11 / 278
第一章:プリンセス、冒険者になる
(11)
しおりを挟む
アンに確認したところ私は森の泉でスライムに七日間もいいようにされていたらしい。飲まず食わずでよく七日間も生きていたものだ。感心する。
恐らくというか確実にスライムの粘液……体液……スライム汁……どう言っても気持ち悪い……それならいっそスライムの愛液……。
「………………」
うぅぅ……今度は途端にいやらしくなってしまう。それでもスライムから栄養を吸い取ることで生き延びたことは間違いないだろう。いくら魔族でも七日間も水分の補給すらなしでの生存は絶望的だ。
これだけ時間がた経ってしまうと流石に盗賊があの場に留まっている可能性はない。アジトに戻っていることだろう。そして私にはこの森を根城として付近の街道を荒らす盗賊団に一応心当たりがある。ゲームでは赤髪の主人公が蹴散らすことになる魔狼の顎盗賊団だ。
名前の由来は知らないがどうせこの森の主、魔狼王ガルムの威を借る不届き者たちに違いない。そんな雑魚はレベルが上がった今の私の敵ではない。
その自信の根拠を説明しておこう。まずこのゲームレベルが上がると飛躍的に強くなる。その一つがダメージ減少補正だ。何かと言うと、防具などの効果を計算して出した最終的なダメージ値からその値の分だけダメージを減少させる。というものなのだが、実はこれレベルがそのまま適用される。つまり今の私ならレベルと同じ128までのダメージは全て1になるということ。これは防具の防御値を超えると最低でも1のダメージは受けるというルールがあるから。まぁゲームだし仕方がない。
そしてこれがどのくらいすごいかというと、この世界(ゲームの話)では最高レベルが100なので、今の私はそのカンストした状態を上回っている。
ラスボスカモーン……。いや本当に来たら困るけれど……。
でもそれくらいの防御力を備えているということ。気が大きくなるのも頷けるというものだ……。
さてレベルの偉大さにご納得いただけたであろうか?
ところで私は一体誰に説明しているんだ?
……まぁいいか。自分なりに復習……じゃないけど確認しておいた方がいい様な気がする。
何かとんでもない思い違いがあるかもしれないしね。
さて実際に今の私が盗賊程度の敵モブキャラに攻撃されたとしてもダメージは1。たったの1。
素っ裸の私がダメージを受けるには少なくともスキルレベル5くらいの剣士は必要になると思う。
……たぶん。武器の攻撃力×スキルレベルだったはず。五倍とかになればきっと今の私でも痛いんじゃないかな? どうかな? 試したくはないかな?
そのレベルに至らない剣士では裸の私にすら殆どダメージを与えることができないだろう……。正確にはHPを削れないだけで怪我はすると思うけど……。血みどろなのにHPは全然減っていないとか何それ怖い!?
でもそうか、普通に怪我はするのよね私……あれ? 頭とか致命傷となる様な部位に攻撃を受けたらどうなるのかしら? 本当に生命力が残るから平気なのか、それとも……。
ちょっと試してみよう! というわけにもいかないからまずいわね。何これ? 結局戦いになればそうそう攻撃を受けるわけにはいかないじゃない!?
