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第四章:プリンセス、聖都に舞う
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冒険者として冒険者ギルドと関わらずにやっていくことはできない。だから、意を決して私はここにやってきた。
時刻は朝の十時を過ぎたところ。ギルドが始業してすぐという一日でもかなり忙しい時間帯に合わせた。
人が多い方が余計な事をされにくいだろうし、気が付かれない可能性も十分にある。
服装も昨日とは変えてあるし、今日は準備をしてきたから大丈夫!
「行くわよ!」
小さく気合を入れて私は扉の向こうへ踏み出した!!
「ーー!!」
こ、これは……想像以上だわ!
とにかく人が多い。受付はもちろん、クエストボードの方にも大勢の冒険者がいる。
少しでもいいクエストを受けようと皆必死で、職員もその対応に追われている。すでに待合のテーブル席で打ち合わせをしているパーティもある。
とにかく私もクエストを受注……の前に担当してくれる職員を探さなくてはいけない。面倒なシステムね……何でこんな事になっているのかしら?
どの受付も人がたくさん並んで……並んで……並んでーーない所が一箇所だけあった。
男性の職員が俯いて何かを書いているみたいだけれど……どうしてあそこだけ人が少ないのか……ちょっと気になるわね。
様子を伺いながら近づいてみると何やら本から手元のノートに書き写している。
何をしているんだろうか?
更に近づいてみる。
開いている本は細かい字が多くて何かわからないけれど、他に何冊かデスクの上に置いてあるのは植物辞典と魔物図鑑と……地図?
更に近寄ってノートの方を覗き込んでみるとクエスト毎に関連する情報をまとめているようだった。
一つ一つクエストに応じて書き写しているのだけれど、なんていうか、一生懸命なのは分かるけれど……不器用すぎて見てられない。
あ、ほら! それはさっきも同じ情報を書き写したじゃないの! 何でそんなやり方してるのよ!
クエスト毎じゃなくてそのエリアで分けて情報を整理すればいいじゃないのよ。
ほら、それも! 魔物の情報だってクエストで固定じゃなくてその地域でくくれるじゃないの!
ああ! もう!! だからそれは!!!
「ーーちょっと、それはさっきも書いたでしょ!? そうじゃなくてコレとコレとコレを一まとめにして! そう。それでコレとソレと……そっちのも、魔物は魔物でひとまとめにするのよ!! そうしたらエリアで魔物と採取可能な薬草と注意事項とか地形情報とかをまとめられるでしょ! ほら、早く! 次はどのエリアのクエストなの?」
「あ、あの……」
「何? 時間がないのよ質問は手早くして!」
「は、はい」
不器用ながらも丁寧に私の指示に沿って情報がまとめられていく。
うん。我ながらいい出来だわ。
そのエリアの情報が綺麗にまとめれていて、主目的の情報を見ながら該当エリアの魔物や注意事項、地形情報などを一度に目を通せる。
やっぱりこうでなくちゃね。
「……で、これでおしまい? そう、やればできるじゃない! いい出来よ」
「は、はぁ……ありがとうございます。それで、その……」
「何よ、言いたいことがあるのならハッキリと言いなさい、男でしょ!」
モゾモゾと言いにくそうにしている目の前の……男性職員……に……あ~……。
「ご、ごめんなさい……」
ふと我に返った私は自分が何をしていたのかを理解して……目の前の前髪で目元が隠れた職員Aに深々と頭を下げた。
彼の仕事に勝手に口を挟んで、その上アレをしろコレをしろと命令していたわけで……。
「ごめんなさい……つい興奮してしまいました……」
もう一度、丁寧にお詫びをする。
「い、いえいえ、とんでもない。お陰で今日まとめるつもりだったものがもう終わってしまいました。それも僕が考えていたよりもずっといい形で。あなたが謝る事はありません。それどころか僕の方がお礼を言わなくては……はぅ!!」
「………………」
目……は合っていないけれど、真っ直ぐに私の事を見ている気はする。前髪邪魔じゃないのかしら? 見えてはいるのよね? こちらからは完全に目元が見えない……どころか顔の上半分が髪で隠れていて、ちょっと不気味だわ……。
