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しおりを挟むそこから先は早かった。
使者達を放り、返事を待たず、城内に乗り込み。
慌てて出てきたルークサンドラ王は、やはりあの剣士で。
私の顔を見るなり、よくお戻りいただけました、とか言われたけど。
私は帰還陣の在りかしか聞かず。
言葉を濁す剣士に、早々に見切りをつけ、ティグレさんの顔を見た。
ティグレさんは右手の中指に付けた、アデリーン様の指輪を掲げると、何処からともなく忍者のような人が現れて、この国の情勢、そして私を呼んだ思惑が朗々と告げられる。
結局のところ、色々な思惑が入り乱れていた。
国王である剣士は、私との婚姻を望み。
剣士の取り巻き達は、彼と私の婚姻による、国内また国外に向けた印象操作を狙っている、というのは、アデリーン様の予想通りだったけど。
それより醜悪だったのは。
旧国王派・・・というか、現国王反対派による、再召喚の企み。
召喚の使用魔力は膨大で。
私を召喚した時、犯罪魔法使い・・・冤罪も含めた大勢の魔法使い達が生贄にされたのだと。
じゃぁ、企んでいた再召喚に、誰の魔力を使うのか。
犯罪者とは言え、それだけ大勢の魔法使いの命が無くなっているのだから、人材は不足しているとなれば。
・・・アテにしていたのは、私の魔力。
《ルークサンドラ》国で召喚してやったにも関わらず、この国に仇を成し、魔王の下でぬくぬくと暮らしている聖女など必要ないから、贄にするべき、なのだと。
それを聞いた瞬間に、ティグレさんの殺気が膨れ上がり。
同調するように、アイザックさんとグラハム様の殺気もあがっていった。
2人とも人化を解き、本来の獣王と龍王の姿に戻っている。
シロエさんが私の背後に付き、私自身に魔法攻撃防御の魔法をかけるように指示。
私は言われた通り、魔力を取られないように、魔法攻撃に対する防御術式を展開。
私だけではなく、仲間である4人にも付与していく。
私だけじゃなく、ティグレさんやアイザックさんの魔力が取られたら洒落にならないもの。
「・・・魔王様が言った筈だ。『これから先、召喚などと言う愚かな方法をとろうとしたら、魔族の総力を持って、その人族の国を滅ぼす』と。」
ティグレさんはそう言い放ち。
アイザックさんと一緒に、城を揺らすほどの、ものすごい大きな咆哮をあげ。
諜報部隊が調べ上げた、召喚陣のある城の一角の真上に行くと、有無を言わさず拳圧と剣圧で木っ端微塵の更地へと替えてしまった。
アデリーン様の諜報部隊の皆さんが集めてきた召喚に関する資料は、グラハム様が全て灰にしてしまった。
一瞬にして終わった制裁に、《ルークサンドラ》国の面々話す術なく、呆けてしまっていた。
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