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第22話「王国生誕祭1日目」
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「クロっち早く行くっす! もう始まってるっすよ!」
「ちょっと待ってください! 今行きますから」
街の中は昨日とは比べ物にならないくらいの熱気に包まれている。今日は王国生誕祭。クリスティア王国最大のお祭りであり、様々なイベントが行われるこの国で一番熱い日だ。
俺達は宿を出て外の喧騒の中を進み、王都の中央広場まで来ていた。
「ふぉー! すごい人っすね! 王都の中にこんなに人が居たなんてっ知らなかったっす!」
「この国最大のお祭りらしいからな。まだまだ集まるんじゃないか?」
「人多い、迷っちゃいそう…」
「それじゃ手を繋いでいきましょうか。俺も迷いそうだし」
「うん、繋いでいこう」
出店の数が昨日より格段に多い。大通りにずらっと並んでいるのは全て出店だ。その上、色々な店でデカ盛りサービスや、タイムアタック等のイベントをやっているから人が殺到して列を形成しているので、普通の行動すらままならない。
「私、列に並ぶのって苦手なんすよねぇ」
「まあ焦ることないですよ。ゆっくり見ていきましょう」
街の中を練り歩くと見知った、というか昨日会った顔がそこにいた。
「あれ、アリア? こんにちわ、来てたんだね」
「あ、クロードです! こんにちわ!」
「昨日ぶりですねクロード殿。先日はありがとうございました」
「いえ、気にしないでください。それで、こんな所にいて大丈夫なんですか? 侯爵令嬢がこんな騒がしい中に来てたらまた攫われ兼ねませんよ?」
「大丈夫ですよ。王国生誕祭の開催中は、王都内で犯罪を犯した者は全て重罪として処理されることが国法で決まっていますから。それにそこら中で衛兵が警戒していますから、重罪のリスクを冒して犯罪を犯す輩は滅多にいませんよ」
「そ、そうなんですね」
「クロード。これから王族のパレードがあるみたいなのです! 一緒に観ないですか?」
「んー。シルビア先生達はどうします?」
「私はお腹空いたから何か食べてくるっす」
「私もフランちゃんと、一緒にいくよ」
「3人で見に行ってきたらいい。お前も一端の冒険者なんだ。ジュリウス殿と共に彼女を守ってやれ」
「わかりました! いいよアリア。一緒に見ようか」
「はいです!」
「パレードがが終わったら中央広場の噴水で落ち合おう」
「わかりました。行ってきますね」
俺とアリア、ジュリウスさんは、パレードが通る王城へと続くメインストリートへと向かう。そこには既に、陛下や王女様をひと目見ようと大勢の人が並んでいた。
「どうしよう、これじゃ見れないのです」
「そうだね…。じゃあ見えるようにしようか」
人の少ない後ろの方で、【無限収納】から何か作る時に使うかと思って入れておいた巨大な岩を取り出すと、【変形魔法】をかけて高さ3m程の階段付きの座って見れる物見台を作った。
「これは…」
「クロード…すごいのです!!」
「これの上なら人混みに邪魔されることなく見れるよ。ちょっと目立つけど」
「クロードはすっごい魔導師なのですね!」
特製の物見台の上に上がり、そこに腰掛けパレードが来るのを待つ。パレードなんて前世の某ネズミの国で見て以来だからちょっと楽しみだ。
「クロードはパレード見たことあるんですか?」
「いや、(異世界じゃ)初めてだよ。アリアはあるの?」
「はい! 去年もここで見たのです! リムルお姉ちゃんがすっごく綺麗でした!」
「リムルお姉ちゃん?」
「クロード殿、リムル・ウル・クリスティア様。アリア様の親戚筋の方で、この国の第2王女様です」
「そうなのです!」
「そうなんだ。そのリムル様とは仲いいの?」
「はい! お城に行ったら一緒に遊んでくれる優しいお姉ちゃんです!」
「そっか、それじゃいっぱい手を振ってあげなきゃだね」
「はい! いっぱい振るです!」
(クロード殿はアリア様と同い年なのに、兄妹みたいですね)
しばらくアリアと談笑しているとあたりが急に騒がしくなった。どうやらパレードが始まったらしい。最前列で兵士が音楽を奏でながら、大きな馬車がやって来る。
「わー、よく見えるです!」
「あの人がリムル姫様?」
「そうです! リムルお姉ちゃんです!」
最前列を歩いて誘導する騎士、その後ろの大きな馬車の上では、国王と王妃、第1王女らしき人とリムル王女が優しそうな笑顔で手を振っていた。
その時、【探索魔法】に魔力反応が引っかかた。明らかに過剰で攻撃的な魔力。その方向の屋根の上にいる1人の男が狙ってるのは…国王達の馬車!? その男に気付いている者は俺以外誰もいない。
「どうしたです? クロード」
「ジュリウスさん、ちょっと離れるのでアリアをお願いします!」
「えっ、クロード殿!?」
(身体強化全力発動。『重雷障壁』発動準備!)
