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それぞれの成長(カンside)
114. その頃、森では・其の二(リン視点)
しおりを挟む※ 地震にあわれた関西圏の皆様大丈夫でしょうか。復興をお祈りしております。
※ 今回は閑話。食べ物回ですw
※ ただひたすらに鹿肉を調理します。
**************
北の大地は、毎月第4火曜日は『シカの日』
そんなんで、エゾシカ料理を売り出してたなぁ。
東方面だと平坦な畑がだだっ広いから、囲い込み猟的な方法がとれるとか。ある程度数が確保出来て、質も保証できる目処がつけば、解体処理施設なんかも建てられるんだろうけど。
北方面だと、山が多くてね。
なかなか獲った後の処理が難しくて。
定期供給出来るルートって難しいな、って話をしていたなぁ。
結局、自分達で食べる以外は処分場行きだったりするんだよねぇ。
てな訳で、あっちの世界で欲しい能力は『空間収納』だよねー、無限収納なら尚良し。無理だけど。
そんな事思いながら、退治して、血抜きした2mサイズのビガディールを収納する。
来た時にはあんなにビビって対峙したビガディールだったけど。(アレは通常よりデカイやつだったけど)
今や、すっかり食料品と素材目線です。
さてさて、家庭用鹿料理って、どんなの提案されていたっけなぁ。
コッチに来る前に見たパンフレットの内容をウンウン唸って思い出す。
鹿ひき肉と豚ひき肉を混ぜて作るハンバーグ。鹿は脂分が少ないから、旨み足しで豚ひき肉を使うんだったかな。
あ、でも猟友会の会長の奥さんは鹿ミンチ100%で、牛脂混ぜてたなぁ。
あとは鹿ひき肉とトマトで、ミートソースでしょ。
薄切りにして、生姜焼きもあり。
厚めに切って、ガーリックソースでステーキ。
鴨肉で作る治部煮をアレンジして、鹿肉で、ってのもあったね。
カレーは王道。獣臭さも消すのにうってつけなんだよなぁ。でも、ココじゃムリだなぁ。
甘辛なしぐれ煮みたいにして、ご飯のお供ににも良いんだよね。
でも、何だかんだで、獲ったすぐのロースやヒレを焼肉用に切って、●ルでも、ソ●チでも、エバ●でも良いから、ジンギスカンや焼肉のタレに漬け込んで、炭火焼肉が一番だったりすんだけどねー。
と、言うワケで。
久々の料理タイム。
というか、先ず解体。無論集落に戻ってきて、家の外でデスが。
角を折る、開く、内臓取り、皮剥、肉の切り離し。
身体強化使うと、重たさも問題ないし、解体スキルと鑑定さんで今日もサクサクと進む。便利。
「おや、解体中かい?また、ビガディール獲ってきたのかい。凄いねぇ。」
「あ、ピォッティさん、ただいま~。前に言ってたエクオの皮、見っけてきたけど要る?」
「要るわ。ありがとう。解体終わってからで良いよ?」
「わかった、後で持ってくね。この肉もいる?」
「ああ、欲しいね。後ろ脚一本良いかい?」
「オッケー。コレの肉は食べる分だから、他にも要る人いたらきいてー」
「わかったよ。」
ニコニコしながら、ピォッティさんが帰っていく。
そういや先日、ピォッティさんから貰った大量のトマトを頑張ってピューレにして収納しているから、やっぱりミートソースと、ハンバーグ生地をミートボールにしてトマトスープにしようかなぁ。
そんなこと考えながら、鼻歌を歌って解体を続けた。
***
集落の皆さんに肉を分け、頼まれていた薬素材を渡し、家に入る。
毛皮と角は、今度師匠達が来たらギルドに持ってってもらうことにして。
さて、やるかぁ。
先ずはガラから出汁取り。
骨を湯がいてゴミ取りして、一度水洗いして血合いを取ったら、ボキッと折る。
本来は切るんだろうけど、身体強化してますから、手で折って寸胴にポイ。
水張って、長ネギ、玉ねぎ、生姜もいれてー。後はアク引きながらひたすら煮込み。
ひき肉は、無論手作業。
風魔法使ってフードプロセッサー的に出来ないかと思うのだけど、上手くいかない。
細切り→細切れ→ひたすら包丁で叩く、を繰り返した。
身体強化使って疲れ知らずだけど、飽きるよねw
でも頑張るよ。
