が「まごはダチじゃ♪」と言ってるので御座います。
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