人垣を飛び越え馬車に隣接する。敵の巨大な攻撃魔法は放たれ、既にそこまで迫っていた。
「間に合うか! 『重雷障壁』!!」
ドガァァァァァァン!!
国王陛下の馬車の周りで爆風が吹き荒れる。さっきまでの喝采が飛んでいた状況とは真逆。周りの観客が阿鼻叫喚に近い状態になっていた。
だが、少し俺のほうが早かったようだ。そこには被害がない馬車と巨大な雷の盾が張り巡らされている。攻撃魔法が防がれたのを確認したのか、攻撃してきた男がその場を離脱しようとしているようだ。こんなことやった奴を誰が逃がすか!!
「【領域指定】発動! 『雷縛鎖』!!」
陛下達に攻撃魔法を放った犯人を雷の鎖で縛り上げる。全身を雁字搦めにされた男は必死に抵抗していたが、解除出来ないと分かると色々諦めたようだ。敵の無抵抗を確認した頃、馬車の方から声がした。
「クロード、これは一体どういうことだ?」
声の主は国王陛下だった。さすが王様、こんな時にも余裕がある。
「陛下達のことを魔法で攻撃しようとした人がいたんです。その魔力を感知したら思いのほか大きく危険だったので、防衛行動に入らせて頂きました」
「なんと! 誠か!」
それを聞き、王妃様達は顔を青くしている。
「はい。魔法を放った犯人はあそこの屋根の上で魔法で捕縛してありますので、衛兵の人に回収お願いできませんか?」
敵がいた屋根を指さしながら言う。逮捕は俺の領分じゃないからね。
「わかった。騎士達よ、あそこの屋根にいるものを捕えよ!!」
「「「はっ!!」」」
数人の鎧の騎士が人ごみを掻き分け現場に急行する。後は捕まえるだけなんだから問題ないだろう。今回のは結構ギリギリだったな。
「どうやら命を救われたようだなクロード。後で褒美を渡すから城に来てくれ」
「えっ!? いや褒美なんて…」
「いいから来い! これは王命だ。分かったな?」
「…了解いたしました。後ほど伺います」
「うむ。さて、この場をどうにかしないとな」
辺りの騒ぎは多少収まってきたものの、もはやパレードをするような雰囲気ではない。住民達は驚き戸惑っているようだ。
「魔法士長! 拡声魔法を!」
「はっ!」
拡声魔法…声を大きくする魔法かな?
『皆の者! この私、ヴィルガスト・ウル・クリスティアを暗殺しようとした者は、ここにいるファルネス領の冒険者クロード=グレイナードが討ち果たし、その愚劣なる攻撃魔法から我々を救い出してくれた! 皆からもこの小さな勇者の勇気ある行動を称えてほしい!!』
すると観客たちは一瞬シーンとし、すぐに歓声に変わる。
わああああああああああああ!!
「あんな小さいのにすごいわ!」
「すげぇ!! 俺達じゃ真似できないことを平然とやってのける!そこにしび」
「小さな勇者万歳!!」
「あの子可愛い、食べちゃいたいわぁ」
「あの、こ、国王陛下!?」
「すまんな、この場を収めるためお主を使わせてもらった。事実なんだし、問題ないだろう?」
ありすぎるわ! 目立ちたくなんてないのに!
「クロード、馬車の上に上がって来い」
なんか嫌な予感がしたが、王様の命令には逆らえない。俺は潔く馬車の壇上に登った。
『このままパレードを続ける! みな、若き勇者をその目に焼き付けよ! 出発!!』
そうだろうと思ったよ!!
「お主、もうこのまま勇者になっとくか?」
「ご、ご冗談を。私はただの冒険者ですよ?」
全力で勘弁してくださいと顔で表現してみたら、それを察したのか諦めてくれたようだ。その後は陛下達と共にひたすら民衆に向かって手を振っていた。もうヤケクソ状態である。その途中、買い食いをしていた先生達にも見られた。フラン先生は俺を見て爆笑していた。あとで文句言ってやる。
そのまま街を一周周り王城へと帰還すると、間を置かずに謁見の間へ連行された。謁見の間に到着すると、そのまま謁見開始。どうしてこうなった。
「クロード、先ほどの事件解決、誠に大儀であった」
「ありがたき幸せ」
「それで褒美なのだが、欲しいものはあるか?」
「陛下の御推移にお任せします」
国王に褒美を聞かれた場合、貴族は自ら褒美を求めてはいけないらしい。周りの者からは傲慢に聞こえると父さんに言われたことがある。
「そうか、ではクロードには男爵の位を授ける。他に報奨金として白金貨10枚を与えるものとする」
ちょ、男爵!!?
