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閑話 おっかなびっくり彼氏とデート編

①たくさんお食べ

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「うっひょー!  こんなラッキーな事ってあるぅ!?」

今日は船に転移したら海面に大量の素材が浮いていた。欲しかった月光海月だ。見た目は淡い紫色の薄いベールようなカーテン。全体的に透けている。
きっと昨夜の内にたまたまこの場所で月光を浴びて産卵を終わらせ、朝になってご臨終したんだ。

でも月光海月は天変地異級の衝撃でようやく危機感が働いて産卵する海月だった筈だけど……周りを見渡すも隕石が落ちた形跡もなければ何もない。ま、いっか。

「回収、回収♪」

その日はずーっと船で作業した。
今更だけどウエディングドレスを作ったら結婚初夜用の寝間着を作りたくなったのだ。

フィックスさんには内緒で、コツコツと針仕事を進める。


その日、転移で戻るとフィックスさんは不機嫌だった。いや、顔には出していないけど絶対機嫌悪い。わかるもん。探るも愚痴るような事じゃないから、そうプンっと濁されて、なら話したくなるようにしてみせようじゃない、とフィックスさんをベットに強行した。

「ンっ、ん、んんっっ」

はじめは攻めに攻めていたら、いつの間にかフィックスさんが上機嫌になっていて、そしてあっという間に前後不覚のぐだぐだな体にされていて、はて、あんなムキになって一体私は何を聞き出そうとしてたんだっけ?  そんな状態だった。

ハァ……と耳元で吐息が漏れる。その直後、捩じ込むように入り込んだ舌が耳穴をぐりぐりする。背筋から後頭部にかけてぞわぞわと肌が栗立ち、水音と濡れた舌の気持ちよさに意識が遠退く。もうアヘ顔みたいな間抜けな表情で悦んでたと思う。そこで乳首を摘ままれ、反射的にきゅっと膣を締め付ければ中にあるものを再確認させるように腰が加速していく。
もう喘ぎ声が呻き声かも解らない言葉が喉から出て、視界が滲んでいく。

「は、……出そう……もう出そう」
「きゃっ、ひゃ」

ぐだぐたにされてからフィックスさんが私がイクときイクと言うのが凄く好き……と漏らしたのでフィックスさんにもやってもらったらドハマリした。

その際、イクじゃなく出ると言ってみてくれと頼んだ。この辺は性癖うんぬんだろう。詳しくは無いので割愛する。そして今それどころじゃない。

「出すよ……リリー」
「ひゃぁあっっん」

眉間に皺を寄せながら口元は笑っているフィックスさんのエロい顔が近付いてきて思わず私も達してしまった。

「イクときイクって言わなかったからもう一回ね」
「っ、あっ、ん、ふっ……!」

もう朝の9時ですよ。
今度はお口に入れられた性器で反論もできない。てかあの手この手でなかなか終わりが来ない。念話でイクって言えばいいんだけどさぁ、……蕩けるような甘い笑みが近付いてきてまた頭がバカになる。本当に、何を聞き出したかったんだか思い出せない……。



「もー、フィックスさんは元気過ぎます!  もう昼過ぎですよっ」
「朝ご飯の分も沢山お食べ」
「ありがとうございます!」

わあ、かき揚げだぁ♪
ホタテ貝柱と海老とゴボウも入っている。あむあむ、もぐもぐ、塩でもタレでも美味しい。

「ご飯もお食べ」
「ありがとうございます!」

ホタテの貝柱にちょこんとついている、身も硬めで味が濃い少ししか取れないあの部分。その身をほぐして天ぷらにして混ぜご飯の状態でおにぎりにしたものが出てきた。ぱくりと食べると米は海鮮出汁で炊かれたご飯!

「おいふい、おいふっ、しばらくこれ食べたいですぅ」
「いいよ」

なにこれ美味すぎ!
おにぎりって天かすとめんつゆだけでも美味しいのに丁寧に取られた出汁とそのまま食べても美味しい天ぷらで高級おにぎりになってますよ!  料亭とかで出てくるやつ!

