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第四章:プリンセス、聖都に舞う
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討伐隊到着まであと五時間……。十分な筈の時間は確保できたわ。彼らが来るまでになんとかしなくては……。
しかしホントにピンクの木ね……。ここからだとまるで満開の桜のようだわ……。余計な習性さえなければ並木道にしたいくらいなのに……このエ□ゲーワールドめ……。
「姫様……討伐隊に任せてもよろしかったのでは?」
件のピンクツリーを遠目に見つめて佇む一人の美少女冒険者にお供の妖精が話しかけた。
小さな羽を持つこの超が付く程の美少女妖精はアン。ピンクゴールドの髪がフワリと風になびくと……とっても絵になる。
「アン……改めて思うのだけれど……あなたって凄く可愛いわよね……」
「ひ、姫様……私にその気は……」
器用に空中をホバリングしながら後ずさる私のお世話妖精。
「アン……その態度はちょっと傷つくわよ!? そういう意味じゃない事くらいわかるでしょ?」
「もちろんです。私は姫様の事を信じておりますから! ポッ♪」
「あなたね……」
この子は……今全く信じていない様な行動を取っておいてよく言うわね……。でもまぁ……この子が私たちと同じサイズだったなら……もう手を出してるわね私。自分で言うのもなんだけれど最近抑えが効かないのよね……。
「だいたいね、信じているのならすぐに逃げようとしないでくれるかしら?」
「それとこれとはまた別のお話でございます。信じてはいますが、姫様の忍耐が日々失われている様を見ておりますので……。アンは……アンは……あの様なものをお股に挟みたくございません!」
「なっ、何を言うのよ!?」
アンが眠ってからしかしてないから知られていない筈……よね!?
「夜な夜なブンブンとーー」
「アーーーキコエナーーーイ! ワタシハナニモシラナーイ!!」
「………………」
「………………」
「ハァ……わかりました。その件は一先ず置いておきましょう。それでどうして討伐隊にお任せにならないのでしょうか?」
あ……結局その話題に戻るのね。
任せてもいいのだけれど、自分自身の不始末を人任せにするのが少し引っかかっている。それと、ブルブルの実無くしちゃったのよ……。行く所に行けば買えるのだけれど、物がモノだけに私の様な女の子が早々行ける様なお店ではなくて……俺くんの世界の様にネット通販もないし……ね?
なんて事を言うと怒られるわよねやっぱり……。どう言い訳しようかしら?
「姫様がご自身の不始末をご自身でとお考えなのは私にも理解はできるのですが……何かお悩みの様ですが、他にも理由がお有りなんでしょうか?」
「な、何もないわ。明確に言葉に出来なかっただけよ。今アンが言った様に自分の失態を人任せにしたくない。そういう気持ちだったのだわ。それだけよ! 他意はないわ!」
「そうですか。私……姫様を疑っておりました。よもや新しいブルブルの実欲しさにギルドの討伐隊を差し置いて討伐しようとお考えだと……そのように思っておりました。申し訳ございません姫様! アンが姫様を信じずして誰が信じるというのか!! アンは……アンは……」
「い、いいのよアン……。そ、そんな事を言いながらもあなたが私の事を信じてくれている事は分かっているわ。だ、大丈夫よ。ミガホシイダナンテカンガエテナカッタワ。ホントウヨ……」
「姫様何か口調がおかしい様な……それに視線も泳いでおられますが……」
「さぁ! 行きましょう。不自然に思われないようにうまくしなくてはいけないから……急ぎましょ!!」
変に人為的な討伐を疑われない様に、出来れば枯らせてしまいたい。今の私ならなんとかできると思うの。
それに……。
首に下げたシーラくんの指輪に触れる。この指輪があれば大抵の状態異常は無効化できる筈。
近くで見るとなかなか凄い。葉っぱがピンクの木って……何というか壮絶だわ。だいたい、私が無くした実から育ったにしては育ちすぎではないかしら?