「もはやお前は民衆から儂ら王族を救った勇者という認識をされているのだ。ここで儂がお主になのもしなかったら儂が悪者になってしまうだろう。それに先日のバルクホルン侯爵の孫娘の件に錬金術師討伐の件も合わせると、準男爵陞爵では足りないくらいだからな」
「いや、その勇者の認識を植え付けたのって陛下ですよね…」
「何か言ったか?」
「何でもありません!」
もう陛下の言いなりになるしかないんですね。わかります。
「それでは、受けてくれるな?」
「謹んでお受けします。ですが、私はまだ11歳。学校にも行ったことがない粗忽者です。領地経営などできませんが…」
「あぁ、そのへんは心配せずとも良い。お主が学園を卒業するまではお主に渡す予定の領地を王直轄領とし、こちらで面倒見ておく。お主は何に気兼ねすることなく勉学に励んで欲しい。そして卒業した後に領主として名を名乗るといい」
「畏まりました」
「あと、お主が捕らえた襲撃者だがな」
「そういえば、あの後どうなったのですか?」
「死んでいたそうだ。口の中に猛毒を仕込んでいたらしい。お主の魔法で捕らえたあとに服毒したようだな」
服毒自殺か…。そんなの防ぎようないだろ。
「そうですか、残念です。身元のわかるような物ってなかったんですか?」
「いや、何も持っていなかった。組織的なのか個人的にやったのか、それすらわからぬ」
そこまで痕跡無かったらむしろ組織的な犯罪な気がする。国王陛下誰かに恨みでも買ってるのか?
「わかりました、ありがとうございます」
「うむ、この件に関してはこちらで調査を進める。お主は普段通りの生活を心がけよ」
「多分な心遣い、感謝します」
「それでは謁見を終わる。クロード、其方の働き大儀であった!」
「はっ! 失礼いたします!」
そう言い残し謁見の間を出る。今日から男爵とか…俺の平穏な生活はどこに行ったんだろう。俺のトラブルホイホイ体質は転生しても変わらないらしい。でも爵位持ちの方がモテるのか?
王都に戻ると、パレード前と同じくらい…いや、それ以上に盛り上がっていた。
『あのちっちゃい子が勇者なのか』
『へっあの程度で。俺ならもっとかっこよく…』
『あの勇者の男の子可愛かったよね』
『クロードくんはぁはぁ』
そんな声が聞こえてきた。最後の怖いわ!
急遽【無限収納】からユミナ先生にもらったマフラーを取り出し、口に巻きつける。ここで住民達に見つかったら、かなりめんどくさい事になるに違いない。
あ、そういえばアリア達がそのままだったな。【隠密】で気配を消して足早にアリアのもとに向かう。
元の場所に戻ると、アリア達は物見台の下に降りて俺を待っているようだった。
「クロード、もう帰っちゃったのですかねぇ?」
「いえ、王城に行っているかと。あんなことがあったのですから」
「アリア達を放って帰るわけないでしょ」
突然現れた覆面姿の俺に驚くアリア達。こんな格好が怪しくないわけがない。
「クロード、ですよね?」
「うん。ちょっと目立ちたくなくてさ。これ付けてたんだ」
マフラーを少しだけ下げて顔を晒す。するとアリアは安心したのか涙目になり、俺に掴みかかってきた。
「クロード! 心配したんですよ! 突然飛び出していっちゃうし、爆発するし、パレードの主役みたいになってるですしぃ!!」
肩を掴まれて首がガクガクされる。く、苦しいよアリア! もうちょっと優しく…。
「ご、ごめんごめん。あの時はああするしかなかったんだよ。放っておいたら国王陛下だけじゃなく王妃様や王女様達も危なかったしさ」
「うー、それは分かっているのです! でも…心配したんですよ?」
潤んだ瞳で俺の胸にとんっと拳を当てる。その仕草はやばいくらい可愛かった。
「うん、ごめんね。心配してくれてありがとう」
「うん」
「ジュリウスさんもアリアのことお任せしてすいません」
「いえ、クロード殿が無事でなによりです」
「それじゃなにか食べに行こうか。動いたからお腹減っちゃった」
「うん、美味しいもの食べたいです! 何か知ってるところあるですか?」
俺が知っているといえばあそこしかない。ついでに挨拶しておくかな。
「いらっしゃいませー。あら、クロード君!」
「昨日ぶりです。アリーシャさん」
そう、カレーパン屋さんである。アリーシャさんの店もご他聞に漏れず繁盛していた。カレーみたいな珍しいものが好きっていうお客さんも一定数いるらしい。
「ここはなんのお店なのです?」
「カレーパンっていう違う国のパンを売っているんだ。すっごく美味しいよ」
「かれーですか。聞いたことない料理ですね」
「まぁ食べてみれば分かると思うよ。アリーシャさん、カレーパン4つくださいな」
「あら3つじゃないの?」
「俺が2つ食べます」
「ふふっ、わかったわ。少々お待ちください」
油からパンを上げ油切りをして紙に包む。この動作と匂いだけで既に美味い。
「はい、お待ちどうさま。揚げたてで熱いから気を付けてね」
「ありがとうございます!」
即効でかぶりつく。ジュワっと中のカレーが口いっぱいに広がる。揚げたてなだけに表面パリパリ、中はしっとりのパンがカレーと調和して感動すら覚えた。
「頂きます…はむはむ…美味しい!」
「ふむ、これは美味ですな」
一口目は控えめだったが、次からは二人共食べるペースが上がった。
「そういえばクロードくん、勇者になったんだって?」
ぶっ! 何言ってんの!?
