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幕間1
EP1:とある少年冒険者の幸せな日々
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目を閉じると今も鮮明に思い出せる。あの芳しい香りと柔らかく吸い付くような肌。中でもとびっきりの果実のような薄紅色の唇の柔らかさは格別だった。
いや、彼女の身体はその全てが素晴らしかった。決して大きくはないがそれでも十分なサイズの二つの至宝。その先端は穢れを知らぬ桃色でツンと天を指していた。この世の物とは思えぬ柔らかな双丘はきっと一日中……いや永久に飽きる事なく触れ続ける事ができるだろう。
ほんの少し想いを馳せるだけで僕の中心が熱く滾ってくる。
ああ……愛しの我が姫君よ……。
僕はあれから貴女のことばかりを考えている。しかし貴女は今遠くの地へと旅立ってしまった。会えない時間がお互いの愛を育み高め合うとはいえ、僕の胸は張り裂けそうだ。
次に会う時はこの僕の鋼の理性であっても、溢れ出すこの想いを止められないかも知れない。華奢な貴女を壊してしまわないかそれが少し心配だ。
しかし、そんな心配は杞憂に違いない。貴女は慈愛の微笑みで僕の愛を受け止めてくれることだろう。
貴女は今難しいクエストに携わっていると聞いた。冒険者である以上それは避けられない事なのかもしれにが、何故貴女のような女性がそのような危険に身を晒さなくてはならないのか……。
まだ未熟な己が情けなく思う。僕が既に一流の冒険者となっていたならーー貴女にそのような仕事はさせないものを……。
いいや、いっそ常に傍にあって護り続ける方がいいかもしれない。
僕が貴女を護り、貴女が僕を癒す。
素晴らしい。
しかし残念だ。僕は未だ修行中の身。それは叶わぬ考え。だからせめて貴女に危険が及ばぬように祈りを捧げよう。
それでも貴女の事を心配しない日はない。たとえヒーラーとしての同行でも危険がないわけではない。心配だ。
もしも貴女の美しい身体に傷一つでもついてしまったなら……。それはこの世界にとってとてつもない損失だ。何よりも貴女を愛するこの僕が我慢できない。
貴女の純潔を捧げられた以上、僕はその未来を背負っている。
ああ、早く帰ってこないだろうか愛しい僕の姫君よ……。
「ーーおい、聞いてるのか!?」
「お~い? ラヴェルく~ん?」
「ダメだ……こいつまた例の妄想に取り憑かれてるみたいだな」
「だね……。何をどう勘違いしたらキラリさんの彼氏になるのかーー」
「ーーキラリ!? 何処だ!? 彼女が戻ったのか!?」
「おわ!? 急に大きな声を出すな! キラリさんはいないよ」
「そ、そうかすまない……」
僕とした事が慌ててしまった。キラリの、彼女のこととなるとどうにも気が急いてしまう。少しでも相応しくあるように心がけなくてはいけないというのに……。
「お前さ……その思い込み怖いよ……」
「俺は見ていて面白いけどな……。再会した時にどうなるか見ものだぜ」
「それは否定しない……」
彼女なしの童貞たちが僕のことを羨んでいるようだ。それも仕方がないことだ。まるで女神のような彼女を得た僕のことが羨ましくないわけがない。これは僕が受け止めなくてはならない非モテたちの羨望というものだ。
ふっ……。これが勝者の愉悦というものか……。君たちにも薔薇色の未来が訪れることを願っているよ。
「あーコイツまたなんか俺らを見下した妄想に入ったぜ?」
「俺……コイツの友達やめていい?」
「そう言うなよ。キーー彼女が戻ったら壮絶に現実を思い知る幼馴染を慰めてやろうぜ?」
「……お前言ってる事と表情があってねぇぞ?」
「そりゃな」
「まぁそうだよな……」
「「コイツバカだもんな」」
それから数日。ようやく僕の愛するキラリがこの街に戻ってきた。
彼女と会うために毎日ギルドにいた甲斐があったというものだ。
扉が開いた瞬間、世界が薔薇色に変わるのを感じた。見なくてもわかる。風が彼女の匂いを運んでくる。間違いない、キラリだ。
待合のソファーから立ち上がり彼女を出迎えに向かう。
僕の動きで気がついた友人たちが慌てて後を追ってくる。ふっ……スマートじゃないな。
まっすぐにこちらに向かってくる彼女はたった数日のことなのにより一層美しくなったように見える。
溢れるような笑顔をこちらに向けているその姿はもはや女神だ。
僕は立ち止まり両手を広げて彼女を迎えよう。さぁ、僕の胸に飛び込んでおいで、愛しのマイスイートハニー。
「おかーー!?」
「あ、すいません、ちょっと通してもらえますか?」
何だい? その他人行儀なセリフは。ここまできてまた僕を焦らすのかい? ふっ……そうか、僕の愛を試しているんだね? 心配ないよ、さぁ、抱きしめてあげよう!
