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第十九章
止まらぬ涙
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「お疲れ様です。」
バイト先へ着いた龍。目線の先には加奈子がいた。
「あ…お疲れ様。」
「あ、おっす…。」
よそよそしい2人。それを見ていた店長は心配していた。
服を着替え、ホールに出ると田口が居た。
「おっす。」
「おいーっす。なんだ?緊張してんのか?」
「いやなんか…変な感じ。」
「何言うか決まったのか?」
「あぁ。」
「そっか…。」
2人が会話をしていると加奈子が横を通った。
「田口、お疲れ様。」
「あぁ…お疲れ様。」
「何話してたの?」
「い、いや!なんでもないよ!」
「そう?」
加奈子はそのまま厨房に挨拶をしに向かった。
「こっちまで変に緊張するじゃん。」
「なんで田口が緊張するんだよ。」
「なんとなく。なんかこう…ざわざわってしてるじゃん?」
笑顔で話す田口。
「お前、楽しんでないか?」
「だってさー。やっと一歩進めるんだなって。」
「はぁ?」
「中学の時からさ、2人は特別な感じがしてさ羨ましかったよ。」
「そうか?」
「幼なじみってさ、なんかいいじゃん。それに女の子で可愛いってなおさら。」
「…。」
「それにその特別な感じが仲良いってだけじゃなく、雰囲気がいいよね。」
「ふーん。」
「ま!頑張れよ!」
ー外も暗くなりお客さんが入る中、加奈子は仕事にあまり集中できなかった。
『話がある。』
その言葉がずっと気になっていて、テーブルを拭きながら考えていた。
「おい。」
「うわぁ!?!?」
加奈子の後ろから龍が話しかける。
「な、なに?」
「仕事中だろ。集中しなよ。」
「あぁ…。うん。」
「そこ、俺が拭いとくから料理持っていって。」
「わかった…。」
加奈子は厨房に向かった。
〔あんたのせいじゃん!!!!!〕
そう思いながら料理を運んで行った。
ー22時。
店長から声をかけてもらい上がる龍と加奈子。田口はお客さんに捕まり、少し残業をしていた。
「高梨。」
「うん?」
「外で待ってるから。」
着替え終わった龍は加奈子に聞こえるように話しかけ、そそくさと外に出た。
「はぁ…どうしよ…。」
ため息をつきながらも鼓動が早くなるのがわかった。
〔どうしよ…どうしよ…。〕
そう考えながらも軒先に出た。
「おっす。お疲れ様。」
「あ…お疲れ様。」
「…帰ろっか。」
「…うん。」
2人は自転車を押しながら帰って行った。
「ちょっとどこか座って話さないか?」
「う、うん。」
2人はいつもの河川敷に着いた。
「ちょっと待ってな。」
そういうと龍がどこかへ行く。階段に座って待ってることにした加奈子。
「あちちちち。」
「買ってきたの?」
「寒いからな。ほれ。ココアでいいか?」
「あ、ありがとう。」
自販機で買ってきた飲み物を加奈子に渡す。
「そういえばさ、今日お客さんがさー」
「うんうん。そうなんだ。そういえば私もこの間ー」
2人はバイトの話をしていた。
「それおかしくない?」
「だろ?だから店長にも言ったんだよ。田口のせいですって。」
「あははは。」
楽しそうに話す2人。
ーそして2人の会話も途切れ空気が変わる。
「高梨はさ…。」
「うん。」
「今好きな人…いるの?」
「なんで聞くの?」
「だってこう言う時って…そんな話もするもんだろ?」
「まぁいるよ。龍は?」
「俺もいるよ。」
「そうなんだ。」
会話が途切れる。
「で。今日うちにまで来て話ってなんなの?」
「あのさ…。えっと…。」
口ごもる龍。
「ゆっくりでいいから。」
優しく龍に言葉をかける。
「うん。あのさ。」
ばっと立ち上がる龍。
「お、俺さ!高梨が初恋でさ…それからずっと高梨が好きだ!!」
「……うん。」
ハッと驚いた表情を見せる加奈子。が、そのあと幸せそうな表情で満遍な笑みになる加奈子。
「俺…。俺…。俺…。付き合って欲しい!高梨がずっと好きだ!!」
誰も居ない河川敷に大きく響く龍の声。
「だめかな…?」
「……くくく、ぷぷぷあははは!!!」
加奈子が笑い出す。
「そんな大きな声で言わなくても良くない?」
「そ、そうかな?」
「それ、ちゃんと自分で考えたの?田口や綾子に言われたんじゃなくて?」
「背中を押してもらったよ。」
「…そうなんだね。」
加奈子が立ち上がり、置いた自転車へ向かって行った。
「え?あ?お、おい…?」
龍が慌てふためく。
「ちょ、ちょっと待てよ?帰るのか?」
「ん?帰るよ?」
「え?返事は……?」
自転車に乗り加奈子はペダルを漕ぎ始め、少しずつ龍と離れ始めた。
「おい!おーーい!!」
龍が大きな声で加奈子に話しかける。加奈子が振り向き、加奈子が大声をあげる。
「私もだーーい好き!!!」
加奈子は思いっきりペダルを漕ぎ、スピードが加速して行った。
「おい!待てよ!」
笑顔な龍。慌てて自転車に乗り加奈子を追いかける。