因みに、ミッドランドでお買い物をした際に、オーク肉も手に入れた。
俗に言う豚肉。ファンタジーではお馴染みだよね。
ニースの森には獣が魔物化した魔獣ばかりだったから、オークやゴブリンは居るのか?と思ってたら、普通に居るらしい。
但し、モースバーグ国でも、ファルコ領とは逆の西側地域に居るとのこと。
なので、輸送費等々で少々お高め。
でもやっぱり気になるから、と買ってみた。
ワグボーグという猪モドキの魔獣はよく森で獲れるから、違いはあるかな?と思ったら、柔らかさが段違い。
豚と野生猪の違いはデカかった。
脂のノリが違うんだもの。生姜焼き美味かった。
というワケで、肉団子にはオークひき肉を混ぜる事に。
とにかく叩いて、ビガディールひき肉10キロ、オークひき肉2キロ作成。
集落のみんなにも味見してもらいたいし、ストックもできるから、大量に作る事に。
玉ねぎ、人参も大量にみじん切り。
にんにくも森に自生してた。ガルという名前で、やっぱり滋養強壮効果があるようです。
さて、ミートソース。
油とにんにくを温めて、匂いがたったら、みじん切りの玉ねぎ、人参を鍋に入れ、ひたすら弱火で炒め。
その間にビガディールひき肉の半分をフライパンで炒めまくって。
野菜に火が通ったら、炒めたビガディールひき肉を投入。お水とトマトピューレを寸胴いっぱいにGO。
ローリエを投入して、ひたすら煮込み。あ、ローリエは、ローリエというらし。何故だ。
因みに、食欲増進と、痛み軽減の効果があるとか。
これで、ミートソースの仕込みはok。
あとはミートボール。
玉ねぎを炒めて粗熱を取り。
ビガディールとオークひき肉の合挽きを、炒め玉ねぎと卵とパン粉、塩、胡椒でねりねり。
マヨネーズあったら良いけど無いもんは仕方ない。
丸めて、揚げてから煮込みに入ります。
野菜は色々適当に。
ビガディールガラスープも入れて。
ローリエと、ローズマリーも入れてみる。
野菜が煮えたら、トマトピューレと、赤ワインも投入。
このまま煮込んで、塩胡椒して、味が馴染めばokかな。
***
出来上がったスープは寸胴2つにいっぱいできて。寸胴1つ分を集落の皆さんに配ってみた。
ジンク、ガル、ローリエ、ローズマリーの効果で、疲労回復効果が偉い高まったモノになってました。
あと、リラックス効果も強く、よく眠れる効果付き。
晩御飯に良いものだね。
鍛冶屋のイサカ爺ちゃんが、エライ気に入ってくれたので、多めに置いて来ましたよ。
防具の整備はオマケしてもらったよ。
で。
こんな時にくちばしが長いのがイズマさん。
タイミング良いんだもんよ。
とりあえず、私の様子は師匠から聞いていたみたい。
私が脱出した後の、北門での第4部隊のあの2人との様子を聞いて、申し訳なくなる。
申し訳ないと思うなら、食わせろってことで、ビガディール肉団子のトマトスープと、男爵ニョッキに、ミートソースをかけたものを出してみた。
旨い、ってガツガツ食べた後の、体力回復具合に頭抱えてたけど。
まぁ、今更でしょに。
とりあえず、『グレイハウンド』のみんなと、レザリック先生への味見ってことで、持ってってもらうことに。
そういや、イズマさんから聞いた話だと、今なんと、カン君がA級ライセンストップのコウさんと組んでいるらしい。
うわ、ずっこい。
私も、あんな事なければ、街に居れたんだけどねー
残念。
ちな、まだ騎士団からは連絡が来ていない模様。
ふむ。
まだ私の『森で引きこもりライフ』は継続中らしい。
さて、今度は何を作ろうかなぁ。
**************
※ 引きこもると、する事ないので料理に走ってます。
※ イズマは三つ巴には絡まないようです。立ち位置お兄ちゃん決定。年下だけど。
※ 因みに。北の大地の『シカの日』は本当にあります。『第4(シ)火(カ)曜日』という語呂合わせ。提携飲食店にて、シカ肉料理が食べられる日になります。
※ 参考文献
北海道環境生活部環境局エゾシカ対策室発行
『エゾシカ肉 はやわかりブック』
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