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第26話「卒業試験とファーストキス」
しおりを挟むファルネス領の夏祭りから4ヶ月。黒屋はあれ以来ファルネス領の人気店になっている。可愛い女の子のスタッフも増やし、制服のメイド服も新調して順風満帆だ。俺は店を料理長のオーリンさんに丸投げして、冒険者稼業に精を出している。先月やっとCランクに上がったところだが季節はもう冬。魔物も冬眠に入り、冒険者ギルド全体が暇になる時期に突入した。
「雪が降ってきちゃったっすねぇ。また魔物居なくなっちゃうっす」
「まぁしょうがないですよ。魔物も動物みたいなものですし」
俺達は冒険者ギルドで依頼を受けるでもなく、ロビーでお茶をしばいていた。フラン先生と2人で寛いでいると、シルビア先生がやってきた。
「クロード、明日時間あるか?」
「はい、大丈夫ですけど何かありました?」
「明日、お前の卒業試験をやるぞ」
「卒業試験、ですか?」
「ああ、そろそろお前は王都の学園に行くための準備もしなくちゃならないだろう。その前に、お前が今どこまで出来るようになったか確かめさせてもらうことにした」
「…随分急なんですね、いきなり卒業だなんて」
「いきなりやらないとお前の真の実力がわからないだろう。今の時期が一番適していると判断したんだ」
「…わかりました」
「明日の朝8時にお前の家の修練場に来い。そこでやるからな」
「了解です」
突然言われて驚いたが、明日の準備をするため今日は依頼を受けずにギルドから家に戻った。
「卒業か…そんな時期なんだな」
まだまだ先だと思っていた。毎日が充実していたから時間が遅く感じたのかもしれない。
『ステータスオープン』
名前:クロード=グレイナード
年齢:11歳 種族:人間
称号:グレイナード子爵家3男 魔導師 雷光の魔女の弟子 Cランク冒険者 クリスティア王国男爵 ゴブリンキラー 銀月の誓いの弟子 カレーの申し子 ドラゴンキラー
加護:転生神の加護 武神の加護 魔法神の加護 恋愛神の加護
レベル:33
HP:525/525
MP:5945/5495
筋力:146 体力:123 魔力:454
精神:398 敏捷:155 運:300
EXスキル
【魔法創造】
@【念動魔法”LV7”】@【探索魔法】@【変形魔法】
@【魔法融合】@【着色魔法】@【領域指定】
@【分離魔法】@【隠蔽魔法】@【地盤沈下】
@【録音魔法】
【身体変化魔法(20歳限定)】
魔法スキル
【火魔法”LV8”】【水魔法”LV8”】【雷魔法”LV9”】【無魔法”LV7”】
【魔法制御”LV8”】【魔力操作”LV8”】【収束魔法】【詠唱破棄】
【多重並列思考】
技能スキル
【無限収納】【真眼】【言語理解”極”】【剣術”LV6”】【短剣術”LV5”】
【盾術”LV3”】【隠密”LV4”】【索敵”LV5”】【体術”LV5”】
【魔法耐性】【物理耐性】【状態異常耐性】【礼儀作法”LV3”】
【料理”LV5”】【罠解除”LV3”】【異性誘引】
久々だなステータス見るの。今までの戦闘でLVも上がり、全体的にステータス値は上がっているしスキルも増えた。リューネ母さんが持っていた詠唱破棄や多重並列思考を会得することが出来たのが大きい。というかEXスキルの【身体変化魔法(20歳限定)】ってなんだろう。限定って。今迄気付かなかったがこんなの持ってたっけ? 【真眼】で概要を見てみる。
