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「あぁ、それくらいのことで魔道具を使用するな」
そう冷たく発する。妻がいない屋敷のことなど知ったこっちゃない。俺はただでさえ忙しい。前は妻のために忙しい合間をぬって帰っていたが今、屋敷にその存在がいないから帰る必要は全くない。少しは妻に似れば良かったものの息子は全く妻に似ず俺にそっくりだ。その息子を見てすごく嬉しそうにしていた妻。もう1人の息子は妻が亡くなった時の事で手一杯だったため顔を合わせていない。だからどっちに似てるのかさえ全く分からない。それに次男に関しての報告が随分前から途絶えている。気にしていないがやはり当主が不在ということで舐められているのかもしれない。
「ですがっ」
納得できなそうか執事の顔が映る。不快だ。家族を愛することが当たり前と思ってるような顔、本当に気に入らない。
「ハル様のために少しでもおかえりに」
そうだその顔だ。ハルのために?ハルは妻ではないだろう。それにハルは俺のように表情が乏しくあっちも俺を毛嫌いしているようだ。
「帰らん。そこにはもう妻はいない」
昔は妻がいて暖かく迎えてくれた。だからその暖かいものが欲しくて家に帰っていた。だが今は冷めきっている。ハルの悪評もこちらに流れてくる。ハルは次期当主として冷酷さは優秀だが人を思いやる気持ちがない。生まれた時からそうだった。俺は全然構わなかったがおもちゃを与えてやってもただ壊すだけ。それを俺の前だけで妻の前ではやらなかった。
その時だった。
「ちち!リオでしゅ!マーシャ抱っこ」
「はっはい!」
幼く可愛い妻似の声が聞こえた。魔道具を少し見る。するとマーサという若い乳母に抱っこされた妻譲りのふわふわの赤でもなくピンクでもない目に優しいそんな色の髪にくりくりとした俺の細長く目付きが悪い目ではなく妻の可愛いまん丸の瞳の子供がいた。歳は確か1歳だ。小さいが妻にそっくりだった。俺は固まる。
「...」
そのまま切ってしまった。そして立ち上がり外の扉にいる兵に指示を出す。
「おい!この魔道具の記録を保存しろ」
そう冷たく発する。妻がいない屋敷のことなど知ったこっちゃない。俺はただでさえ忙しい。前は妻のために忙しい合間をぬって帰っていたが今、屋敷にその存在がいないから帰る必要は全くない。少しは妻に似れば良かったものの息子は全く妻に似ず俺にそっくりだ。その息子を見てすごく嬉しそうにしていた妻。もう1人の息子は妻が亡くなった時の事で手一杯だったため顔を合わせていない。だからどっちに似てるのかさえ全く分からない。それに次男に関しての報告が随分前から途絶えている。気にしていないがやはり当主が不在ということで舐められているのかもしれない。
「ですがっ」
納得できなそうか執事の顔が映る。不快だ。家族を愛することが当たり前と思ってるような顔、本当に気に入らない。
「ハル様のために少しでもおかえりに」
そうだその顔だ。ハルのために?ハルは妻ではないだろう。それにハルは俺のように表情が乏しくあっちも俺を毛嫌いしているようだ。
「帰らん。そこにはもう妻はいない」
昔は妻がいて暖かく迎えてくれた。だからその暖かいものが欲しくて家に帰っていた。だが今は冷めきっている。ハルの悪評もこちらに流れてくる。ハルは次期当主として冷酷さは優秀だが人を思いやる気持ちがない。生まれた時からそうだった。俺は全然構わなかったがおもちゃを与えてやってもただ壊すだけ。それを俺の前だけで妻の前ではやらなかった。
その時だった。
「ちち!リオでしゅ!マーシャ抱っこ」
「はっはい!」
幼く可愛い妻似の声が聞こえた。魔道具を少し見る。するとマーサという若い乳母に抱っこされた妻譲りのふわふわの赤でもなくピンクでもない目に優しいそんな色の髪にくりくりとした俺の細長く目付きが悪い目ではなく妻の可愛いまん丸の瞳の子供がいた。歳は確か1歳だ。小さいが妻にそっくりだった。俺は固まる。
「...」
そのまま切ってしまった。そして立ち上がり外の扉にいる兵に指示を出す。
「おい!この魔道具の記録を保存しろ」
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