「ど、どこでそんな話を…」
「ここに来るお客様にも聞いたし、その辺で噂になってるわよ」
まぁ、陛下があんなこと言っちゃったもんな。噂は仕方ない。止める方法なんてないからね。
「そのことは気にしないでください。俺は勇者じゃないですから」
「そうなの?」
「ええ、陛下を助けた勇気ある者って言われただけですから」
「…なるほどね。わかったわ。お客さんにはそう言っておいてあげる」
察してくれたのか、ありがたい提案だった。
「ありがとうございます。それじゃ行きますね」
「ええ、ありがとうございました」
アリーシャさんはいい人だな。明日も買いに来よう。そのあともアリア達と色々と買い食いをして、屋台を回っているうちに気付けば夕方になっていた。
「それじゃ、今日は一緒に回ってくれてありがとうです。クロード」
「いや、俺の方こそありがとう。すごく楽しかったよ」
「本当ですか?」
「うん。トラブルもあったけどね」
「そうですね。クロード勇者になっちゃうですし」
「ちょっ、それは言わないってば」
「ふふっ、ごめんなさいです」
別れを惜しむように、夕日に照らされた影が重なる。アリアが俺の服を掴んでいた。
「また、会えるですよね?」
「ああ、もちろん。明日も一緒に出かけるか?」
「ううん、明日と明後日は用事で動けないのです。だから…」
「そっか。でも、必ず会えるさ。約束しようよ、また会えるってさ」
「約束…するです。絶対、また会おうね」
「ああ、絶対会おう! 約束だ」
アリアと小指を合わせる。その手は小さく震えていた。
「アリア様、そろそろお時間かと」
「わかったです。それじゃクロード。絶対絶対またね!」
「ああ。アリア、またな!」
「それではクロード殿、私達はここで失礼します」
「ジュリアスさんもまたお会いしましょうね」
「ええ是非。それでは失礼します」
アリア達は夕日を背に受けて去っていった。しばらく会えないのは寂しいけど、きっとまた会える。なんとなくそう感じることが出来た。
そういえば先生達との待ち合わせって、中央広場の噴水だったかな? ダッシュで中央広場の噴水に行くと、先生達は噴水の横で出店で買ったものを食べている。
「先生、お待たせしました」
「おークロっち! …どうしたんすかその格好?」
「忍びの者? にんにん」
「いやいや、目立ちたくないから顔隠してるだけですよ」
「というか、何があったんだ? パレードに参加してるのを見た時はかなり驚いたが…」
「あれ面白かったすよね! クロっち顔めっちゃ引きつってたっすし!」
先生達に事のあらましを説明した。ついでに男爵になったことも。
「それついでに話すようなことじゃないっすよね?」
「男爵陞爵おめでとう、クロードくん」
「それはめでたいな。さすがクロード! ではこれでクロードは国のお抱えになったわけだな」
「国のお抱えですか?」
「ああ、爵位をもらうということはその国に属するということだ。他の国に移住とかは許されない」
「…俺を囲うのが目的ってことですか?」
「詳しくはわからんがな。純粋に感謝してってこともないこともない」
あの国王、考えが全く読めないからなぁ。そのへんも留意しておこう。
「まぁ、この国好きだから別にいいんですけどね」
「ふっ、そうだな。それじゃ宿に戻ろうか」
「そうっすね。お風呂入りたいっす」
「私もお風呂、入りたいな」
長い王国生誕祭1日目が終わる。明日から俺どうしよう。引き篭った方がいいかな?…できないんだろうなぁ。
「ちょっと待ってください! 今行きますから」
街の中は昨日とは比べ物にならないくらいの熱気に包まれている。今日は王国生誕祭。クリスティア王国最大のお祭りであり、様々なイベントが行われるこの国で一番熱い日だ。
俺達は宿を出て外の喧騒の中を進み、王都の中央広場まで来ていた。
「ふぉー! すごい人っすね! 王都の中にこんなに人が居たなんてっ知らなかったっす!」
「この国最大のお祭りらしいからな。まだまだ集まるんじゃないか?」
「人多い、迷っちゃいそう…」