ああ、それでここだけ空いているのね。
受付奥の時計を見れば小一時間が経っているけれどここには誰も来ていない。ちなみに他の受付はまだかなりの冒険者が列をなしている。
この人それ程まで不気味がられてるのかしら? それとも他にも理由が? 目の前の根暗な感じの職員Aを改めて観察する。
長い前髪のボサボサ頭。服装はごくごく普通の白いシャツ。カウンター越しでボトムスは見えないけれど、多分スラックスでしょう。ネクタイの結び目が歪んで位置もズレているので最初の印象通り不器用っぽい。
それでもシャツにはアイロンが当ててありそうだし、不潔感はそこまで無いと思う。ボサボサ頭が減点対象だけれど、誰も近寄らない程とは思えない。
「ーーそれでいつまで私の事を見つめているつもりですか?」
「ーーす、すいません! 僕なんかがあなたのような綺麗な方を見てしまって!! 本当にすいません!」
随分卑屈な物言いね。彼の扱われ方が眼に浮かぶようだわ。
「別に好きに見ればいいじゃない。私だって綺麗な花があればじっと見つめるわよ? そういうものでしょ? ああ、でも別に自分が綺麗な花とかそういう意味じゃないからね? 私はそこまで自信過剰じゃないから。私よりも綺麗な人はたくさんいるしね」
そう聖女さまとか、ノインさんも凛としていてとっても綺麗だし、クアラも……癪だけど肉食系な美女よね。あとはレイチェルさん。あの冷たい感じの彼女が冥王さまにメロメロにされるところなんて……アレだけでご飯をおかわりできそうなほどよ!!
……って私は変態か!? 俺くんの知識やばいわね!?
「え……いいんですか!? 僕なんかが見ても!?」
いや、あなたどんな扱いを受けてたのよ!?
「別に見たいものを見たいように見ればいいのではないかしら? もちろん、いやらしすぎる視線はダメよ? それに必要以上にジロジロ見たりするのも失礼だからやめておきなさいね」
「そ、そうですよね。やっぱり僕なんかが見てはいけないですよね……」
何でそうなる!?
「だから、普通にすればいいのよ。あなたさっきからちゃんとこっちを見て話しているじゃないの。話すときは相手の方を見る。ちゃんと当たり前の事が出来ているのだから、普通にしてればいいのよ」
「で、でも僕が見ると嫌な顔をする人が多いので、だからその……」
「ああ、それで……」
こちらを向いてはいるけれど、目は隠れていて見えないけれど、何となく視線が定まっていないような、チラチラと覗き見られているような気がしていた。
「それは多分、その髪型が問題なんじゃないかしら? 顔が半分くらい隠れているもの……。怪我でもしているの?」
一応そういう可能性もあることに気がついて尋ねてみる。可能性はあるけれど彼に関しては多分そういう事じゃないと思う。人見知り……というか、多分自分に自信が持てなくて、人の目を見るのが怖いんだろう。目は口ほどにものを言う……。そんな言葉があるくらい、目はすごく色々な情報を与えてくれる。ただし、それは多分に読み取る側の主観が入っていて、その人がそう言った(思っている)わけではないという事が重要だったりする。
つまり、自分に自信がないと勝手に自分が思っている事を相手から読み取った気になってしまうのだ。実際問題、よほど外見に問題があるとか、こちらに興味があるとかでもなければ相手はこちらの事など気にもしていない事が殆どだ。いちいちこの人はどんな人だろうかとか、髪型が好きじゃないとか、服装が変とか気にしていない。
でも男が女を見るときは別だ!! あいつらは胸がどうだ、お尻がどうだ、体型が、足が、顔が……。数え上げたらキリがないくらい各自の好みのポイントを品定めする。なんて面倒な生き物なのか……。
それに引き換え女の子は……まぁ似たようなものか。この人かっこいいとか思ってるものね……。
とまぁ、だいたいはそこまで気にしていない。誰でも彼でもそういう対象ではないので、基本的に興味がない相手はスルーよスルー。
……いや、気になる時もあるけれど、それを言い出したらきりがない。まぁ概ね自信がない人が思うような深い事は何も考えていない。つまり被害妄想に近いとも言える。
……わよね? コレ私が無頓着だとかそう言う事はないわよね? 世間一般的にそうよね……?
