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それぞれの成長(カンside)
112.職替え
しおりを挟む師匠との話し合いが終わり。
その日はそのまま宿で飯を食って休む事になった。
ベネリさんが合流。
イズマさんは、森に定期運搬に行ったらしい。
コウさんは、この街にいる間はレザリック先生の所に居る。こちらには合流しなかった。
ベネリさんにも、魔法職に転向する事を伝えたら、『やっとか』って言われてしまった。
ホントに皆さんに気を揉ませていたらしい。実の所レザリック先生にまで。
ホントすみません。
飯食いながら、ベネリさんとは、魔法攻撃についての話になった。
初めて、ベネリさんとマトモな戦術の話になったかもしれない。
やはり俺は《迷い人》であるため、魔法イメージが特殊なようだ。
あと付与のイメージが多様で、そこは強みとして褒められた。
味方強化はあれど、敵弱体化の概念は一般的ではなかった模様。拘束系はあるんだが。
ホントにリンさんとコウさんと組むなら・・・2人とも物理、魔法攻撃どちらも可能で火力が高い。
コウさんは風魔法を駆使したスピードファイター。双剣に風魔法を纏わせる事もできる。リーチの短さを魔法でカバーしてる。
リンさんは、基本銃剣で牽制したのち、銃範囲攻撃。それに様々な属性が付与。
ーーー うん、別々に動いてもらった方が事故がないかも。
2人とも味方強化でガチガチに固めて、好きに暴れてもらうのが良い気がしてきた。
ボス系は俺が敵弱体化使い、コウさんにタゲってもらい、リンさんが雑魚処理が良いのかな。
逆でもイケる気はするけど。
アルにも手伝って貰えれば、敵弱点も分からないだろうか・・・
そんなことも考えながら、戦術談義に花が咲いた。
魔法職になったんなら、師匠からもらった黒鎧を着ているのはどうかと思ったけど、師匠とベネリさんからは、パーティーを組む予定の2人ともを自由にするなら、出来るだけ自分の身を固めて置くのは必要だろうと言われ、ちょっと納得する。
「見た目詐欺で面白いじゃん。」
ベネリさんからは、余計な一言がついたけど。
まぁ、貴方はそういう人だったよ。
仕事帰りっぽかった衛兵さんが、顔を出していった。
とりあえず状況確認させて欲しいとのことだったので、明日朝一で詰め所に出向く事に。
ベネリさんには、レザリック先生の所に行ってもらい、コウさんと先にギルドへ行ってもらうことに。
そんなこんなで夜も更けて。
ベッドに入った俺は、泥のように眠った。
***
一夜明けて、予定通りに俺は詰所に向かう。
話を聞くために、取り調べ室のような所に通された。
衛兵さん達は顔馴染みばかり。
衛兵さん達は、俺の話が街の人達と変わらない言い分だったことを正しく理解してくれた。
一応証拠映像も渡しておこうと思い、記録用魔道具があるかを確認すると、水晶を出してくれる。
それを見たアルが水晶の上に止まると、しばらくジッとしていた。
また、パタパタと俺の頭の上に戻ると、『ピッ』と短く鳴く。
確認してもらうと、例のベンチの上から撮った映像を見る事ができた。
ダビング?ドロップ?便利だなぁ、お前。
衛兵さん達は、口をあんぐり。
俺の魔力で動く、特殊魔道具だとだけ言い、口外しないように伝えた。
・・・まぁ、きっと無理だろうけどな。
毎日依頼遂行で門を出入りしてるし、挨拶してれば悪い気はしないだろうなーと思い、実行していたのが功を奏したかな?
喧嘩を売ってきた彼らがどうなるのかと思い、衛兵さんに尋ねたら、冒険者ギルドに連絡が行くらしい。
衛兵さん達側から見たら、街に損害はなく、俺が子どもを守り治した事もあり、俺と彼らの私闘扱いとする事になったそうだ。
で、ギルド側でそれなりのペナルティは下るみたいだけど、そこはギルマスの裁量みたいだ。
・・・ロイドさん、厳しそうだなぁ。あ、ザイルさんの方がもっと厳しそうだなぁ。
無事聞き取りは終わり、衛兵さん達に挨拶して詰所を出る。
待ち合わせている冒険者ギルドに行くために急ごうとした所、殺気を感じ、身体を反転させた。
ガス、と短剣が地面に刺さる。
咄嗟に身体強化、物理、魔法攻撃耐性をイメージ。
殺気の方向に身構えると、 昨日も見た奴らが出てきた。
・・・学習能力無いのかな。
ギラギラと、獲物を見るような、憎しみの篭った目で俺を見ている。
どうしようかね、これ。
睨み合ったまま、向こうの動きを待つ事に。
「何をしているのかな?」
聞き慣れた声が聞こえ振り返ると、ベネリさんと一緒にコウさんが立っていた。
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