口を一杯に両手におにぎり。幸せぇ。

「リリーは可愛いねぇ」

あぁ……エプロン姿でおにぎりを握る私の旦那様がかっこいい。見ると今度はさっきのに葱入りとわさび入りのを握ってくれてる。それ、絶対美味しいやつ。

「フィックスさんはどこにいってもモテると思います。そして土地が変われば男受けするハイスペックな女性って必ずいるんですよ。だからどこにも行かないで下さい」
「いいよ。リリーが俺の中に入ってきたら、ずっと一緒だよ」

おにぎりを握るフィックスさんのちょうど空いた腕の隙間に入り雄っぱいに顔面ぐりぐり。幸せぇ。

「リリーおねいさん、この案内書……ここに置いておくから。どんな物を出すかは、任せるから」

あ、エメラルドちゃん!
頬を染めて気まずそうに咳払いしている。お客さんからは見えない厨房だと気を抜きすぎた。

「なになに……秋の人魚祭?  あ、この前言ってたやつね。オッケー、オッケー」

秋の人魚祭とは、アマリリスの記憶に入っている。

人魚祭……人魚の肉は不老不死の妙薬との言い伝えがある。私は実際はその効果はないと鑑定で知っているが、アマリリスの記憶によるとカプルス共和国は古来より人魚を狩ってその肉で人類は延命したという歴史があるので、しかし今は人魚は架空の生き物という認識なので皆で長命な食べ物を集めて長寿になろう、と最初は村単位の祭だったらしい。

今はアルレントの裕福な国民も知っているほど、有名な祭だ。というかアルレントのオークションでも出てこないような希少な漢方とかも出没するらしく、繁盛期を終えたカプルス共和国に各国の商人が集まってくる時期でもあるのだ。

祭とは、夏に行うものだと思っていたけど、夏のカプルス共和国は繁盛期だから。お金をかけて祭をしなくとも人が集まるのだ。まだ夏だけど秋頃には人も減るので、そこで毎年祭を開催するらしい。それが秋の人魚祭というわけね。

「リリーは何を出すの?」
「う~ん……サリラン大陸魔境支部の浮き島ダンジョンで見つけた命の砂か、秘境支部の冷獄ダンジョンで見つけた氷命のタケノコか、どっちがいいですかね……」
「わかんない。どっちも生命力はあまりないし。俺の方がリリーにもっと美味しいもの出せるよ」

そう言ってフィックスさんは白い胡桃を出した。それをバキっと握って潰すと中にあった身をアーンされた。

「っ、おいち!  おいちいよう!」
「可愛い可愛い」

なんて香ばしくて油がのっててあと引く味なんだろう。パン生地に入れても絶対美味しいやつ。
わぁ。鑑定したらコスモ胡桃だぁ。
サリラン大陸魔境支部の海底ダンジョンから伸びる蔦に実る白い胡桃。

この胡桃は熟すと宇宙に飛び出して小さな惑星となる。見た目通り胡桃ほどの大きさしかないが、天文学的な時間をかけて惑星へと成長するのだ。公式がそう言ってた。

前世ゲームでは景色だから採取できなかったんだよねぇ。飲み込むと胃の中で膨大なエネルギーを感じた。

「これ沢山食べたら鼻血でちゃいそうです。ねぇフィックスさぁん。これでパウンドケーキ作ったら絶対美味しいやつぅ」
「いいよ。なんでも言って。全部叶えてあげる」

くふぅ♪
追加の胡桃をあーんされてにんまり。

「っ、」

しまった。
エメラルドちゃんがあーんされてにんまりしてる私にドン引きしている。人前でまずった。

「オホン。エメラルドちゃん」
「……うん?」
「祭には私が錬金調薬した秘薬でも出しておくよ」
「……それ、前にマリンとシリンにも飲ませたやばいやつだよね?  騒ぎになるんだけど……」
「ん?」

エメラルドちゃんは心底疲れたという顔でげんなりとして「氷命ひょうめいのタケノコならギリ大丈夫だから」と踵を返した。そうか。これ、役に立たない大人だと思われたな。意外と長寿な素材ってないのよねぇ。長寿トリュフとか長寿スッポンとかあるけど、あれは精がつくだけだし。

フィックスさんがパウンドケーキを作りはじめたので、今日は一日中フィックスさんの腰に引っ付いてることにした。うふふ。フィックスさんの手作りケーキ楽しみぃ。



「雲よーりたーかぁーい、鯉のーぼーりぃー」
「リリーは可愛いね」

現在お部屋でまったりとフィックスさん特製のパウンドケーキとフィックスさんが淹れてくれた紅茶を頂いている。そして隣にはフィックスさん。何事にも変えがたい至福の時間だ。

