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開き直っても大変だ(カンSide)
118.ディナーミーティング
しおりを挟む対騎士用の制御の腕輪は、無事に作成完了できた。
解除キーとなる魔力登録枠は2枠。
師匠とギルマスのロイドさんにしようかと思っていたが、レザリック先生からは、師匠と俺で良いのでは?と提案されたので、俺のを登録することに。
鑑定を見られにくくする魔法もあるとの鑑定さんの情報があり(矛盾してる気もするけど、気にしたら負けだ)、雷撃については【解析】をかけないと、見られないように細工した。
その後、治療院にロイドさんもやって来たので、腕輪解除の説明を実施。
先生よりは時間がかかったけど、ロイドさんも無事にハッキングの手順を理解してくれた。
ちなみに、ベネリさんも回復は使えるけど、治療師スキルは持ってなかったので、やっぱり上手くいかなかった。
ロイドさんに、例の俺の改造腕輪を見せると、頭を抱えて溜息吐かれてしまったけど。
「他んトコには、ぜってぇ出すなよ?今回に限るんだからな?」
肩掴まれて凄まれたので、結局1個しか作っていない。
後で、ハッキング練習用に使っていたもう1個も改造しておこう。
俺の複製スキルで作ろうかと思ったんだけど、エラーが出て作れなかった。
複製スキルのルールも微妙だ。
魔獣不可、魔道具不可なんだろか?
コレについては、鑑定さんも教えてくれない。
・・・その割には、ポーションとか、リンさんの銃の弾とかokなんだよ。消耗品は良いんだろうか。
謎を呼んだまま、この日は終了。
イズマさんが街へ戻って来たのも遅かったこと、コウさんも戻って来るのが明日の昼過ぎになるとのこと。
打ち合わせは明日の夕方からとなった。
*
次の日の夕方、レザリック先生は早めに治療院を閉める。
先生と俺とで、ご飯を作る。
白身魚とアサリのような貝で作るアクアパッツァのような鍋に、ジャーマンポテト、水菜と玉ねぎのような野菜のサラダ。後はパンとエールにお茶。
俺は酒はやめておいて、以前複製したリンさんの烏龍茶を取り出した。
ポツポツと皆んなが集まってくる。
イズマさんが、キッチンを覗いてきた。
「リンからの預かりモンあるけど、出していいか?」
そう言いながら、空間収納から鍋を2つ取り出す。
「ビガディール料理の新作、だと。肉団子のトマトスープと、ミートソースと言っていた。」
「おぉ、美味そうだね。」
「・・・相変わらずのデタラメ回復だった。」
若干遠い目になるイズマさん。
苦笑いで料理を鑑定すると、
疲労回復、痛み軽減、食欲増進、安眠作用
と、見事なまでの付与効果が付いてました。
「相変わらず、料理に付与させるのが上手だねぇ。ま、今日の夕飯に出してしまおう。」
先生が食卓に鍋敷きを出してトマトスープを乗せる。
「ミートソース用にパスタでも茹でますか?」
「そうだね。お願いするよ。」
こうして、夕飯の献立が2品増えた。
*
コウさんが中々やって来なかったため、先に始めることに。
面子は、師匠、ベネリさん、イズマさん、レザリック先生、ギルマスのロイドさん、副ギルマスのザイルさん、そして俺。
皆んなで夕飯を食べながら、明日の情報交換を行う。
明日、騎士団から来るのは、ファルコ領騎士団の団長、アイザック=ファルコ氏。
そして、第4部隊の部隊長のスミス=ローマン、そして副部隊長だったシグルド=オーファ。
冒険者ギルドの会議室において、騎士団側からの謝罪、そしてリンさんの腕輪を外す手筈、とあちらは解釈している。
こちらは、シグルド=オーファが、武器狂いな立場を利用し、例の腕輪で特殊武器を持つ人の精神干渉を行い、囲っている可能性、そして第4部隊全体の精神統制を行っている可能性を疑っている。
あの場において、シグルドは、リンさんを手に入れるため動くつもりだろう。
時期的には、腕輪の干渉が効いている頃と判断できるから。
実際にあの場に立ち会うのは、俺と師匠、ベネリさん、ロイドさん、ザイルさん。
交渉するのは、師匠と俺。
「俺が、森に行くのは?」
イズマさんが首を傾げる。師匠が重い口を開いた。
「最悪な事態を想定する。・・・第4部隊が統制されていたとして。リンを手に入れるため、部隊を森に向かわせる可能性を考えた。
・・・あの場にリンが居ると思ってくれていればいいが。何かのきっかけや指示で、部隊が動いた場合。集落の人間が危険だ。
イズマ、お前には、リンと一緒に集落の皆の安全確保を頼む。」
「・・・成る程、分かりました。想定している避難経路で、森奥の避難場所で皆さんを待つことにします。」
イズマさんは、朝一で集落にとんぼ返りする事に。
「遅くなりました!」
そこまで話していると、コウさんが治療院へ戻ってきた。
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