処刑グルイ皇帝のストッパーは不死の薬師だった

匿名希望ショタ

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プロローグ

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「この者を処刑とする」

 透き通った声がこの大きく広い謁見の場に響く。真ん中に座る人の良さそうな公爵は震え、横に立つ貴族達もいつ自分の番が来るのかと恐怖に立たされている。

 この国の皇帝が処刑した数は千にものぼるというのは諸外国でも噂されている有名な噂だ。何か粗相をするとすぐに処刑にされる。どんな地位のものでも関係がないという。ただそんな噂がある一方平民も貴族も関係なく力、能力さえあれば城に招いたり民のための政策をどんどん打ち出したりと良い噂もたくさんある。そのため、この皇帝を慕うものも多いと聞く。

 今回のこの人のよさそうな公爵は不幸だった。ちょうど機嫌が悪い時に意見をしてしまったのだ。かわいそうだ。そんなことを思いながら他の貴族たちもとばっちりを受けぬように頭を必死に下げる。

 公爵が衛兵に両腕をつかまれ連れていかれそうになる。もう助からないのかと思ったその時だった。

 バンっと謁見の部屋の扉が開く。白いローブを身にまとい、赤黒いチェーンとともにこの国のシンボルでもあるフェンリルのピンが胸元を飾っている若い男が一歩一歩ゆっくりとした足取りで歩く。

「何者か!?謁見室への立ち入りは禁ずる」

 新入りだろうかキラキラ光る甲冑を身にまとい声を張り上げて侵入者の行く末を阻む。先輩と見られる甲冑は直立不動で動かない。誰だか分かっているかのように一つ会釈をする。

「良い」

 またしても透き通った声が響く。それでいて威厳のある声。

「しかし」
「良いと言っている。処刑されたいのか」

 「処刑」の言葉に新人はぶるりと震えながら先輩が待つ、扉へと戻る。

 後から聞くことになるだろう。この侵入者が誰なのか。そして何者なのか。

「閣下、僕の顔に免じて処刑をおやめください」
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