「私は、フィックスさんに何か頼まれたら断らないことにしましたモグモグ」
「うん?」
「私がフィックスさんにアレが食べたいコレが食べたいと言った時、もし断られたら……想像しただけで落ち込みます。寝込む気すらするのです。なのでフィックスさんが私に何か頼んだら、全力で頑張ります。だから私に何か頼む時は、もし断られたら、とか気にせず、遠慮せず頼み事をして下さい」
「でもリリー俺が言わなくてもいつも叶えてくれるから」
「そんな事ありません!  その鯉のぼりだって、フィックスさんが欲しいと言ってくれなかったら一生気付かずそのままですよ!」

私の作ったフィックスさん専用の鯉のぼり。
てか淡水鯉のぼりの成体を大幅にアレンジして見た目は海王蛇のぼりになってるんだけどね。嬉しいことにフィックスさんは気に入ってくれて、そのあとピアスの時のように自分の体の一部にしてしまった。

ピアスはいつも耳たぶにあるけど、海王蛇のぼりはたまにこうやって外に出して振って遊んでいるフィックスさん。少年のようにキラキラした目だ。そんな姿に内心身悶え中なのだ。

「リリー、今日は船乗るの?」
「え、乗りません」
「そう。昨日は乗ったよね」
「はい」
「……昨日は海で何をして遊んでいたの?」

随分低い声だ。
確実に何かを聞き出そうとしている声色だが、フィックスさんに話せるような面白い出来事はなんも無かった。

「?  ずっと船に居ましたよ。たまたま海面に欲しい素材があったので、収納してからはずっと船で作業してました。足らなくなったらまた海面から回収してー、作業してー、……それくらいかなぁ?」
「そうだったんだぁ」

ぱっと消えた海王蛇のぼり。
フィックスさんがこてんと首を傾げた。

「何を作ってたの?」
「……その、内緒です」
「内緒なの?」
「今は、内緒です。その内お見せすることになると思うので……」
「リリーが着る服?」
「……はい。私が着ますよ」

額と額を合わせて、握られた手に指が絡んでくる。

「それはいつ着るの?」

い、いつとは……初夜の時に着るけど。なんかそう言うのは直接的すぎて恥ずかしいなぁ。なので結婚式の後にね、と小声で言う。

「なら俺は結婚式の後にそれを脱がせたらいいの?」
「……もー、そうですけどぉ」

ぷちぷちと胸元のボタンが外されていく。
フィックスさんの顔が私の胸に埋まる。両腕でムギュっとするとこてんと背後に転がった。
このまま致すのかと思ったが、催したわけではないようだ。
それよりも甘えられている感じがして胸がキュンとした。

「明日は俺もリリーと泳ぐ」
「ん、どこの海、で?」
「どこでもいいよ」
「えーっと、じゃあ……カプルス共和国の最北端に漁村とか沢山あるじゃないですかぁ?」
「あるね」
「殆どが廃村で、船もあまり出てないみたいなんです」

これはマリアーナさんから聞いた情報だ。
マリアーナさんは双子を妊娠中、カプルス共和国の最北端に辿り着いたと言っていた。そこで養殖業でもして地上で子供を育てるつもりだったらしい。

しかし辿り着いた最北端は、荒れた地で、村人も少なく、最初は美人のマリアーナさんを超高級食材で歓迎して是非この土地で子供を育てるといいと言ってくれた人々が何故か一ヶ月ほどで冷たくなり、余所者は出ていけと追い立てられたそうだ。

"……とくに危険な目に合ったということは無かったけど、いやに海に入るよう奨めてきたね"
"海にですか?"
"ああ。あたしが辿り着いたのはスス村ってとこなんだけど、村の外れに洞穴の洞窟があってね。夕方になると天井の穴からオレンジ色の光が舞い降りる神秘的な洞窟なんだ。小舟まで貸すと言って奨めてくるから何度も行ったが、戻ると何故か皆が怒っていて……"
"へぇ。よくわかんないですが村で唯一の観光場だからもっとよく眺めて褒めて欲しかったんですかね?"
"ははっ、多分そうなんだろうね。でもあたしは景色なんか眺めてうっとりする性格じゃないからね~。静かだし落ち着く洞窟だったよ。魚どころか虫一匹いないんだ"
"あ、じゃあ今度フィックスさんと行ってみようかな"

