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開き直っても大変だ(カンSide)
128.規格外は今更です
しおりを挟む開かれていたドアから、ひょっこりと顔を覗かせたのは、
「レザリック殿?」
「「「レザ先生?!」」」
予想だにしなかった人の登場に、団長さんや、ベネリさん、ザイルさん、コウさんがビックリした声を出す。
来ましたね、ある種のマッドサイエンティスト。
「先生、外の皆さんどうでしたか?」
「あぁ。ギルドの周りと中でぶっ倒れていた騎士な。次々に倒れていくから何事かと思ったけど。君が遠隔で雷撃飛ばしてたんだな?
まぁ、ヤバいアンクレット付いてたから、外したよ?8人ばかりいたかな。気絶したまんまだから、医務室ぶっ込んどいた。何人か騎士がついてる。」
ニヤリ、と笑みを見せるレザリック先生。
ーーー そう。アルに手伝ってもらった仕掛け。
シグルドが大袈裟な一人芝居を始めた時に、俺はギルド周囲に索敵をかけた。
すると、コウさんの後を追ってきた先生が見えた。
そして丁度先生の近くに居た騎士が、精神干渉が始まるタイミングだった。
ぶっつけ本番で、その騎士に対し、落雷を落とすイメージで感電させる。
崩れ落ちた騎士を『診た』先生は、色々と察してくれ、その騎士に嵌められていたアンクレットを外してくれた。
俺は次々に状態異常にある騎士を雷撃で気絶させ、それを先生が回収していった、訳だ。
あと、やはりロイドさんよりも、先生の方が制御系アクセサリー外すの早いや。
俺と先生は顔を見合わせると、ニヤ、と笑い合う。
「ありがとうございます、先生。」
「なぁに、『黒持ち』魔導師がやる事だ。常識はずれが当たり前だろう?こんなエゲツない捕縛魔法を発動させたまま、へっちゃらな顔で話してんだから。」
そう言って、先生はカラカラと笑う。
その笑い声を聞きながら、俺はシグルドに目を向ける。
「・・・と、言う訳で。
今回の会談で警備に付いてきた、貴方が懐柔していたであろう第2部隊の残りの隊員は、全て確保済み。精神干渉するアンクレットも外させてもらいましたよ?」
シグルドの顔色は土気色に変わり、ガタガタと震え出す。
俺は、倒れ込んでるオルという名の騎士の腕から、制御の腕輪を外した。
魔力が一気に抜かれて昏倒してるけど、命に別状はない様子。
ロイドさんの顔を見て、彼のことを任せる。
そして、再度シグルドに向き直った。
「さぁて、ココから逃げ出す算段は全て潰させてもらいました。色々と調子ぶっこいてた様ですけど。上には上が居たってコトで。
これから52名の団員さん達止めなきゃならないのはクソ面倒ですけど、腕輪が外れている以上、あのコルトとか言う人がリンさんに接触した所で、容赦なく返り討ちでしょうねぇ。
まぁ、腕輪が嵌められていた状態だったとしても、僕ら『黒持ち』は『状態異常無効』体質なんで、精神操作効いてませんでしたけどね。
・・・あぁ。今回迷惑被ったリンさん、貴方が言うところの『彼女』から伝言がありますよ。」
俺はシグルド目の前に転がる腕輪を拾い上げ、俗に言うヤンキー座りになると、奴の顔前で腕輪をプラプラと揺らす。
「『““こんな腕輪作れるのは俺だけ、どーせ俺の力がなかったら取ることできないんだろー””的に上から目線になってたみたいだけど。
上書きされて、外された上に、ご自慢の腕輪ぶっ壊されて。』
ーーー『ねぇねぇ、今どんな気持ち?』」
自分がこれ以上ないぐらいに、満面の笑みを浮かべているのがわかる。
ーーー 俺って、存外に性格悪いみたいだ。
でも。
コイツが、リンさんを苦しめた元凶だから。
容赦しない。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
顔面蒼白なシグルドは、一気に魔力を練り上げ、俺を攻撃しようとする。
「ざーんねんでした。」
俺は笑みを浮かべたまま、オルから外した改造腕輪をシグルドの腕に嵌めた。
膨れ上がった魔力が一気に霧散する。
「さっきも言ったけど、これ付けたら、体内魔力は1割しか残らないから。魔法攻撃は考えない方がいいよ?あと・・・」
「ふっざけるなぁ!」
シグルドが剣を抜き、斬りかかろうとした。
あ、凄い。火事場のクソ力なのかな?
【重力緊縛】の中動いてるや。
「あぶないっ!」
ーーー あれ?
急に俺の身体が突き飛ばされた。
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