EXスキル【身体変化魔法(20歳限定)】:肉体を20歳の体に成長/若返りさせることができる。能力値は現在の値で固定。ただし時間が経つと元に戻る。効果時間は6時間。再使用には24時間クールタイムが必要。魔法神作成のオリジナルスキル。
大人になれるスキル…もしかしてエレメラ様からの麻雀のお礼ってこれか? またえらくピンポイントなスキルだな。でもこれはこれで使えるかもしれない。今の俺はシルビア先生よりも剣術は弱いし、フラン先生よりも隠密や索敵の能力は低い。水魔法もユミナ先生みたいに扱えてない。所謂器用貧乏ってやつなんだろう。使える手段は多いに越したことはない。
でもこんなの使ったら色々やばいかもな。いきなり子供が大人に成長するとか、下手したら神様達の関与を疑われる原因になる恐れがある。それもまずいので極力使わないでおいた方がいいかも。
まぁ俺には【魔法創造】で作った魔法がある。最近生産方面にしか使ってないけど。多分明日の卒業試験は戦闘になる。念のため対先生用の切り札でも作っておくかな。
翌日、家の裏の修練場でシルビア先生達と対峙する。周囲には程よい緊張感が場を包んでいた。その場にはシルビア先生が審判兼治療役としてリューネ母さんを呼びだしていた。
「リューネ殿、審判役よろしくお願いします」
「了解だよシルビアちゃん。それではこれよりクロちゃんの卒業試験を開始するよぉ。怪我をしても私が治すから全力でやってね」
そう宣言すると先生達全員が武器を構えた。模擬用ではなく、いつも使っている武器だ。
「試験内容は簡単だ。クロード、私達全員に勝ってみせろ!」
「え…えぇ!?」
「いくぞ2人共。手加減するなよ!!」
「分かってるっす! これもクロっちの為!!」
「うん、がんばるよ!」
「それじゃあ始め!!」
卒業試験って3対1でバトルかよ!! 驚いたが、とりあえず剣を構えて身体強化を使い、先生達の出方を見る。シルビア先生が突っ込んでくるが、さっきまでそこに居たフラン先生がすでにその場にいない…後ろか!!
直感ですぐにその場から飛び退いた。俺の首があったところにフラン先生の剣撃が通りすぎる。
「あら、外しちゃったっす!」
「かまわん! そのまま攻撃!」
…やるしかないのか!
「【魔法融合】発動! 雷氷の縛鎖!!」
水と雷の魔法融合で放たれた6本の鎖がフラン先生の動きを奪おうと追いかける。フラン先生は懸命に躱すが鎖の方が早い。だがシルビア先生がカバーに入り、6本の鎖全てを炎の剣で叩き切った。
「甘い!!」
「助かったっすシルっち!!」
「シルビア先生、それ魔法剣ですか!?」
「ああ、お前と戦うのだからこのくらい用意しておかないとな!」
魔法が苦手なシルビア先生が魔法剣を使う。それだけこの戦いが本気だということを表していた。
「私が前に出る。フランとユミナは遠距離から攻めろ!」
「「了解(っす)」」
シルビア先生が突っ込んでくる。シルビア先生の連続剣撃を自分の剣で数回受けると、それを弾いて後ろへ飛んだ。…躱せる。前は躱せなかったシルビア先生の剣が!
「そこっすクロっち! 連射弓!!」
『水の槍よ、貫け! 水槍×3』
「ちぃっ! 『重雷障壁』!!」
左右から矢と水の槍が複数飛んでくる。俺は全方向防御をせざる負えない。
「行くぞクロード! 『炎爆閃刺』!」
シルビア先生が高速の炎の突きを繰り出してくる。それが俺の雷の障壁に触れた瞬間、辺りは光に包まれた。
『反撃魔法 障壁爆華!!』
ドォォォォォン!