ちょっと自信がないかも……。
「ほら、その邪魔な前髪を上げてみなさいよーー」
オロオロする彼の顔に手を伸ばして髪に触れる。
「「………………」」
うわー。なんてベタなのかしら……。
少しタレ目気味だけれど綺麗な目の形をしている。輪郭もスッキリしていて……どちらかというと甘えた王子系のキャラよね……。なんでこんな卑屈系自信喪失キャラになっているのだろうか?
家庭環境かしら……? それとも女の子関係で酷い目にあったとか? うわー色々想像を掻き立てられてしまうわ! この手のキャラはBLモノの恰好の餌食にされそうよね。冥王様みたいな俺様系のキャラにいいように弄ばれて……いやん……変な気分になっちゃいそうだわ。
「ーーあ、ごめんなさい。思わず魅入ってしまったわ」
少し妄想が暴走してしまった。引いているかしら?
「ーーだ、だから隠してるんです。僕なんて人様に見せられるような顔じゃありませんからーー」
私の手を優しく振り払って元のように目を隠してしまうとそんな耳を疑うような妄言を吐いた。何を言ってるのこの人? 正気!?
「はぁ!? 何を言っているのかしら? 鏡見た事ないの? 普通に女の子にモテると思うわよあなた……」
「慰めはいいです。いえ、ありがとうございます。でもいいんです。大丈夫ですから……。さぁ、ご迷惑をおかけしましたが仕事の話を致しましょう。見たところ王都へは初めていらっしゃったご様子。色々と他と違うので驚いているのではありませんか? まずはその辺りからご説明を致しましょう」
「………………」
仕事での会話はスムーズにこなせるタイプみたいね。仕事は出来るけれどプライベートでは自信がなくてヘタレキャラ。何てテンプレ的なキャラなのかしらね。でもなんだか少し面白くなってきたわ。
決めた! 私この人に担当してもらおう!!
時刻は朝の十時を過ぎたところ。ギルドが始業してすぐという一日でもかなり忙しい時間帯に合わせた。
人が多い方が余計な事をされにくいだろうし、気が付かれない可能性も十分にある。
服装も昨日とは変えてあるし、今日は準備をしてきたから大丈夫!
「行くわよ!」
小さく気合を入れて私は扉の向こうへ踏み出した!!
「ーー!!」
こ、これは……想像以上だわ!
とにかく人が多い。受付はもちろん、クエストボードの方にも大勢の冒険者がいる。
少しでもいいクエストを受けようと皆必死で、職員もその対応に追われている。すでに待合のテーブル席で打ち合わせをしているパーティもある。
とにかく私もクエストを受注……の前に担当してくれる職員を探さなくてはいけない。面倒なシステムね……何でこんな事になっているのかしら?
どの受付も人がたくさん並んで……並んで……並んでーーない所が一箇所だけあった。
男性の職員が俯いて何かを書いているみたいだけれど……どうしてあそこだけ人が少ないのか……ちょっと気になるわね。
様子を伺いながら近づいてみると何やら本から手元のノートに書き写している。
何をしているんだろうか?
更に近づいてみる。
開いている本は細かい字が多くて何かわからないけれど、他に何冊かデスクの上に置いてあるのは植物辞典と魔物図鑑と……地図?
更に近寄ってノートの方を覗き込んでみるとクエスト毎に関連する情報をまとめているようだった。
一つ一つクエストに応じて書き写しているのだけれど、なんていうか、一生懸命なのは分かるけれど……不器用すぎて見てられない。
あ、ほら! それはさっきも同じ情報を書き写したじゃないの! 何でそんなやり方してるのよ!
クエスト毎じゃなくてそのエリアで分けて情報を整理すればいいじゃないのよ。
ほら、それも! 魔物の情報だってクエストで固定じゃなくてその地域でくくれるじゃないの!
ああ! もう!! だからそれは!!!