これどう見ても樹齢ウン十年クラスなのだけれど……。でもこの場所は確かにあの時のオーナル草の採取場所だわ。
だから納得はいかないけれどあの木がアレなのは間違いないわね。
そしてーー。
「これが女の子を惑わす甘い香りね。アン大丈夫?」
「はい。姫様の魔法のおかげですね」
私はともかくアンには状態異常耐性アップの魔法をかけておいた。この様子なら大丈夫だろう。
「それじゃ急いで始末しましょう」
偶然というか何というか、とてもタイミングよく手に入れた世界樹の力ーー植物支配。ただ……触れないとダメなのよね。
「アンは触手蔦に捕まらないように離れていてね。私はあいつと接触して枯らせてみる」
支配下に置いてスライムの力で生命力をドレインすれば多分……いけるはず。
さて、香りに惑っている振りをすればすぐにでも近づけるでしょう。
ゆっくりと少しおぼつかない足取りで……。
香りに酔った様に……。
ふらふらと脱力して……。
「……何だか少し暑いわね……服を脱いだほうがいいかしら……」
体が熱い……。お腹の奥からジワジワと染み出してくるような……何だろう……ああ……。
しかしホントにピンクの木ね……。ここからだとまるで満開の桜のようだわ……。余計な習性さえなければ並木道にしたいくらいなのに……このエ□ゲーワールドめ……。
「姫様……討伐隊に任せてもよろしかったのでは?」
件のピンクツリーを遠目に見つめて佇む一人の美少女冒険者にお供の妖精が話しかけた。
小さな羽を持つこの超が付く程の美少女妖精はアン。ピンクゴールドの髪がフワリと風になびくと……とっても絵になる。
「アン……改めて思うのだけれど……あなたって凄く可愛いわよね……」
「ひ、姫様……私にその気は……」
器用に空中をホバリングしながら後ずさる私のお世話妖精。
「アン……その態度はちょっと傷つくわよ!? そういう意味じゃない事くらいわかるでしょ?」
「もちろんです。私は姫様の事を信じておりますから! ポッ♪」
「あなたね……」
この子は……今全く信じていない様な行動を取っておいてよく言うわね……。でもまぁ……この子が私たちと同じサイズだったなら……もう手を出してるわね私。自分で言うのもなんだけれど最近抑えが効かないのよね……。
「だいたいね、信じているのならすぐに逃げようとしないでくれるかしら?」
「それとこれとはまた別のお話でございます。信じてはいますが、姫様の忍耐が日々失われている様を見ておりますので……。アンは……アンは……あの様なものをお股に挟みたくございません!」
「なっ、何を言うのよ!?」
アンが眠ってからしかしてないから知られていない筈……よね!?
「夜な夜なブンブンとーー」
「アーーーキコエナーーーイ! ワタシハナニモシラナーイ!!」
「………………」
「………………」
「ハァ……わかりました。その件は一先ず置いておきましょう。それでどうして討伐隊にお任せにならないのでしょうか?」
あ……結局その話題に戻るのね。
任せてもいいのだけれど、自分自身の不始末を人任せにするのが少し引っかかっている。それと、ブルブルの実無くしちゃったのよ……。行く所に行けば買えるのだけれど、物がモノだけに私の様な女の子が早々行ける様なお店ではなくて……俺くんの世界の様にネット通販もないし……ね?
なんて事を言うと怒られるわよねやっぱり……。どう言い訳しようかしら?
「姫様がご自身の不始末をご自身でとお考えなのは私にも理解はできるのですが……何かお悩みの様ですが、他にも理由がお有りなんでしょうか?」
「な、何もないわ。明確に言葉に出来なかっただけよ。今アンが言った様に自分の失態を人任せにしたくない。そういう気持ちだったのだわ。それだけよ! 他意はないわ!」
「そうですか。私……姫様を疑っておりました。よもや新しいブルブルの実欲しさにギルドの討伐隊を差し置いて討伐しようとお考えだと……そのように思っておりました。申し訳ございません姫様! アンが姫様を信じずして誰が信じるというのか!! アンは……アンは……」
「い、いいのよアン……。そ、そんな事を言いながらもあなたが私の事を信じてくれている事は分かっているわ。だ、大丈夫よ。ミガホシイダナンテカンガエテナカッタワ。ホントウヨ……」
「姫様何か口調がおかしい様な……それに視線も泳いでおられますが……」
「さぁ! 行きましょう。不自然に思われないようにうまくしなくてはいけないから……急ぎましょ!!」
変に人為的な討伐を疑われない様に、出来れば枯らせてしまいたい。今の私ならなんとかできると思うの。
それに……。
首に下げたシーラくんの指輪に触れる。この指輪があれば大抵の状態異常は無効化できる筈。
近くで見るとなかなか凄い。葉っぱがピンクの木って……何というか壮絶だわ。だいたい、私が無くした実から育ったにしては育ちすぎではないかしら?
これどう見ても樹齢ウン十年クラスなのだけれど……。でもこの場所は確かにあの時のオーナル草の採取場所だわ。
だから納得はいかないけれどあの木がアレなのは間違いないわね。
そしてーー。
「これが女の子を惑わす甘い香りね。アン大丈夫?」
「はい。姫様の魔法のおかげですね」
私はともかくアンには状態異常耐性アップの魔法をかけておいた。この様子なら大丈夫だろう。
「それじゃ急いで始末しましょう」
偶然というか何というか、とてもタイミングよく手に入れた世界樹の力ーー植物支配。ただ……触れないとダメなのよね。
「アンは触手蔦に捕まらないように離れていてね。私はあいつと接触して枯らせてみる」
支配下に置いてスライムの力で生命力をドレインすれば多分……いけるはず。
さて、香りに惑っている振りをすればすぐにでも近づけるでしょう。
ゆっくりと少しおぼつかない足取りで……。
香りに酔った様に……。
ふらふらと脱力して……。
「……何だか少し暑いわね……服を脱いだほうがいいかしら……」
体が熱い……。お腹の奥からジワジワと染み出してくるような……何だろう……ああ……。
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