追いつかせる気がないぐらい思いっきりペダルを漕ぐ加奈子。
その表情は笑いながら泣いていた。
続く。
バイト先へ着いた龍。目線の先には加奈子がいた。
「あ…お疲れ様。」
「あ、おっす…。」
よそよそしい2人。それを見ていた店長は心配していた。
服を着替え、ホールに出ると田口が居た。
「おっす。」
「おいーっす。なんだ?緊張してんのか?」
「いやなんか…変な感じ。」
「何言うか決まったのか?」
「あぁ。」
「そっか…。」
2人が会話をしていると加奈子が横を通った。
「田口、お疲れ様。」
「あぁ…お疲れ様。」
「何話してたの?」
「い、いや!なんでもないよ!」
「そう?」
加奈子はそのまま厨房に挨拶をしに向かった。
「こっちまで変に緊張するじゃん。」
「なんで田口が緊張するんだよ。」
「なんとなく。なんかこう…ざわざわってしてるじゃん?」
笑顔で話す田口。
「お前、楽しんでないか?」
「だってさー。やっと一歩進めるんだなって。」
「はぁ?」
「中学の時からさ、2人は特別な感じがしてさ羨ましかったよ。」
「そうか?」
「幼なじみってさ、なんかいいじゃん。それに女の子で可愛いってなおさら。」
「…。」
「それにその特別な感じが仲良いってだけじゃなく、雰囲気がいいよね。」
「ふーん。」
「ま!頑張れよ!」
ー外も暗くなりお客さんが入る中、加奈子は仕事にあまり集中できなかった。
『話がある。』
その言葉がずっと気になっていて、テーブルを拭きながら考えていた。
「おい。」
「うわぁ!?!?」
加奈子の後ろから龍が話しかける。
「な、なに?」
「仕事中だろ。集中しなよ。」
「あぁ…。うん。」
「そこ、俺が拭いとくから料理持っていって。」
「わかった…。」
加奈子は厨房に向かった。
〔あんたのせいじゃん!!!!!〕
そう思いながら料理を運んで行った。
ー22時。
店長から声をかけてもらい上がる龍と加奈子。田口はお客さんに捕まり、少し残業をしていた。
「高梨。」
「うん?」
「外で待ってるから。」
着替え終わった龍は加奈子に聞こえるように話しかけ、そそくさと外に出た。
「はぁ…どうしよ…。」
ため息をつきながらも鼓動が早くなるのがわかった。
〔どうしよ…どうしよ…。〕
そう考えながらも軒先に出た。
「おっす。お疲れ様。」
「あ…お疲れ様。」
「…帰ろっか。」
「…うん。」
2人は自転車を押しながら帰って行った。
「ちょっとどこか座って話さないか?」
「う、うん。」
2人はいつもの河川敷に着いた。
「ちょっと待ってな。」
そういうと龍がどこかへ行く。階段に座って待ってることにした加奈子。
「あちちちち。」
「買ってきたの?」
「寒いからな。ほれ。ココアでいいか?」
「あ、ありがとう。」
自販機で買ってきた飲み物を加奈子に渡す。
「そういえばさ、今日お客さんがさー」
「うんうん。そうなんだ。そういえば私もこの間ー」
2人はバイトの話をしていた。
「それおかしくない?」
「だろ?だから店長にも言ったんだよ。田口のせいですって。」
「あははは。」
楽しそうに話す2人。
ーそして2人の会話も途切れ空気が変わる。
「高梨はさ…。」
「うん。」
「今好きな人…いるの?」
「なんで聞くの?」
「だってこう言う時って…そんな話もするもんだろ?」
「まぁいるよ。龍は?」
「俺もいるよ。」
「そうなんだ。」
会話が途切れる。
「で。今日うちにまで来て話ってなんなの?」
「あのさ…。えっと…。」
口ごもる龍。
「ゆっくりでいいから。」
優しく龍に言葉をかける。
「うん。あのさ。」
ばっと立ち上がる龍。
「お、俺さ!高梨が初恋でさ…それからずっと高梨が好きだ!!」
「……うん。」
ハッと驚いた表情を見せる加奈子。が、そのあと幸せそうな表情で満遍な笑みになる加奈子。
「俺…。俺…。俺…。付き合って欲しい!高梨がずっと好きだ!!」
誰も居ない河川敷に大きく響く龍の声。
「だめかな…?」
「……くくく、ぷぷぷあははは!!!」
加奈子が笑い出す。
「そんな大きな声で言わなくても良くない?」
「そ、そうかな?」
「それ、ちゃんと自分で考えたの?田口や綾子に言われたんじゃなくて?」
「背中を押してもらったよ。」
「…そうなんだね。」
加奈子が立ち上がり、置いた自転車へ向かって行った。
「え?あ?お、おい…?」
龍が慌てふためく。
「ちょ、ちょっと待てよ?帰るのか?」
「ん?帰るよ?」
「え?返事は……?」
自転車に乗り加奈子はペダルを漕ぎ始め、少しずつ龍と離れ始めた。
「おい!おーーい!!」
龍が大きな声で加奈子に話しかける。加奈子が振り向き、加奈子が大声をあげる。
「私もだーーい好き!!!」
加奈子は思いっきりペダルを漕ぎ、スピードが加速して行った。
「おい!待てよ!」
笑顔な龍。慌てて自転車に乗り加奈子を追いかける。
追いつかせる気がないぐらい思いっきりペダルを漕ぐ加奈子。
その表情は笑いながら泣いていた。
続く。
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