転移は猟銃と共に〜狩りガールの異世界散歩

柴田 沙夢

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ニースの森防衛戦

135.罠張り

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昼の2の刻を過ぎ、動きが見られる可能性が出てきた頃。
私達5人は、一旦集落の500m寄りまで降りてきていた。


「何するんだ?」


イーベさんが首を傾げる。
ここに来たのは、私の一存。


「ここら辺の獣道に、罠仕掛けようかと思って。」

「「罠?」」


他2人・・・ナグモさんとユールさん、という狩人さんたちも首を傾げた。


「うん、じーちゃんにもらった鉄線とクズ魔石で、電牧できないかなーって。」

「デンボク・・・?何だそれは。」

「んと。この線に触れたら、雷魔法が発動して、痺れる、って嫌がらせ。」


イメージは、電牧柵。
畑を熊や鹿からの害から守るのに、畑周りに電牧線を張って、電牧器から発生させたパルス電流を流し、線に触れた獣に電流が走り、ビックリした獣が逃げる代物。

じーちゃんに聞いたら、この世界にはそんなモン無いと言われたんだよね。

罠であるのは、落とし穴とか、待ち構えていての網罠とからしい。
魔法を駆使する場合は、普通に弓を使ったりする際に、身体強化や風魔法を使うみたい。
まぁ、あまり魔力量もないから、罠に魔力を使うのは非効率的なのかな。

それはさておき。
騎士の人達の装備って、脛当てがガッツリ金属っぽいから。上手くあたって、感電してくんないかなー、と。

悪用されないように、1回こっきりの使い捨てにしないとならないけど。

以前、ネズミ系の魔獣が集落にワラワラ出た時、退治して魔石だけ取って置いたものの、使い所がなかったんだよね。

そんな、クズ魔石に鉄線を巻き巻き。
獣道の端々に、20センチ程の細い木の棒っこを立てる。
地面から15センチ程の高さで、棒っこに鉄線を巻き巻き。
そのまま棒っこに固定したクズ魔石に、雷系魔法を込めて、発動条件も加味。棒っこが振動したら雷魔法が発動するようにした。

ついでに、爆竹みたいな音も鳴らせないかなーと思ったら、鑑定さんから「できますよ」と回答。わぁ、助かる。

でも、ちょっと、魔力を込める手順が面倒くさかった。なんとか作成完了。
・・・つくづく、こーゆー細かい作業は、カン君の方が得意なんだなーと思い知ったよ。

罠自体は、イーべさん達にも手伝ってもらい、20箇所程に設置。
やっぱり、狩人さん達は罠の張り方が上手。
索敵で注意しながら、罠の魔石に魔力を込めていった。


「・・・ポーション飲まなくて、大丈夫なのか?」


途中、イーベさんに心配されたけど、全然余裕。
したらば、狩人さん達に顔を顰められてしまった。
解せぬ。


「さて、こんなモンですかね。」


集落から山に入って、500メートル範囲の、人が通れそうな所全体的に罠を散らばせた感じ。

私達は、そこから更に300メートル程後退した場所で状況を見守る事にした。

害を為すと判断されると森で迷うと言われてるけど、騎士団側でも索敵は使える人間居るだろうから、大丈夫なのかなぁ?と思ったので、確認する。

イーベさん達からの説明では、森から拒まれた人間は、そもそも地図も更新できず、索敵も全く使えない状態になるとの事。


「背後から狙いたい放題できるんだね?」

「そういうこった。」


にやり、と狩人さん達が笑う。


「あ。」


そうこうしていると、私の索敵の端っこに、わらわらと青い点が現れてくるのが見えてきた。


「来たか?」

「はい。やっぱり、4、50人居そうな感じです。」

「大丈夫だ。」


思わず顔を顰めた私の頭を、イズマさんがポンと撫でる。


「じゃ、害獣掃除、頑張っか。」

「おー。」


茶化すようにイーベさんが声をかける。
私はそれに呼応し、笑顔で拳を突き上げた。


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