「それじゃ手を繋いでいきましょうか。俺も迷いそうだし」
「うん、繋いでいこう」
出店の数が昨日より格段に多い。大通りにずらっと並んでいるのは全て出店だ。その上、色々な店でデカ盛りサービスや、タイムアタック等のイベントをやっているから人が殺到して列を形成しているので、普通の行動すらままならない。
「私、列に並ぶのって苦手なんすよねぇ」
「まあ焦ることないですよ。ゆっくり見ていきましょう」
街の中を練り歩くと見知った、というか昨日会った顔がそこにいた。
「あれ、アリア? こんにちわ、来てたんだね」
「あ、クロードです! こんにちわ!」
「昨日ぶりですねクロード殿。先日はありがとうございました」
「いえ、気にしないでください。それで、こんな所にいて大丈夫なんですか? 侯爵令嬢がこんな騒がしい中に来てたらまた攫われ兼ねませんよ?」
「大丈夫ですよ。王国生誕祭の開催中は、王都内で犯罪を犯した者は全て重罪として処理されることが国法で決まっていますから。それにそこら中で衛兵が警戒していますから、重罪のリスクを冒して犯罪を犯す輩は滅多にいませんよ」
「そ、そうなんですね」
「クロード。これから王族のパレードがあるみたいなのです! 一緒に観ないですか?」
「んー。シルビア先生達はどうします?」
「私はお腹空いたから何か食べてくるっす」
「私もフランちゃんと、一緒にいくよ」
「3人で見に行ってきたらいい。お前も一端の冒険者なんだ。ジュリウス殿と共に彼女を守ってやれ」
「わかりました! いいよアリア。一緒に見ようか」
「はいです!」
「パレードがが終わったら中央広場の噴水で落ち合おう」
「わかりました。行ってきますね」
俺とアリア、ジュリウスさんは、パレードが通る王城へと続くメインストリートへと向かう。そこには既に、陛下や王女様をひと目見ようと大勢の人が並んでいた。
「どうしよう、これじゃ見れないのです」
「そうだね…。じゃあ見えるようにしようか」
人の少ない後ろの方で、【無限収納】から何か作る時に使うかと思って入れておいた巨大な岩を取り出すと、【変形魔法】をかけて高さ3m程の階段付きの座って見れる物見台を作った。
「これは…」
「クロード…すごいのです!!」
「これの上なら人混みに邪魔されることなく見れるよ。ちょっと目立つけど」
「クロードはすっごい魔導師なのですね!」
特製の物見台の上に上がり、そこに腰掛けパレードが来るのを待つ。パレードなんて前世の某ネズミの国で見て以来だからちょっと楽しみだ。
「クロードはパレード見たことあるんですか?」
「いや、(異世界じゃ)初めてだよ。アリアはあるの?」
「はい! 去年もここで見たのです! リムルお姉ちゃんがすっごく綺麗でした!」
「リムルお姉ちゃん?」
「クロード殿、リムル・ウル・クリスティア様。アリア様の親戚筋の方で、この国の第2王女様です」
「そうなのです!」
「そうなんだ。そのリムル様とは仲いいの?」
「はい! お城に行ったら一緒に遊んでくれる優しいお姉ちゃんです!」
「そっか、それじゃいっぱい手を振ってあげなきゃだね」
「はい! いっぱい振るです!」
(クロード殿はアリア様と同い年なのに、兄妹みたいですね)
しばらくアリアと談笑しているとあたりが急に騒がしくなった。どうやらパレードが始まったらしい。最前列で兵士が音楽を奏でながら、大きな馬車がやって来る。
「わー、よく見えるです!」
「あの人がリムル姫様?」
「そうです! リムルお姉ちゃんです!」
最前列を歩いて誘導する騎士、その後ろの大きな馬車の上では、国王と王妃、第1王女らしき人とリムル王女が優しそうな笑顔で手を振っていた。
その時、【探索魔法】に魔力反応が引っかかた。明らかに過剰で攻撃的な魔力。その方向の屋根の上にいる1人の男が狙ってるのは…国王達の馬車!? その男に気付いている者は俺以外誰もいない。
「どうしたです? クロード」
「ジュリウスさん、ちょっと離れるのでアリアをお願いします!」
「えっ、クロード殿!?」
(身体強化全力発動。『重雷障壁』発動準備!)