「ーーちょっと、それはさっきも書いたでしょ!? そうじゃなくてコレとコレとコレを一まとめにして! そう。それでコレとソレと……そっちのも、魔物は魔物でひとまとめにするのよ!! そうしたらエリアで魔物と採取可能な薬草と注意事項とか地形情報とかをまとめられるでしょ! ほら、早く! 次はどのエリアのクエストなの?」
「あ、あの……」
「何? 時間がないのよ質問は手早くして!」
「は、はい」
不器用ながらも丁寧に私の指示に沿って情報がまとめられていく。
うん。我ながらいい出来だわ。
そのエリアの情報が綺麗にまとめれていて、主目的の情報を見ながら該当エリアの魔物や注意事項、地形情報などを一度に目を通せる。
やっぱりこうでなくちゃね。
「……で、これでおしまい? そう、やればできるじゃない! いい出来よ」
「は、はぁ……ありがとうございます。それで、その……」
「何よ、言いたいことがあるのならハッキリと言いなさい、男でしょ!」
モゾモゾと言いにくそうにしている目の前の……男性職員……に……あ~……。
「ご、ごめんなさい……」
ふと我に返った私は自分が何をしていたのかを理解して……目の前の前髪で目元が隠れた職員Aに深々と頭を下げた。
彼の仕事に勝手に口を挟んで、その上アレをしろコレをしろと命令していたわけで……。
「ごめんなさい……つい興奮してしまいました……」
もう一度、丁寧にお詫びをする。
「い、いえいえ、とんでもない。お陰で今日まとめるつもりだったものがもう終わってしまいました。それも僕が考えていたよりもずっといい形で。あなたが謝る事はありません。それどころか僕の方がお礼を言わなくては……はぅ!!」
「………………」
目……は合っていないけれど、真っ直ぐに私の事を見ている気はする。前髪邪魔じゃないのかしら? 見えてはいるのよね? こちらからは完全に目元が見えない……どころか顔の上半分が髪で隠れていて、ちょっと不気味だわ……。
ああ、それでここだけ空いているのね。
受付奥の時計を見れば小一時間が経っているけれどここには誰も来ていない。ちなみに他の受付はまだかなりの冒険者が列をなしている。
この人それ程まで不気味がられてるのかしら? それとも他にも理由が? 目の前の根暗な感じの職員Aを改めて観察する。
長い前髪のボサボサ頭。服装はごくごく普通の白いシャツ。カウンター越しでボトムスは見えないけれど、多分スラックスでしょう。ネクタイの結び目が歪んで位置もズレているので最初の印象通り不器用っぽい。
それでもシャツにはアイロンが当ててありそうだし、不潔感はそこまで無いと思う。ボサボサ頭が減点対象だけれど、誰も近寄らない程とは思えない。
「ーーそれでいつまで私の事を見つめているつもりですか?」
「ーーす、すいません! 僕なんかがあなたのような綺麗な方を見てしまって!! 本当にすいません!」
随分卑屈な物言いね。彼の扱われ方が眼に浮かぶようだわ。
「別に好きに見ればいいじゃない。私だって綺麗な花があればじっと見つめるわよ? そういうものでしょ? ああ、でも別に自分が綺麗な花とかそういう意味じゃないからね? 私はそこまで自信過剰じゃないから。私よりも綺麗な人はたくさんいるしね」
そう聖女さまとか、ノインさんも凛としていてとっても綺麗だし、クアラも……癪だけど肉食系な美女よね。あとはレイチェルさん。あの冷たい感じの彼女が冥王さまにメロメロにされるところなんて……アレだけでご飯をおかわりできそうなほどよ!!
……って私は変態か!? 俺くんの知識やばいわね!?
「え……いいんですか!? 僕なんかが見ても!?」
いや、あなたどんな扱いを受けてたのよ!?
「別に見たいものを見たいように見ればいいのではないかしら? もちろん、いやらしすぎる視線はダメよ? それに必要以上にジロジロ見たりするのも失礼だからやめておきなさいね」
「そ、そうですよね。やっぱり僕なんかが見てはいけないですよね……」
何でそうなる!?