「ーーうっ」
「何なんですかあなたは! いきなり抱きついてこようとするなんて!!」
な、ぜ……。僕だよ、キラリ……。どうして投げ飛ばす!? そうか、照れているんだね。大丈夫この程度のこと僕は気にしないよ。でも、う……ダメだ。背中を打ったから声が出ない。
「ーーキラリさん、お久しぶりです!」
「おかえりなさいキラリさん」
「あ、タイムくんとカイルくんだ。久しぶり、調子はどう? 冒険者してる?」
「ーー!?」
キラリ……僕はここだよ!?
「ええ、職員の方にみっちり稽古をつけてもらいながら初級クエストに挑戦しましたよ!」
「すごいじゃない! 頑張ってるのね!!」
「いや、キラリさんほどじゃないですよ。僕らと一緒に登録したのにもう一流冒険者と一緒にクエストをこなしてるじゃないですか」
「そんなことないわよ。今回はたまたまヒーラーが必要だっただけよ。私だってまだまだ駆け出し冒険者よ……あら? ところでラヴェルくんはどうしたの? やっぱりあんな事があったから冒険者はやらないとか?」
「「えっ……!?」」
「え、何? 私変な事言った?」
「あ、いや、その……」
「何よ? え、あ、もしかして……言いにくい事……なの?」
「「いやいやいやいや、違いますよ!!」」
「それじゃ何?」
「あの、そこで伸びてるーー」
「さっきの変質者がどうかしたの?」
ーー!?
「変質者……って……」
「あはは……。そいつが、そのラヴェルなんです」
「えーー!?」
いくらなんでも酷いじゃないか。僕だって分からなかったのかい? 僕は君のことをただのひと時も忘れたりはしなかったというのに……。
「ホントにラヴェルくん?」
「う、あ……」
ダメだ。まだ声が……。ああそうだ、頷けばいいんだ。
「……ごめんなさい、全然気がつかなかったわ。随分雰囲気が変わっていてビックリしたわ……何かあったの?」
僕が話せないからってタイムやカイルに聞かなくても……僕たち二人の事じゃないか……。
「こいつ……あの時の事がきっかけでキラリさんに惚れたらしくて、カッコいいところを見せようとしてるみたいんんですけど……」
「ああ……」
「すいません、何度も言ったんですけどアイツ俺たちの話を聞かなくて、でいつのまにか……その、キラリさんを彼女にした気になったみたいで……」
「えっと……」
「うーハァハァ……キ、ラリ……」
ようやく話せそうだ。
ああ、キラリ。そんなに悲しそうな顔をしないで……。
「キラリさん、すいませんがはっきり言ってやって下さい。コイツの目覚まさせてやって下さい」
「あとは俺らが面倒を見ますんで……ホント面倒だけどさ……」
おい! お前ら何を訳のわからない事を言ってるんだ!? 僕のキラリが困ってるじゃないか!?
「うぅぅーー」
「ひっ……。あのねラヴェルくんよく聞いてね? 私は……えっとあなたの彼女じゃなくて……えっとお付き合いも出来ません」
「ーー!?」
ハァ!? オイオイ一体何を言いだすんだいハニー? 僕たちはあんなにも熱く愛しあったじゃないか!?
「だからそのゴメンね? あの時の事は忘れてね? アレはその……治療行為だから、そういうのじゃないの……」
「ーー!?」
「タイムくん、カイルくん……これで大丈夫かな?」
「くくく……は、はい……ぷぅくく……」
「ありがとうございます。おいカイル! 笑うなって!」
「だってーーくっ……」
「もう……友達でしょ? そんな風に笑ったらダメよ?」
「分かってます。あとは俺らが」
「うん。よろしくね。それじゃ私はいくわね」
そう言って彼女は僕の前から去っていった。
どういう事だ!? 頭が真っ白で理解できない。こんなはずじゃない。こんなのはおかしい。そうだ、大勢の人がいるから照れてるんだ。そうだ、そうに違いない!
追いかけよう。きっと僕が追って来るのを待っている!!
「なあラヴェル。俺らの言った通りだろう? お前の勝手な思い込みだってさ」
「ーー!? 違う! そんな事ない!!」
「いや、現実見ようぜ? ここんとこのお前おかしいぜ? いい加減目を覚ませよ。お前は確かに一段階段を登ったけどさ……アレはある意味夢だ。いつまでも夢を見てるんじゃない。目覚ませよ」
うるさい、うるさい、うるさい!