人垣を飛び越え馬車に隣接する。敵の巨大な攻撃魔法は放たれ、既にそこまで迫っていた。
「間に合うか! 『重雷障壁』!!」
ドガァァァァァァン!!
国王陛下の馬車の周りで爆風が吹き荒れる。さっきまでの喝采が飛んでいた状況とは真逆。周りの観客が阿鼻叫喚に近い状態になっていた。
だが、少し俺のほうが早かったようだ。そこには被害がない馬車と巨大な雷の盾が張り巡らされている。攻撃魔法が防がれたのを確認したのか、攻撃してきた男がその場を離脱しようとしているようだ。こんなことやった奴を誰が逃がすか!!
「【領域指定】発動! 『雷縛鎖』!!」
陛下達に攻撃魔法を放った犯人を雷の鎖で縛り上げる。全身を雁字搦めにされた男は必死に抵抗していたが、解除出来ないと分かると色々諦めたようだ。敵の無抵抗を確認した頃、馬車の方から声がした。
「クロード、これは一体どういうことだ?」
声の主は国王陛下だった。さすが王様、こんな時にも余裕がある。
「陛下達のことを魔法で攻撃しようとした人がいたんです。その魔力を感知したら思いのほか大きく危険だったので、防衛行動に入らせて頂きました」
「なんと! 誠か!」
それを聞き、王妃様達は顔を青くしている。
「はい。魔法を放った犯人はあそこの屋根の上で魔法で捕縛してありますので、衛兵の人に回収お願いできませんか?」
敵がいた屋根を指さしながら言う。逮捕は俺の領分じゃないからね。
「わかった。騎士達よ、あそこの屋根にいるものを捕えよ!!」
「「「はっ!!」」」
数人の鎧の騎士が人ごみを掻き分け現場に急行する。後は捕まえるだけなんだから問題ないだろう。今回のは結構ギリギリだったな。
「どうやら命を救われたようだなクロード。後で褒美を渡すから城に来てくれ」
「えっ!? いや褒美なんて…」
「いいから来い! これは王命だ。分かったな?」
「…了解いたしました。後ほど伺います」
「うむ。さて、この場をどうにかしないとな」
辺りの騒ぎは多少収まってきたものの、もはやパレードをするような雰囲気ではない。住民達は驚き戸惑っているようだ。
「魔法士長! 拡声魔法を!」
「はっ!」
拡声魔法…声を大きくする魔法かな?
『皆の者! この私、ヴィルガスト・ウル・クリスティアを暗殺しようとした者は、ここにいるファルネス領の冒険者クロード=グレイナードが討ち果たし、その愚劣なる攻撃魔法から我々を救い出してくれた! 皆からもこの小さな勇者の勇気ある行動を称えてほしい!!』
すると観客たちは一瞬シーンとし、すぐに歓声に変わる。
わああああああああああああ!!
「あんな小さいのにすごいわ!」
「すげぇ!! 俺達じゃ真似できないことを平然とやってのける!そこにしび」
「小さな勇者万歳!!」
「あの子可愛い、食べちゃいたいわぁ」
「あの、こ、国王陛下!?」
「すまんな、この場を収めるためお主を使わせてもらった。事実なんだし、問題ないだろう?」
ありすぎるわ! 目立ちたくなんてないのに!
「クロード、馬車の上に上がって来い」
なんか嫌な予感がしたが、王様の命令には逆らえない。俺は潔く馬車の壇上に登った。
『このままパレードを続ける! みな、若き勇者をその目に焼き付けよ! 出発!!』
そうだろうと思ったよ!!
「お主、もうこのまま勇者になっとくか?」
「ご、ご冗談を。私はただの冒険者ですよ?」
全力で勘弁してくださいと顔で表現してみたら、それを察したのか諦めてくれたようだ。その後は陛下達と共にひたすら民衆に向かって手を振っていた。もうヤケクソ状態である。その途中、買い食いをしていた先生達にも見られた。フラン先生は俺を見て爆笑していた。あとで文句言ってやる。
そのまま街を一周周り王城へと帰還すると、間を置かずに謁見の間へ連行された。謁見の間に到着すると、そのまま謁見開始。どうしてこうなった。
「クロード、先ほどの事件解決、誠に大儀であった」
「ありがたき幸せ」
「それで褒美なのだが、欲しいものはあるか?」
「陛下の御推移にお任せします」
国王に褒美を聞かれた場合、貴族は自ら褒美を求めてはいけないらしい。周りの者からは傲慢に聞こえると父さんに言われたことがある。
「そうか、ではクロードには男爵の位を授ける。他に報奨金として白金貨10枚を与えるものとする」
ちょ、男爵!!?
「もはやお前は民衆から儂ら王族を救った勇者という認識をされているのだ。ここで儂がお主になのもしなかったら儂が悪者になってしまうだろう。それに先日のバルクホルン侯爵の孫娘の件に錬金術師討伐の件も合わせると、準男爵陞爵では足りないくらいだからな」
「いや、その勇者の認識を植え付けたのって陛下ですよね…」
「何か言ったか?」
「何でもありません!」
もう陛下の言いなりになるしかないんですね。わかります。
「それでは、受けてくれるな?」
「謹んでお受けします。ですが、私はまだ11歳。学校にも行ったことがない粗忽者です。領地経営などできませんが…」
「あぁ、そのへんは心配せずとも良い。お主が学園を卒業するまではお主に渡す予定の領地を王直轄領とし、こちらで面倒見ておく。お主は何に気兼ねすることなく勉学に励んで欲しい。そして卒業した後に領主として名を名乗るといい」
「畏まりました」
「あと、お主が捕らえた襲撃者だがな」
「そういえば、あの後どうなったのですか?」
「死んでいたそうだ。口の中に猛毒を仕込んでいたらしい。お主の魔法で捕らえたあとに服毒したようだな」
服毒自殺か…。そんなの防ぎようないだろ。
「そうですか、残念です。身元のわかるような物ってなかったんですか?」
「いや、何も持っていなかった。組織的なのか個人的にやったのか、それすらわからぬ」
そこまで痕跡無かったらむしろ組織的な犯罪な気がする。国王陛下誰かに恨みでも買ってるのか?
「わかりました、ありがとうございます」
「うむ、この件に関してはこちらで調査を進める。お主は普段通りの生活を心がけよ」
「多分な心遣い、感謝します」
「それでは謁見を終わる。クロード、其方の働き大儀であった!」
「はっ! 失礼いたします!」
そう言い残し謁見の間を出る。今日から男爵とか…俺の平穏な生活はどこに行ったんだろう。俺のトラブルホイホイ体質は転生しても変わらないらしい。でも爵位持ちの方がモテるのか?
王都に戻ると、パレード前と同じくらい…いや、それ以上に盛り上がっていた。
『あのちっちゃい子が勇者なのか』
『へっあの程度で。俺ならもっとかっこよく…』
『あの勇者の男の子可愛かったよね』
『クロードくんはぁはぁ』
そんな声が聞こえてきた。最後の怖いわ!
急遽【無限収納】からユミナ先生にもらったマフラーを取り出し、口に巻きつける。ここで住民達に見つかったら、かなりめんどくさい事になるに違いない。
あ、そういえばアリア達がそのままだったな。【隠密】で気配を消して足早にアリアのもとに向かう。
元の場所に戻ると、アリア達は物見台の下に降りて俺を待っているようだった。
「クロード、もう帰っちゃったのですかねぇ?」
「いえ、王城に行っているかと。あんなことがあったのですから」
「アリア達を放って帰るわけないでしょ」
突然現れた覆面姿の俺に驚くアリア達。こんな格好が怪しくないわけがない。
「クロード、ですよね?」
「うん。ちょっと目立ちたくなくてさ。これ付けてたんだ」
マフラーを少しだけ下げて顔を晒す。するとアリアは安心したのか涙目になり、俺に掴みかかってきた。
「クロード! 心配したんですよ! 突然飛び出していっちゃうし、爆発するし、パレードの主役みたいになってるですしぃ!!」
肩を掴まれて首がガクガクされる。く、苦しいよアリア! もうちょっと優しく…。
「ご、ごめんごめん。あの時はああするしかなかったんだよ。放っておいたら国王陛下だけじゃなく王妃様や王女様達も危なかったしさ」
「うー、それは分かっているのです! でも…心配したんですよ?」
潤んだ瞳で俺の胸にとんっと拳を当てる。その仕草はやばいくらい可愛かった。
「うん、ごめんね。心配してくれてありがとう」
「うん」
「ジュリウスさんもアリアのことお任せしてすいません」
「いえ、クロード殿が無事でなによりです」
「それじゃなにか食べに行こうか。動いたからお腹減っちゃった」
「うん、美味しいもの食べたいです! 何か知ってるところあるですか?」
俺が知っているといえばあそこしかない。ついでに挨拶しておくかな。
「いらっしゃいませー。あら、クロード君!」
「昨日ぶりです。アリーシャさん」
そう、カレーパン屋さんである。アリーシャさんの店もご他聞に漏れず繁盛していた。カレーみたいな珍しいものが好きっていうお客さんも一定数いるらしい。
「ここはなんのお店なのです?」
「カレーパンっていう違う国のパンを売っているんだ。すっごく美味しいよ」
「かれーですか。聞いたことない料理ですね」
「まぁ食べてみれば分かると思うよ。アリーシャさん、カレーパン4つくださいな」
「あら3つじゃないの?」
「俺が2つ食べます」
「ふふっ、わかったわ。少々お待ちください」
油からパンを上げ油切りをして紙に包む。この動作と匂いだけで既に美味い。
「はい、お待ちどうさま。揚げたてで熱いから気を付けてね」
「ありがとうございます!」
即効でかぶりつく。ジュワっと中のカレーが口いっぱいに広がる。揚げたてなだけに表面パリパリ、中はしっとりのパンがカレーと調和して感動すら覚えた。
「頂きます…はむはむ…美味しい!」
「ふむ、これは美味ですな」
一口目は控えめだったが、次からは二人共食べるペースが上がった。
「そういえばクロードくん、勇者になったんだって?」
ぶっ! 何言ってんの!?
