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ニースの森防衛戦
151.一騎打ち
しおりを挟むーーーガキィィィン!!
犯罪騎士が振りかぶったガントレットの右拳は、的確に私の顔を狙ってきた。
両手で相棒を持ち、銃身で拳を受け止め、弾き返す。
それを皮切りに、拳、足技のラッシュを、私は棍術の要領で弾き返していく。
時折足技と、風属性弾で牽制する。
操られていた騎士達を捕縛するのに使っていた麻痺や重力の無属性弾は、近接戦では出しどころが難しいので、この場所に移動する間に風属性弾に入れ替えておいた。
今、相棒にストックされているのは、風属性と氷属性。
銃剣の体術で粘って、氷属性で身体全体を捉えるか、足あたりを穿って無力化出来れば良い。
もしくは、『グレイハウンド』のメンバーが誰でもいいから、ヘルプに入ってくれりゃ、コッチのモンなんだけどなぁ。
まぁ。
今は、目の前の戦闘に集中しよう。
「おらぁぁ!」
「せぃっ!」
足蹴りが飛んでくるのを、背後に反って避けながら銃剣を振り上げる。
犯罪騎士の右腕を剣先が掠めた。
畳み掛けようと踏み出すが、向こうの退避が早く諦める。
瞬時に頭目がけて回し蹴りがくる。
しゃがみ避けながら、銃剣を地面に刺し、それを起点に足元に回し蹴りを放つ。
「くそっ!」
犯罪騎士の足を刈り取ったが、バク転で逃げられる。
イズマさんより動きが遅いから、初動が見える。フェイクでも、何とか回避は可能だ。
犯罪騎士側は、私に思ったように攻撃が通らない事で苛立ち、攻撃が雑になってきた。
「大人しくしやがれっ!」
「ーーーするワケねーべや、っと!」
振り抜く拳を避けながら、腕に銃身を当て振り抜き、吹っ飛ばす。
そのまま、銃剣をぶん回して、ラッシュをかける。
「ちぃっ!」
「逃すかぁっっ!!」
バックステップで逃げようとするのを、漸く捉える事が出来た。
腕の振り速度を上げ、銃身で殴り、剣先で切りつける。
「うらぁぁぁぁっ!!!」
「ちぃっ!舐めるなぁっ!」
犯罪騎士はガードをしながらも、足技を繰り出してくる。
右足の蹴りは左腕でガード、右手の猟銃の銃口を左足に向けた。
ドウッ!!!
「ぐはっっ!」
「ーーーっ!?」
銃口から放たれたのは風属性弾。
氷属性にしようとしたが、ぞわりと背中を這うような嫌な予感がして、風属性弾を放った反動で、犯罪騎士から距離を取る。
ーーー 何だ?
目の前には、片膝をつく犯罪騎士。
そしてさっきまで、私が居た所に魔力の残滓がある。
無属性・・・拘束系魔法。
戦いに必死すぎて、気がついてなかった。
索敵に、丸が1つ、増えた。
背中を這う嫌な感覚が止まらない。
「ーーー 誰っ!?」
犯罪騎士の後ろの気配に向かい、銃口を向けた。
「“ーーー お久しぶりでございます。
お迎えにあがりましたよ『戦乙女』
さて、一緒に来ていただきましょう。”」
ねっとりとした、二重音声のような声が響く。
暗がりから現れたのは、『名前を覚えておくのも嫌なキモい奴』だった。
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