夢じゃない。夢なんかじゃない! 僕はキラリとーー。
EP1ーー完
いや、彼女の身体はその全てが素晴らしかった。決して大きくはないがそれでも十分なサイズの二つの至宝。その先端は穢れを知らぬ桃色でツンと天を指していた。この世の物とは思えぬ柔らかな双丘はきっと一日中……いや永久に飽きる事なく触れ続ける事ができるだろう。
ほんの少し想いを馳せるだけで僕の中心が熱く滾ってくる。
ああ……愛しの我が姫君よ……。
僕はあれから貴女のことばかりを考えている。しかし貴女は今遠くの地へと旅立ってしまった。会えない時間がお互いの愛を育み高め合うとはいえ、僕の胸は張り裂けそうだ。
次に会う時はこの僕の鋼の理性であっても、溢れ出すこの想いを止められないかも知れない。華奢な貴女を壊してしまわないかそれが少し心配だ。
しかし、そんな心配は杞憂に違いない。貴女は慈愛の微笑みで僕の愛を受け止めてくれることだろう。
貴女は今難しいクエストに携わっていると聞いた。冒険者である以上それは避けられない事なのかもしれにが、何故貴女のような女性がそのような危険に身を晒さなくてはならないのか……。
まだ未熟な己が情けなく思う。僕が既に一流の冒険者となっていたならーー貴女にそのような仕事はさせないものを……。
いいや、いっそ常に傍にあって護り続ける方がいいかもしれない。
僕が貴女を護り、貴女が僕を癒す。
素晴らしい。
しかし残念だ。僕は未だ修行中の身。それは叶わぬ考え。だからせめて貴女に危険が及ばぬように祈りを捧げよう。
それでも貴女の事を心配しない日はない。たとえヒーラーとしての同行でも危険がないわけではない。心配だ。
もしも貴女の美しい身体に傷一つでもついてしまったなら……。それはこの世界にとってとてつもない損失だ。何よりも貴女を愛するこの僕が我慢できない。
貴女の純潔を捧げられた以上、僕はその未来を背負っている。
ああ、早く帰ってこないだろうか愛しい僕の姫君よ……。
「ーーおい、聞いてるのか!?」
「お~い? ラヴェルく~ん?」
「ダメだ……こいつまた例の妄想に取り憑かれてるみたいだな」
「だね……。何をどう勘違いしたらキラリさんの彼氏になるのかーー」
「ーーキラリ!? 何処だ!? 彼女が戻ったのか!?」
「おわ!? 急に大きな声を出すな! キラリさんはいないよ」
「そ、そうかすまない……」
僕とした事が慌ててしまった。キラリの、彼女のこととなるとどうにも気が急いてしまう。少しでも相応しくあるように心がけなくてはいけないというのに……。
「お前さ……その思い込み怖いよ……」
「俺は見ていて面白いけどな……。再会した時にどうなるか見ものだぜ」
「それは否定しない……」
彼女なしの童貞たちが僕のことを羨んでいるようだ。それも仕方がないことだ。まるで女神のような彼女を得た僕のことが羨ましくないわけがない。これは僕が受け止めなくてはならない非モテたちの羨望というものだ。
ふっ……。これが勝者の愉悦というものか……。君たちにも薔薇色の未来が訪れることを願っているよ。
「あーコイツまたなんか俺らを見下した妄想に入ったぜ?」
「俺……コイツの友達やめていい?」
「そう言うなよ。キーー彼女が戻ったら壮絶に現実を思い知る幼馴染を慰めてやろうぜ?」
「……お前言ってる事と表情があってねぇぞ?」
「そりゃな」
「まぁそうだよな……」
「「コイツバカだもんな」」
それから数日。ようやく僕の愛するキラリがこの街に戻ってきた。
彼女と会うために毎日ギルドにいた甲斐があったというものだ。
扉が開いた瞬間、世界が薔薇色に変わるのを感じた。見なくてもわかる。風が彼女の匂いを運んでくる。間違いない、キラリだ。
待合のソファーから立ち上がり彼女を出迎えに向かう。
僕の動きで気がついた友人たちが慌てて後を追ってくる。ふっ……スマートじゃないな。
まっすぐにこちらに向かってくる彼女はたった数日のことなのにより一層美しくなったように見える。
溢れるような笑顔をこちらに向けているその姿はもはや女神だ。
僕は立ち止まり両手を広げて彼女を迎えよう。さぁ、僕の胸に飛び込んでおいで、愛しのマイスイートハニー。
「おかーー!?」
「あ、すいません、ちょっと通してもらえますか?」
何だい? その他人行儀なセリフは。ここまできてまた僕を焦らすのかい? ふっ……そうか、僕の愛を試しているんだね? 心配ないよ、さぁ、抱きしめてあげよう!