「だから、普通にすればいいのよ。あなたさっきからちゃんとこっちを見て話しているじゃないの。話すときは相手の方を見る。ちゃんと当たり前の事が出来ているのだから、普通にしてればいいのよ」
「で、でも僕が見ると嫌な顔をする人が多いので、だからその……」
「ああ、それで……」
こちらを向いてはいるけれど、目は隠れていて見えないけれど、何となく視線が定まっていないような、チラチラと覗き見られているような気がしていた。
「それは多分、その髪型が問題なんじゃないかしら? 顔が半分くらい隠れているもの……。怪我でもしているの?」
一応そういう可能性もあることに気がついて尋ねてみる。可能性はあるけれど彼に関しては多分そういう事じゃないと思う。人見知り……というか、多分自分に自信が持てなくて、人の目を見るのが怖いんだろう。目は口ほどにものを言う……。そんな言葉があるくらい、目はすごく色々な情報を与えてくれる。ただし、それは多分に読み取る側の主観が入っていて、その人がそう言った(思っている)わけではないという事が重要だったりする。
つまり、自分に自信がないと勝手に自分が思っている事を相手から読み取った気になってしまうのだ。実際問題、よほど外見に問題があるとか、こちらに興味があるとかでもなければ相手はこちらの事など気にもしていない事が殆どだ。いちいちこの人はどんな人だろうかとか、髪型が好きじゃないとか、服装が変とか気にしていない。
でも男が女を見るときは別だ!! あいつらは胸がどうだ、お尻がどうだ、体型が、足が、顔が……。数え上げたらキリがないくらい各自の好みのポイントを品定めする。なんて面倒な生き物なのか……。
それに引き換え女の子は……まぁ似たようなものか。この人かっこいいとか思ってるものね……。
とまぁ、だいたいはそこまで気にしていない。誰でも彼でもそういう対象ではないので、基本的に興味がない相手はスルーよスルー。
……いや、気になる時もあるけれど、それを言い出したらきりがない。まぁ概ね自信がない人が思うような深い事は何も考えていない。つまり被害妄想に近いとも言える。
……わよね? コレ私が無頓着だとかそう言う事はないわよね? 世間一般的にそうよね……?
ちょっと自信がないかも……。
「ほら、その邪魔な前髪を上げてみなさいよーー」
オロオロする彼の顔に手を伸ばして髪に触れる。
「「………………」」
うわー。なんてベタなのかしら……。
少しタレ目気味だけれど綺麗な目の形をしている。輪郭もスッキリしていて……どちらかというと甘えた王子系のキャラよね……。なんでこんな卑屈系自信喪失キャラになっているのだろうか?
家庭環境かしら……? それとも女の子関係で酷い目にあったとか? うわー色々想像を掻き立てられてしまうわ! この手のキャラはBLモノの恰好の餌食にされそうよね。冥王様みたいな俺様系のキャラにいいように弄ばれて……いやん……変な気分になっちゃいそうだわ。
「ーーあ、ごめんなさい。思わず魅入ってしまったわ」
少し妄想が暴走してしまった。引いているかしら?
「ーーだ、だから隠してるんです。僕なんて人様に見せられるような顔じゃありませんからーー」
私の手を優しく振り払って元のように目を隠してしまうとそんな耳を疑うような妄言を吐いた。何を言ってるのこの人? 正気!?
「はぁ!? 何を言っているのかしら? 鏡見た事ないの? 普通に女の子にモテると思うわよあなた……」
「慰めはいいです。いえ、ありがとうございます。でもいいんです。大丈夫ですから……。さぁ、ご迷惑をおかけしましたが仕事の話を致しましょう。見たところ王都へは初めていらっしゃったご様子。色々と他と違うので驚いているのではありませんか? まずはその辺りからご説明を致しましょう」
「………………」
仕事での会話はスムーズにこなせるタイプみたいね。仕事は出来るけれどプライベートでは自信がなくてヘタレキャラ。何てテンプレ的なキャラなのかしらね。でもなんだか少し面白くなってきたわ。
決めた! 私この人に担当してもらおう!!
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