重雷障壁を攻撃に転化させ、周りの物をまとめて吹き飛ばした。
「くっ、やってくれるな!」
どうやらあまりダメージは入っていないらしい。やっぱ硬いなシルビア先生。
「今度はこちらから行きます! はあああ!!」
こちらからも攻勢に出る。シルビア先生を様々な角度から切りつけ、少しずつ前に出る。徐々に追い詰めシルビア先生の剣を払い、隙を見て蹴りを脇腹に入れた。
「ぐふっ!」
「シルビアちゃん! 下がって!」
ユミナ先生が魔力を集中して、大きな戦槌を形成する。
『水神戦鎚!』
水の戦鎚!? それなら!!
『【魔法融合】発動! 業炎雷槍!』
巨大な水の槌と強力な炎雷の槍がぶつかり合い、蒸発して大量の水蒸気が発生する。その水蒸気が俺とユミナ先生を包み込んだ。
「わぷっ!」
「ユミナっち!」
俺はその隙を見逃さない。地面を蹴ってダッシュでユミナ先生の後ろに回り込み、首筋に手刀を入れる。ちょっとだけ気を失っていてください!
「すいません、ユミナ先生! 『感電』!」
「きゅ~」
放っておくと厄介なユミナ先生は気絶した。あとはフラン先生とシルビア先生だけだ。
「まったく、やってくれるな」
「ほんとっすよ。強くなったっすねクロっち!」
「こっちもギリギリですよ!」
お互いに剣を構える。シルビア先生はちょっとだけ微笑んだ。
「いくぞ!!」
シルビア先生が飛び出して、フラン先生がサイドから迫って来る。フェイントを入れつつ上段から斬りかかってくると、それをなんとか右手の剣で捌き左手で魔法を使う。
『水封玉!』
「ちょ!」
水の玉が横から迫ってきたフラン先生を包み込む。玉の中に捕まると通常の攻撃じゃまず破れない。捉えたか?
「甘いぞ! はあ!」
パァン!
炎の剣を一閃するとフラン先生を包んだ水の玉が跡形もなく吹き飛んだ。そのままシルビア先生が突っ込んできて乱撃戦になる。最初の頃とは違いシルビアの剣筋は見えている。多少ダメージをもらいながらなんとか捌いていく。そう簡単にはまともに食らわない!
「ふふ、本当に出来るようになったな!」
「ありがとう! ございます!!」
なんとか剣を振り払い後ろへ引く。そこにはフラン先生が魔法を詠唱していて、風の刃を飛ばしてきた。フラン先生も風魔法なんて使えたんだな。
「『風翔刃』っす!」
『重氷障壁!』
全方位を覆う氷の壁が地面から飛び出し、フラン先生からの魔法攻撃を防ぎきる。それと同時に俺と先生達との間に立った壁が2人の視界を遮った。
「ははは、喰らえ! 『爆炎硬剣』!」
シルビア先生の炎の剣が頑丈な氷の壁を切り裂く。切り裂いた壁にフラン先生が追撃をしてくるがもう遅い。視界を塞いだ瞬間に、俺は『転翔の羽』でシルビア先生達の頭上へと飛んでいたのだ。
「消えたっす!?」
その上空で俺の魔法が完成する。
「【四天烈破弾】発動!!」
火、水、雷、無の4属性の巨大な玉を俺の周囲に作り、その玉から各属性の魔弾をガトリング砲のように連続で打ち出していく。魔力消費は激しいがその物量で対象を破壊し尽くす昨日作った俺の切り札だ!
ズガガガガガガガガガガガ!!
「ちょ!! うひゃあああああああ!!」
「ぐああああ!! 負けるかぁ!」
フラン先生は持ち前の機動力で回避し、シルビア先生は魔法剣で魔弾を撃ち落としていく。しかし、流石に上空からの無差別攻撃の上に数が多いのか全てに対応しきれていない。2人に少しづつダメージを蓄積していく。だがこれで終わりではない。【多重並列思考】で違う魔法を同時発動する。
「【魔法融合】発動! 『豪天爆雷!!』」
雷同士を掛け合わせた融合魔法。空に紫の球状のものが出現し、相手に向けて強烈な雷が落ちる。
「これは…避けきれないっす!」
「追撃!? そんなもの!!」
【四天烈破弾】の相手で手一杯で逃げられないところに落雷の追撃。フラン先生とシルビア先生はなんとか防御しようと試みるが、剣も周りも水属性の魔弾のせいで濡れていて、触れただけで感電を引き起こす。
ズガアァァァァァァァン!!
