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テル王子視点③
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「ありがとうございます!すぐに押させていただきます。そこの!判を持ってきなさい」
控えていたメイドに呼びかける。普通は判という大事なものは自分で取りに行くか自分で持っていなければならないものだ。使用人だけでなく当主自らも教育が行き届いていないようだ。
早く来ないかな。そろそろ終わりにしたいな。
「持ってまいりました」
丁寧に両手でメイドが緊張した面持ちで持ってくる。技術面については教育が行き届いているようだ。もったいない。もう終わりなんて。
「あぁ王子殿下、これでよろしいでしょうか?」
「うん!ありがとう!」
記入漏れがないか精査する。名前と判がある。これで父上の審査に紛れ込ませれば難なく通るだろう。実は父上には何かすると言ったが何をするかは教えていない。兄上達にも教えていない。今回は僕の単独だ。僕の私利私欲のためにやっている。あの子が手に入る。それを想像するだけでニヤけてしまう。あとの仕事は簡単だからさっさと終わらせちゃおう。
予めセットしてきた魔道具で防音魔法を展開する。敵地だから何があるかは分からない。だから念には念を入れてね。
まだ誰もわかっていないようで金が入ると分かったからかほくほくといった顔をしている。公爵夫人は浪費家だからどの宝石を買うか悩んでいるのだろう。公爵当主も見栄っ張りだから不得意な株の投資を始めると思う。あの子の兄弟達もそれぞれに多くの借金があると調べがついている。返済に当てるだろうな。
でもそんなのは僕が気に入らない。お金もあげるわけないじゃん。僕のお金はあの子のために使うんだ。
だからその為には全員殺さなくちゃね。
有頂天から絶望に落とされた者はどんな表情をするんだろう。
メイドを横目で見る。そして巻き込めれたものはどんな表情をするのだろうか。同罪だけどね。
控えていたメイドに呼びかける。普通は判という大事なものは自分で取りに行くか自分で持っていなければならないものだ。使用人だけでなく当主自らも教育が行き届いていないようだ。
早く来ないかな。そろそろ終わりにしたいな。
「持ってまいりました」
丁寧に両手でメイドが緊張した面持ちで持ってくる。技術面については教育が行き届いているようだ。もったいない。もう終わりなんて。
「あぁ王子殿下、これでよろしいでしょうか?」
「うん!ありがとう!」
記入漏れがないか精査する。名前と判がある。これで父上の審査に紛れ込ませれば難なく通るだろう。実は父上には何かすると言ったが何をするかは教えていない。兄上達にも教えていない。今回は僕の単独だ。僕の私利私欲のためにやっている。あの子が手に入る。それを想像するだけでニヤけてしまう。あとの仕事は簡単だからさっさと終わらせちゃおう。
予めセットしてきた魔道具で防音魔法を展開する。敵地だから何があるかは分からない。だから念には念を入れてね。
まだ誰もわかっていないようで金が入ると分かったからかほくほくといった顔をしている。公爵夫人は浪費家だからどの宝石を買うか悩んでいるのだろう。公爵当主も見栄っ張りだから不得意な株の投資を始めると思う。あの子の兄弟達もそれぞれに多くの借金があると調べがついている。返済に当てるだろうな。
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だからその為には全員殺さなくちゃね。
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メイドを横目で見る。そして巻き込めれたものはどんな表情をするのだろうか。同罪だけどね。
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