「………………」
「どうかしましたかキラリ様? お顔が引きつっているようですが?」
「なんでもないわ大丈夫よ」
「それならいいのですが……。まだその体にも十分慣れていないでしょうし、くれぐれもご無理はなさらないでくださいね」
「わかっているわ、ありがとうアン」
話をしながらも私は森の中を盗賊団のアジトへ向けて足早に駆けている。あれほど苦労させられた森の中をいともたやすく……。
基本的な私の身体能力は何も変わっていないのだけれど、今の私には全ての行動にレベルによる補正がかかっている。
それはただ走ることにすら影響する。スキルがない事にたいしてはレベル/難易度でステータスに補正がかかるのだけど……例えば『走る』という行動であれば難易度は10段階中の1に該当する。誰でもできるような行動は大抵が難易度1。つまりレベル/難易度だからレベルがそのまま基準値となる。そこにスキル補正が加わる。
大体一般人のレベル帯は5~20くらいなので、私の場合この時点で既に無茶苦茶なのがわかる。だって一般人の中でも高レベルな人たちの数倍のレベルなのだから……。
うーん。実際のところ数値の違いがどのように反映されるのか比べてみないとどのくらい凄いのかよくわからないわね。
でもまぁ、すべての行動は身体的な能力(ステータス)とレベル補正、スキル補正の影響を受けるということ。
特に基本的な行動に対するレベル補正が凄い効果を発揮するのでレベルアップは大切だ。
その次はスキルレベルで、たとえ1レベルでもあればより優位に立てる。それこそ難易度が一つ上がるだけでスキルの有無はかなりの差になる。
それだけにゲームでのレベル上げとは訳が違い、そう簡単にレベルは上がらない……と私が言ってもなんの説得力もないだろうけど。
ただし現時点でも私には致命的な弱点がある。それはマイナススキル。
通常は有利に働くレベル補正ですらマイナスに作用する。
つまり私はどれだけ抵抗しようがレベルを上げようが事快楽に対してはとんでもないマイナスとなる。この補正値計算の仕組みは私にとっては命取りだ。なんせ耐性(快楽)の難易度は誰でも出来るということで難易度1。つまり現状私の耐性を計算すると……。
え!? マイナス1280!?
嘘でしょ!? これ計算合ってる!?
合ってるなら世界最高クラスの快楽に弱い人(魔族)という事になる。
おい待て! これはあまりにも酷すぎるだろ!? もはやバグだろう!?
この世界がエロゲー準拠なのだから、快楽とはつまりアレのことで、剣での攻撃よりも胸を揉まれる方がある意味ダメージを受けるという……。これじゃ快楽耐性がなさすぎて胸を揉まれた瞬間私の体はエロエロモードって事じゃないの!?
いやぁぁーーー!! 今考えてるだけでも死にたくなる。
ホントなんなの!? なんでこんな世界なの!? どうしてこんな設定なのよ!!
恐らくというか確実にスライムの粘液……体液……スライム汁……どう言っても気持ち悪い……それならいっそスライムの愛液……。
「………………」
うぅぅ……今度は途端にいやらしくなってしまう。それでもスライムから栄養を吸い取ることで生き延びたことは間違いないだろう。いくら魔族でも七日間も水分の補給すらなしでの生存は絶望的だ。
これだけ時間がた経ってしまうと流石に盗賊があの場に留まっている可能性はない。アジトに戻っていることだろう。そして私にはこの森を根城として付近の街道を荒らす盗賊団に一応心当たりがある。ゲームでは赤髪の主人公が蹴散らすことになる魔狼の顎盗賊団だ。
名前の由来は知らないがどうせこの森の主、魔狼王ガルムの威を借る不届き者たちに違いない。そんな雑魚はレベルが上がった今の私の敵ではない。
その自信の根拠を説明しておこう。まずこのゲームレベルが上がると飛躍的に強くなる。その一つがダメージ減少補正だ。何かと言うと、防具などの効果を計算して出した最終的なダメージ値からその値の分だけダメージを減少させる。というものなのだが、実はこれレベルがそのまま適用される。つまり今の私ならレベルと同じ128までのダメージは全て1になるということ。これは防具の防御値を超えると最低でも1のダメージは受けるというルールがあるから。まぁゲームだし仕方がない。
そしてこれがどのくらいすごいかというと、この世界(ゲームの話)では最高レベルが100なので、今の私はそのカンストした状態を上回っている。
ラスボスカモーン……。いや本当に来たら困るけれど……。
でもそれくらいの防御力を備えているということ。気が大きくなるのも頷けるというものだ……。
さてレベルの偉大さにご納得いただけたであろうか?
ところで私は一体誰に説明しているんだ?