「ど、どこでそんな話を…」
「ここに来るお客様にも聞いたし、その辺で噂になってるわよ」
まぁ、陛下があんなこと言っちゃったもんな。噂は仕方ない。止める方法なんてないからね。
「そのことは気にしないでください。俺は勇者じゃないですから」
「そうなの?」
「ええ、陛下を助けた勇気ある者って言われただけですから」
「…なるほどね。わかったわ。お客さんにはそう言っておいてあげる」
察してくれたのか、ありがたい提案だった。
「ありがとうございます。それじゃ行きますね」
「ええ、ありがとうございました」
アリーシャさんはいい人だな。明日も買いに来よう。そのあともアリア達と色々と買い食いをして、屋台を回っているうちに気付けば夕方になっていた。
「それじゃ、今日は一緒に回ってくれてありがとうです。クロード」
「いや、俺の方こそありがとう。すごく楽しかったよ」
「本当ですか?」
「うん。トラブルもあったけどね」
「そうですね。クロード勇者になっちゃうですし」
「ちょっ、それは言わないってば」
「ふふっ、ごめんなさいです」
別れを惜しむように、夕日に照らされた影が重なる。アリアが俺の服を掴んでいた。
「また、会えるですよね?」
「ああ、もちろん。明日も一緒に出かけるか?」
「ううん、明日と明後日は用事で動けないのです。だから…」
「そっか。でも、必ず会えるさ。約束しようよ、また会えるってさ」
「約束…するです。絶対、また会おうね」
「ああ、絶対会おう! 約束だ」
アリアと小指を合わせる。その手は小さく震えていた。
「アリア様、そろそろお時間かと」
「わかったです。それじゃクロード。絶対絶対またね!」
「ああ。アリア、またな!」
「それではクロード殿、私達はここで失礼します」
「ジュリアスさんもまたお会いしましょうね」
「ええ是非。それでは失礼します」
アリア達は夕日を背に受けて去っていった。しばらく会えないのは寂しいけど、きっとまた会える。なんとなくそう感じることが出来た。
そういえば先生達との待ち合わせって、中央広場の噴水だったかな? ダッシュで中央広場の噴水に行くと、先生達は噴水の横で出店で買ったものを食べている。
「先生、お待たせしました」
「おークロっち! …どうしたんすかその格好?」
「忍びの者? にんにん」
「いやいや、目立ちたくないから顔隠してるだけですよ」
「というか、何があったんだ? パレードに参加してるのを見た時はかなり驚いたが…」
「あれ面白かったすよね! クロっち顔めっちゃ引きつってたっすし!」
先生達に事のあらましを説明した。ついでに男爵になったことも。
「それついでに話すようなことじゃないっすよね?」
「男爵陞爵おめでとう、クロードくん」
「それはめでたいな。さすがクロード! ではこれでクロードは国のお抱えになったわけだな」
「国のお抱えですか?」
「ああ、爵位をもらうということはその国に属するということだ。他の国に移住とかは許されない」
「…俺を囲うのが目的ってことですか?」
「詳しくはわからんがな。純粋に感謝してってこともないこともない」
あの国王、考えが全く読めないからなぁ。そのへんも留意しておこう。
「まぁ、この国好きだから別にいいんですけどね」
「ふっ、そうだな。それじゃ宿に戻ろうか」
「そうっすね。お風呂入りたいっす」
「私もお風呂、入りたいな」
長い王国生誕祭1日目が終わる。明日から俺どうしよう。引き篭った方がいいかな?…できないんだろうなぁ。
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