「にゃあああああああ!!」
「ぐああああああああ!!」
豪天爆雷を頭上からまともに食らい、2人は派手に吹っ飛んだ。多分もろに入ったと思うけど大丈夫かな? シルビア先生とフラン先生は場外まで吹っ飛んではいたがピクピクしている。どうやら無事なようでよかった。
「そこまで! 勝者クロちゃん!!」
「2人共大丈夫ですか?」
リューネ母さんが2人に回復魔法をかけ治療する。ズタボロになっているが命に別条はない。ユミナ先生も復活して2人の治療に回っている。
「…これで分かったろう、クロード」
「えっ?」
「お前は強い。自分で思ってるよりも強くなっている。お前は自分にあまり自信がないみたいだが、そんなことはない。私達3人がかりでも、それを跳ね返せる力を持っているんだ」
「シルビア先生…まさかそれを俺に教えるために…」
「そうっすよクロっち。クロっちまだ11歳で、これからどんどん強くなるんすから。今から自信持たないでどうするんすか?」
「フラン先生…」
「うん、クロードくんは強い。私じゃもう、足元にも及ばないくらい」
「…そうでしょうか。でも俺は…」
「クロード、私達に師事したお前が私達を超えて、これからさらに未来へ羽ばたいていく。こんなに嬉しいことはない。そんなお前が自信を持たないでどうする?」
俺…そんなに弱くないのかな?
「私達がお前に教えることはもう何もないな。いいか? フラン、ユミナ」
「うん! 問題なしっす!」
「大丈夫」
シルビア先生が俺の肩に手を置く。そして優しい笑みを浮かべていた。
「お前は今日で卒業だ。本当によく頑張ったな」
「シルビア…先生…」
フラン先生が俺の後ろに回って抱きついてくる。
「ほらほら、そんな顔しないっすよクロっち! せっかくの卒業なんすから!」
「フラン先生…」
ユミナ先生が手を握ってくる。
「クロードくん、卒業おめでとう。よく頑張ったね」
「ユミナ先生…ありがとう、ございます!」
どうやら本当に今日で卒業らしい。そのことを実感すると、自然に涙が出てきた。
「先生達…ありがとうございました!! 受けた教えを忘れず、これからも精進していきます!」
「ああ。がんばれよクロード! これからも期待している!」
「はい!!」
「よっし! それじゃこれからみんなで打ち上げっす! クロっち卒業記念パーティっす!」
「うん! やろう、打ち上げ!」
「リューネ殿も行きましょう」
「ううん、私はいいよ。師弟で楽しくお祝いしてきて欲しいな」
「…わかりました。審判と回復、ありがとうございました!」
リューネ母さんを置いて、みんなに引っ張られて修練場を後にする。俺ってほんとにいい先生に教えてもらってたんだな。ありがとう、先生達。
「おめでとう、クロちゃん。お疲れ様」
その後俺達は近所の居酒屋で卒業記念パーティを開いていたはいいが、はしゃいで酒を飲みすぎて寝てしまったユミナ先生をシルビア先生が担いで先に宿屋に帰ってしまった。今はフラン先生とまったり飲んでいるところである。
「クロっちぃ、飲んでるっすかぁ?」
「飲んでますよ。果実水ですけど。フラン先生は飲み過ぎじゃないですか?」
「このぐらい飲んだ内に入んないっすよぉ。虎獣人は酒に強いんす!」
そうは言っているが結構酔いが回っている感じだ。とりあえず俺の果実水飲ませとこう。
「ほらフラン先生、これ飲んで」
「クロっちぃ、間接キスっすか? なんかエッチぃっすねぇ」
「どこがやねん…。いいから飲んでください。それ飲んだら帰りますよ」
「えー、もう帰るっすかぁ? うぷっ、ちょっと気持ち悪いっす…」