──という会話の経緯でその観光スポットを知った。
静かで落ち着く神秘的な洞窟なんて、恋人いなかったら行きにくい。

「最北端は海の中に人間はいるけど、船は出てないね。海中も殆ど手付かずみたい」

おっ。いま探ってくれたみたい。
なんて出来る旦那様!  素敵すぎるぅ。



というわけで、翌朝フィックスさんと一緒に最北端に向かった。


「きゃあ~♪フィックスさん早ぁい♪待って待ってぇ♪」
「おいでリリー」

最初は一緒に泳いでたんだけど、途中からフィックスさんの肩に掴まると、物凄い速度で泳いでくれた。

これ、海中だから大丈夫だけど、海上でやったら水飛沫が凄いだろうな。大津波を発生させてしまいそうだ。

地図を発動して場所を確認。
スス村の近くの浜辺に辿り着いた。

「きゃあ~♪楽しかったぁ♪フィックスさんに掴まったら15分で着いちゃいましたね♪」

ぴょんぴょん抱き付いてお互いの体を洗浄。収納にお飾りだけどちゃんと機能する自転車があるから、今度二人乗りとかもしてみようかな。その時はセーラー服とか着てみようかな♪前世でやれなかったこと、全部試してみたいな。

「うっふふ♪」
「リリーは可愛いねぇ」

フィックスさんはいつものシャツにデニム。
私は海の頂点の上にシャツワンピース。
手を繋いで浜辺を歩いていると村人と遭遇した。

「あ、……あんたら」

あらま。痩せこけたガリガリな男性。
山菜を摘んでいる最中だったようだ。
鑑定すると手のカゴには磯アケビや浜人参。辛みのある薬味だ。
それにしてもかなり驚いた顔をしている。

「こんにちはー、夫と観光で散歩してまーす」

怪しい者じゃありませーん、とフィックスさんにくっつきながら満面の笑みで手を振る。

「…………そう。観光……なら食事はこの先の村にある赤い屋根の飯屋がおすすめだよ。都心では高額な食材が安く食べれるんだ」
「そうなんですね。後でいってみますね~」

お。直感が絶対行くなと言わんばかりにビリっとした。
恐らくマズイご飯が出てくる。
別に寄らなくてもいいかな。フィックスさんのご飯で肥えた舌を唸らせる程ではないだろう。


「ねぇねぇ、フィックスさん」
「うん?」
「この界隈、さっき海中を探知探索したんですが色々ありますねっ!  後で海鮮バーベキューしませんか?」
「いいよ」

やったぁ♪
白銀アワビに艶サザエ。
皇帝海老に金目玉鯛もあった。
全て超高級食材だ。
来る途中にも感じたけど、本当に手付かずの海みたい。

お。その辺を探知探索してると少し離れたところに洞穴の洞窟がある。マリアーナさんが言ってたのはあそこだな。

「この辺で休憩にしましょう!」
「ふふっ、なに食べたい?」

バーベキューセットを出すと後ろからフィックスさんに抱きつかれた。
う……動きがどことなくいやらしい。

「フィックスさん。そのエロい胸筋を押し付けないで下さい」
「さっき泳いでるとき背中にリリーの胸が当たってて、気持ちよかったから。お返し」
「……仕方ないですねぇ」

ニヤニヤしながら炭とかトングを用意する。
確かにさっきは泳ぎながらわざとお胸をぐりぐりとかした。勢いでね。海は人を大胆にさせるのだ。

……後でなんて言って洞窟に誘おうかな。
私もマリアーナさんみたいに、神秘的な洞窟にうっとりするタイプじゃないからなぁ。

お。いま離れたところに人を探知した。村人だ。数人がこちらを伺っている。偵察かな?  まあ余所者だし、気にはなるよね。

フィックスさんに了承を得て、半径5メートルを結界と隠密で包んだ。これならお互い姿が見える。

「フィックスさん、結界割らないで下さいね」
「わかった」
「っ、」

……もう。結界と隠密にした途端、胸をもみもみされた。揉みながら首筋をちゅっと吸われた。

「もー、あとで襲いますよぉ?」
「いいよ」

……いいんだ。
なら後で洞穴の洞窟に誘いやすい。
別にそういう事がしたくて誘ったわけじゃないんだけどね!  結果的にね。
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