「ーーうっ」
「何なんですかあなたは! いきなり抱きついてこようとするなんて!!」
な、ぜ……。僕だよ、キラリ……。どうして投げ飛ばす!? そうか、照れているんだね。大丈夫この程度のこと僕は気にしないよ。でも、う……ダメだ。背中を打ったから声が出ない。
「ーーキラリさん、お久しぶりです!」
「おかえりなさいキラリさん」
「あ、タイムくんとカイルくんだ。久しぶり、調子はどう? 冒険者してる?」
「ーー!?」
キラリ……僕はここだよ!?
「ええ、職員の方にみっちり稽古をつけてもらいながら初級クエストに挑戦しましたよ!」
「すごいじゃない! 頑張ってるのね!!」
「いや、キラリさんほどじゃないですよ。僕らと一緒に登録したのにもう一流冒険者と一緒にクエストをこなしてるじゃないですか」
「そんなことないわよ。今回はたまたまヒーラーが必要だっただけよ。私だってまだまだ駆け出し冒険者よ……あら? ところでラヴェルくんはどうしたの? やっぱりあんな事があったから冒険者はやらないとか?」
「「えっ……!?」」
「え、何? 私変な事言った?」
「あ、いや、その……」
「何よ? え、あ、もしかして……言いにくい事……なの?」
「「いやいやいやいや、違いますよ!!」」
「それじゃ何?」
「あの、そこで伸びてるーー」
「さっきの変質者がどうかしたの?」
ーー!?
「変質者……って……」
「あはは……。そいつが、そのラヴェルなんです」
「えーー!?」
いくらなんでも酷いじゃないか。僕だって分からなかったのかい? 僕は君のことをただのひと時も忘れたりはしなかったというのに……。
「ホントにラヴェルくん?」
「う、あ……」
ダメだ。まだ声が……。ああそうだ、頷けばいいんだ。
「……ごめんなさい、全然気がつかなかったわ。随分雰囲気が変わっていてビックリしたわ……何かあったの?」
僕が話せないからってタイムやカイルに聞かなくても……僕たち二人の事じゃないか……。
「こいつ……あの時の事がきっかけでキラリさんに惚れたらしくて、カッコいいところを見せようとしてるみたいんんですけど……」
「ああ……」
「すいません、何度も言ったんですけどアイツ俺たちの話を聞かなくて、でいつのまにか……その、キラリさんを彼女にした気になったみたいで……」
「えっと……」
「うーハァハァ……キ、ラリ……」
ようやく話せそうだ。
ああ、キラリ。そんなに悲しそうな顔をしないで……。
「キラリさん、すいませんがはっきり言ってやって下さい。コイツの目覚まさせてやって下さい」
「あとは俺らが面倒を見ますんで……ホント面倒だけどさ……」
おい! お前ら何を訳のわからない事を言ってるんだ!? 僕のキラリが困ってるじゃないか!?
「うぅぅーー」
「ひっ……。あのねラヴェルくんよく聞いてね? 私は……えっとあなたの彼女じゃなくて……えっとお付き合いも出来ません」
「ーー!?」
ハァ!? オイオイ一体何を言いだすんだいハニー? 僕たちはあんなにも熱く愛しあったじゃないか!?
「だからそのゴメンね? あの時の事は忘れてね? アレはその……治療行為だから、そういうのじゃないの……」
「ーー!?」
「タイムくん、カイルくん……これで大丈夫かな?」
「くくく……は、はい……ぷぅくく……」
「ありがとうございます。おいカイル! 笑うなって!」
「だってーーくっ……」
「もう……友達でしょ? そんな風に笑ったらダメよ?」
「分かってます。あとは俺らが」
「うん。よろしくね。それじゃ私はいくわね」
そう言って彼女は僕の前から去っていった。
どういう事だ!? 頭が真っ白で理解できない。こんなはずじゃない。こんなのはおかしい。そうだ、大勢の人がいるから照れてるんだ。そうだ、そうに違いない!
追いかけよう。きっと僕が追って来るのを待っている!!
「なあラヴェル。俺らの言った通りだろう? お前の勝手な思い込みだってさ」
「ーー!? 違う! そんな事ない!!」
「いや、現実見ようぜ? ここんとこのお前おかしいぜ? いい加減目を覚ませよ。お前は確かに一段階段を登ったけどさ……アレはある意味夢だ。いつまでも夢を見てるんじゃない。目覚ませよ」
うるさい、うるさい、うるさい!
夢じゃない。夢なんかじゃない! 僕はキラリとーー。
EP1ーー完
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