「流石に飲みすぎですからね。大将、お勘定お願いします」
「あいよ!」
居酒屋を出たあと近くの誰もいない公園のベンチに座り、フラン先生の酔いを覚ましていた。吐きはしなかったが、若干グロッキーになっていた状態が外の風に当たることで多少改善してきたようだ。
「ふぅー。外の風が気持ちいいっすねぇ。だいぶ楽になったっす」
「そりゃあんだけ飲んだらそうなるでしょうよ」
「でもエール3杯とワイン一本と、あとはジャポネス酒と滅殺鬼殺ししか飲んでないんすけどねぇ」
それだけ飲めば十分な気がするが…。特に最後のはヤバイ感じしかしない。
「クロっちはお酒飲まずに楽しめたっすか?」
「ええ。楽しかったですよ。ユミナ先生が酔って甘えてきた時とかめっちゃ可愛かったですし」
「…やっぱりユミナっちが好きなんすかねぇ」ボソッ
「ん? なんか言いました?」
「なんでもないっすよ。それより、クロっちに聞きたいことがあるんす」
「なんですか?」
フラン先生がベンチから立ち上がって、座っている俺の前に立つ。
「クロっちは学園を卒業したらどうするんすか?」
「卒業したら…ですか」
「どこかに旅に出るとか、…ファルネス領に帰ってきて私達とまたパーティ組むとか」
「そうですね。まだ何も考えてなかったですけど、それもいいかもしれませんね」
「ほんとっすか?」
「ええ。でも多分、領地を一つ任されて領地経営に従事するかもしれません。なんの因果か国王陛下に男爵にされてしまいましたからねぇ」
どうしてこうなったのやら。
「りょ、領地経営っすか。男爵さんも大変っすねぇ」
ほんとにね。出来ることなら辞退したいわ。
「…もしクロっちが領地持ったら、私もそっちに移っていいっすか?」
「そっちって、俺の領地にですか?」
「うん。…クロっちの側に居たいんす。ダメっすか?」
…どういう意味だ? そういうことって思っていいのか? いや、流石にそれはないだろう。俺みたいな子供にフラン先生が告白めいたことを言うわけがない。これはあれだな。俺の作る領地の方が楽しそうだからとかそういう意味だろう。
「もちろん大歓迎ですよ。まぁそもそも何処の領地を任せられるかもわからないし、冒険者ギルドが作れるかもわかりませんけど、面白い街にするつもりですから期待しておいてください」
俺が笑顔でそう言うと、フラン先生が呆れた顔をしている。
「…はぁ。クロっちってかなりの鈍感さんっすよね…」
ため息を吐いてそう言うとフラン先生は俺に近づき、その顔を寄せてくる。
「フラんっ!?」
フラン先生の柔らかい唇が俺の唇に重ねられる。突然のことで全く反応できなかった。柔らかい…。ていうかこれって…キスか? え? なんで!!? 俺は動くことも出来ずにいたが、内心は俺史上最大のパニック状態に陥っていた。
それからどれくらいの時間が経ったかはわからないが、ゆっくりとフラン先生の唇が離れていく。
「…側に居たいって言うのは…こういうことっすよ」
夜で見辛いが、よく見るとフラン先生の顔は真っ赤だった。俺の顔も多分真っ赤になっているだろう。するとフラン先生は少し離れて、くるっと後ろを向いてしまう。
「フラン…先生…」
「そ、それじゃ、先に帰るっす。またねクロっち!」
そう言って背を向けたまま走り去ってしまった。俺はどうしていいか分からず、その場で固まっていることしか出来なかった。俺の人生最初のキスは…お酒の味がした。
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