……まぁいいか。自分なりに復習……じゃないけど確認しておいた方がいい様な気がする。
何かとんでもない思い違いがあるかもしれないしね。
さて実際に今の私が盗賊程度の敵モブキャラに攻撃されたとしてもダメージは1。たったの1。
素っ裸の私がダメージを受けるには少なくともスキルレベル5くらいの剣士は必要になると思う。
……たぶん。武器の攻撃力×スキルレベルだったはず。五倍とかになればきっと今の私でも痛いんじゃないかな? どうかな? 試したくはないかな?
そのレベルに至らない剣士では裸の私にすら殆どダメージを与えることができないだろう……。正確にはHPを削れないだけで怪我はすると思うけど……。血みどろなのにHPは全然減っていないとか何それ怖い!?
でもそうか、普通に怪我はするのよね私……あれ? 頭とか致命傷となる様な部位に攻撃を受けたらどうなるのかしら? 本当に生命力が残るから平気なのか、それとも……。
ちょっと試してみよう! というわけにもいかないからまずいわね。何これ? 結局戦いになればそうそう攻撃を受けるわけにはいかないじゃない!?
「………………」
「どうかしましたかキラリ様? お顔が引きつっているようですが?」
「なんでもないわ大丈夫よ」
「それならいいのですが……。まだその体にも十分慣れていないでしょうし、くれぐれもご無理はなさらないでくださいね」
「わかっているわ、ありがとうアン」
話をしながらも私は森の中を盗賊団のアジトへ向けて足早に駆けている。あれほど苦労させられた森の中をいともたやすく……。
基本的な私の身体能力は何も変わっていないのだけれど、今の私には全ての行動にレベルによる補正がかかっている。
それはただ走ることにすら影響する。スキルがない事にたいしてはレベル/難易度でステータスに補正がかかるのだけど……例えば『走る』という行動であれば難易度は10段階中の1に該当する。誰でもできるような行動は大抵が難易度1。つまりレベル/難易度だからレベルがそのまま基準値となる。そこにスキル補正が加わる。
大体一般人のレベル帯は5~20くらいなので、私の場合この時点で既に無茶苦茶なのがわかる。だって一般人の中でも高レベルな人たちの数倍のレベルなのだから……。
うーん。実際のところ数値の違いがどのように反映されるのか比べてみないとどのくらい凄いのかよくわからないわね。
でもまぁ、すべての行動は身体的な能力(ステータス)とレベル補正、スキル補正の影響を受けるということ。
特に基本的な行動に対するレベル補正が凄い効果を発揮するのでレベルアップは大切だ。
その次はスキルレベルで、たとえ1レベルでもあればより優位に立てる。それこそ難易度が一つ上がるだけでスキルの有無はかなりの差になる。
それだけにゲームでのレベル上げとは訳が違い、そう簡単にレベルは上がらない……と私が言ってもなんの説得力もないだろうけど。
ただし現時点でも私には致命的な弱点がある。それはマイナススキル。
通常は有利に働くレベル補正ですらマイナスに作用する。
つまり私はどれだけ抵抗しようがレベルを上げようが事快楽に対してはとんでもないマイナスとなる。この補正値計算の仕組みは私にとっては命取りだ。なんせ耐性(快楽)の難易度は誰でも出来るということで難易度1。つまり現状私の耐性を計算すると……。
え!? マイナス1280!?
嘘でしょ!? これ計算合ってる!?
合ってるなら世界最高クラスの快楽に弱い人(魔族)という事になる。
おい待て! これはあまりにも酷すぎるだろ!? もはやバグだろう!?
この世界がエロゲー準拠なのだから、快楽とはつまりアレのことで、剣での攻撃よりも胸を揉まれる方がある意味ダメージを受けるという……。これじゃ快楽耐性がなさすぎて胸を揉まれた瞬間私の体はエロエロモードって事じゃないの!?
いやぁぁーーー!! 今考えてるだけでも死にたくなる。
ホントなんなの!? なんでこんな世界なの!? どうしてこんな設定なのよ!!
0
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる