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1巻
1-2
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◇Side:レギーネ◇
あたしはとっても憂鬱だった。
「はあ……明日は久しぶりにクズフォンスに会いに行く日か」
親が勝手に決めた婚約。
オルセン家のためとは言え、あんなキモブタと結婚しないといけないなんで……
あまりの嫌悪感に、あたしはつい部屋の窓から下を見る。
「ここから飛び降りちゃおうかな。あたし」
ここは屋敷の二階だから、飛び降りてもせいぜい骨が折れる程度だけど、明日会わなくて済むならそれもいいかもしれない。
それほどまでにクズフォンスと会うのは気が重かった。
クズフォンスとは、すでに何度かお茶会をしているが、毎回鼻をフガフガさせて、気持ち悪い視線を送ってくるのだ。本当にキモすぎて、紅茶もクッキーも吐いてしまいそうになるくらい。
それに、今のあたしには気になる人が別にいる。
「水の魔術師様と、結婚できたらいいのに……」
一度、ガレオンの街に行った時、街の広場で、泣いている女の子がいた。
親とはぐれた迷子で、たぶんよその国からやってきた子。
よそ者に冷たいガレオンの人たちは、迷子がいても見て見ぬフリだった。
でも、そこに水の魔術師様は周りの目を気にすることなく、その子に近付いて、噴水からキレイな水玉を作って渡していた。
スライムみたいにぷにぷにする水玉をもらって、女の子は笑顔になった。
あんな高度な魔法を、涼しい顔で使うなんて!
「水の魔術師様、本当にイケメンだったなあ……」
通りかかった時に後ろ姿を少し見ただけだけど、銀色の髪に、すらっと高い背。
とても素敵な出で立ちだったな。
「あのキモブタも、髪だけは銀色なのよね……」
でも体型や性格はまったく違う。水の魔術師様の爪の垢を煎じて、ガブガブ飲ませてやりたいくらいだ。
「レギーネお嬢様。紅茶を淹れました」
メイドのセリアが部屋に入ってくる。
「ありがとう。ちょうど飲みたかったところだったの」
「ふふふ。レギーネお嬢様、また水の魔術師様のこと考えてましたね?」
セリアとは、あたしが生まれた時から一緒にいる。
「ち、違うわ……」
「うふふ。顔が真っ赤ですよ。恋してますね? 水の魔術師に」
身分は違うけど、まるで姉妹のようにからかい合うような関係だ。
あたしが気になっている水の魔術師というのは、ヴァリエ侯爵領で話題になっている謎のイケメン魔術師のことだ。
水魔法で領地中の水道を整備して回ったり、この前の女の子の時のように人助けをしているらしい。あっという間に女の子のファンができて、目撃情報があるとみんながヴァリエ領に押し寄せるようになったようだ。
「明日は、アルフォンス様とお茶会の日ですね」
「死ぬほど嫌よ。水の魔術師様と同じなのは『銀髪』なだけだし……」
「ヴァリエ侯爵家の近くで新しい目撃情報が出たみたいですよ」
「本当に?」
「ええ。もしかしたら水の魔術師に近付ける情報が手に入るかもしれませんね」
キモブタには会いたくないけど、水の魔術師様が近くにいる可能性があるなら行くしかない。
それだけが、あたしの楽しみだ。
「水の魔術師様と会えますように……!」
◇ ◇ ◇
「アルフォンス様、今日もレギーネ様が来ました」
「え? 三日連続だぞ?」
前まではかなり期間を空けて会っていたはずのレギーネが、なぜかここ最近頻繁に訪問してくる。
「でも話すことないしな……」
しかも俺に会いに来ても、彼女から言葉を発することはめったにない。
じっと虫を観察するみたいに俺を見るだけ。
正直言って、気味が悪いというか……
「何を考えてるのか、サッパリわからないんだよ」
「なるほど……私の予想では、レギーネ様はアルフォンス様に何か言いたいことがあるけど言い出せないという状況のように感じますね」
「うーん。何を言い淀んでるんだろう?」
婚約破棄の申し出だろうか?
クズな性格のアルフォンスがどんな反応をするか怖くて、なかなか言えないのかもしれない。
「とりあえず、今日は先約があるから会えないよ。冒険者ギルドで剣の鍛錬だ」
「け、剣の、たんれん……っ!!」
リコがふらっと倒れそうになる。
「リコッ! 危ない!」
俺は間一髪のところでリコを抱きとめた。
「ア、アルフォンス様が、剣を握るなんて……明日世界が終わるかも……」
長年アルフォンスの側にいたリコにとって、今のは卒倒するような発言だったのか。
「しかし、なんでまた剣を? 『剣は下賤な平民のもの』と言っていたじゃありませんか?」
たしかに『ドミナント・タクティクス』の世界では、魔法を使えるのは貴族のみのため、魔法を使えない平民は自ずと剣で戦うことになる。
だが主人公だけは、平民でありながら魔法を使うことができて、もちろん剣の腕も立つ。魔法も剣もどちらも天才で、その力で貴族たちを蹂躙していく。
もしシナリオ通りに進んだら、俺は学園で主人公に追放されるので、冒険者になって生きていくつもりだった。
冒険者の世界は強さがすべての実力主義。剣も魔法もどちらも使えた方がいい。
「少しでも強くなるためだよ。強くなって、ヴァリエ家の領民を守りたいんだ」
だが、貴族が冒険者を目指すのは野蛮だと言われているため、ここでは俺の本当の意図は隠しておく。
俺はリコに予め考えておいた理由を伝えた。
「とても立派ですね。ただ、最近のアルフォンス様は立派すぎて、どこか遠くへ行ってしまった気がしてちょっと寂しいというか……」
「寂しい?」
「いえっ! 今の言葉は忘れてください……」
なんだかレギーネだけでなく、リコの様子も最近変だな。
◇ ◇ ◇
リコに頼んでレギーネとのお茶会を断ってもらい、俺はガレオンの冒険者ギルドへ向かった。
この世界では、貴族は自らが冒険者を目指すことがほとんどない代わりに、自分の領地に冒険者ギルドを持っている。
表向きはギルドは独立した組織だが、実際には貴族から金銭的な援助を受けないと、ギルドは運営できない。要するに、貴族はギルドのケツモチみたいなものだ。
唯一の例外は、主人公が後に所属する『栄光の盾』と呼ばれるギルドだ。ここはSSランクの人間だけを集めた最高峰の組織で、貴族から一切の援助を受けずに活動している。
ギルドの訓練場に入って、俺は剣術を教えてくれる師匠を待っていた。
父親には、事前に師匠の手配を頼んでおいた。
「貴族が剣を振れるわけねえ」
「ヴァリエ侯爵のブタ息子じゃん」
「マジで邪魔だわ」
冒険者からは罵詈雑言が飛んでくる。
ここでもアルフォンスの悪評は広まっているのか。
それはさておき、父親はすごい師匠をつけてやると言っていたが、いったいどんなやつなのか。
「アルフォンス殿、待たせましたね」
「え? あなたはSランク剣聖の、クレハ・ハウエルさん……!」
桃色の髪を束ねた剣士が鳶色の瞳で、俺をまっすぐ見据える。
「あなたがヴァリエ侯爵の令息ですね。剣を習いたいとのことですが……」
明らかに不機嫌そうな声だ。最初から嫌われているらしい……
おそらく俺の父親に無理矢理雇われたのだろう。
クレハは主人公が学園を卒業した後、仲間になるキャラだ。
だからゲームのシナリオ通りなら、そもそもアルフォンスがクレハと出会うことは絶対にない。
そもそも自分の親を貴族に殺された過去を持つクレハにとって、権力を振りかざす貴族は憎むべき相手でもある。
つまり、アルフォンスはどストライクで嫌悪の対象。
「ギルドからの依頼で、あなたに剣を教えることになりました。早速ですが、あなたの実力を見せてもらいましょう」
クレハが訓練用の木剣を俺に差し出した。
その時、俺の耳元で――
「どうせ遊びでやっていることでしょうから、手加減してあげますよ……」
クレハがそう囁いた。
「違う。俺は、真剣に強くなりたいんだ――」
◇Side:クレハ◇
ギルドの依頼で仕方なく侯爵令息の剣の指導をすることになって数日、あたしは打ちひしがれていた。
「あたしの今までの努力っていったい……」
アルフォンス様の、圧倒的な才能に。
初日の手合わせこそ勝利したものの、その後の鍛錬のたびにアルフォンス様はどんどん強くなっている。
子どもの頃、無能貴族の魔法が暴走したせいで家族を殺されて以来、あたしは貴族の存在を嫌悪していた。
そして、残った妹のアイラを養うために冒険者になり、あたしはひたすら剣の腕を磨いてきた。
冷徹に任務をこなすあたしを『氷の姫騎士』なんて呼ぶ人もいる。嫌いな呼び名だけど。
いつしか『剣聖』と呼ばれるようになり、あたしのもとにたくさんの貴族や騎士が弟子になりたいと言って集まるようになった。
だけど、みんなすぐ音を上げる。あたしの指導が厳しすぎると言って。
だから今回の依頼者も数日かからず諦めると思っていた。
ヴァリエ家はギルドの支援者だから、ギルマスに頼まれて仕方なく引き受けただけだ。
でも、その思惑は外れた。
毎日、アルフォンス様は必ず鍛錬にやってくる。
あたしがどれだけ倒しても、剣を振り続ける。
そして何より――
「上達速度が尋常じゃない……っ!」
間合い、呼吸、体幹、目線、先読み……
一流の剣士のセンスをアルフォンス様は備えている。
ポテンシャルがすさまじい。
「圧倒的才能ね……」
たしかアルフォンス様は『キモブタ』『無能貴族』『ヴァリエ家の恥晒し』と言われるような人間だったはずなのに。
きっと今まで、誰もアルフォンス様の才能に気付いていなかったということなのだろうか。
王国一の金持ち貴族の家に生まれたから、今まで努力をする必要がなかっただけで、少しでもやる気を出したらここまで伸びるものなのか。
「才ある者が努力したら、そりゃすごいわよね……」
あと一年、いや、半年も鍛錬すれば、アルフォンス様はあたしを追い越してしまう。
「あたしを師匠って呼んでくれるのは、もってあと半年か……」
もしあたしが師匠でなくなったら、アルフォンス様とはお別れだ。
でも、これからのアルフォンス様の成長を見届けたい。
「もっとアルフォンス様と一緒にいるにはどうすれば……」
第三話 アルフォンス様に忠誠を誓います
「アルフォンス様……今日で家庭教師を辞めさせていただきます」
「えっ? どうして?」
授業が終わると、ロゼリア先生が突然辞職を申し出た。
「私がアルフォンス様に、教えられることがないからです……すでにアルフォンス様は、私の実力を遥かに超えてしまいました。辞職については、ヴァリエ侯爵様の承諾をいただいています」
俺に話す前に、辞職の意志を固めていたらしい。
「そんな……」
「来年、セプテリオン魔法学園に行けば、アルフォンス様のレベルに合った魔法をもっと学べます」
セプテリオン魔法学園――王都にある一流の魔法学園だ。
主人公とアルフォンスが出会う場所でもある。
「でも、俺はロゼリア先生ともっと……」
「……すみません。もう決めたんです」
「せめて新しい就職先を紹介させてください。父上に頼んでみます」
「ありがとうございます。アルフォンス様は紳士ですね」
『キモブタ侯爵令息』と呼ばれていたアルフォンスが、女性から紳士と言われる日が来るなんて……
うん。よくやったぞ。アルフォンス……って俺のことか。
「またアルフォンス様とお会いできましたら、その時は一緒に魔法の研究をしましょう」
「はい! ぜひっ!」
俺はロゼリア先生と握手した。
シナリオでは、ロゼリア先生はアルフォンスのセクハラとパワハラに耐えかねて自殺する展開だったけど、とりあえず、ひとつ破滅の未来を変えることができてよかった……
◇ ◇ ◇
翌日、ギルドの鍛錬場に俺は来ていた。
今日はクレハさんとの剣の鍛錬の日だ。
「アルフォンス様、手合わせ願います。いつもは教えながらですが、今日は真剣に」
クレハさんが剣を抜いた。
訓練用の木剣でなく、真剣での手合わせなんて初めてだ。
クレハさんの表情もいつになく真面目だった。なんとなくいつもと雰囲気が違う……
「わかりました。こちらこそお願いします」
俺も剣を抜く。
せめてカッコ悪い負け方だけは、しないようにしないとな……
「はあああああああああ……っ!」
クレハさんが踏み出して、突きを繰り出す。
俺の喉を狙っているように見せかけているが、これは――フェイクだ。
ガラ空きになった俺の胴へ、横薙ぎを喰わすための陽動。
……見える。クレハさんの剣と、思考が。
右の胴へ素早く迫る剣を、俺は自分の剣で受け止めた。
よし! このまま剣を下へいなせば――
「く……っ!」
クレハさんが足がもつれさせて、その身体がよろめく。
体勢を崩したクレハさんの肩へ、俺は剣を振り下ろして寸止めした。
「わたしが……負けた」
驚いた表情をしながら、クレハさんが床に手をつく。
いつの間にか訓練場の周りにいた冒険者のギャラリーがざわつく。
「マジかよ……氷の姫騎士が負けた!」
「何が起こったんだ? 全然見えなかったぞ……」
「あのクズ貴族が勝つなんて! し、信じられない!」
「アルフォンス様、見えたのですね?」
クレハさんは立ち上がりながら、俺に微笑む。
「……はい。見えました」
クレハさんが言っているのは、太刀筋のことだ。
さっき俺には、はっきりとそれが見えていた。
「アルフォンス様、あなたはわたしの剣を見切りました」
俺はこれまでの鍛錬の間、ずっとクレハさんを観察していた。
太刀筋だけじゃない。クレハさんの呼吸、視線、重心、手足の動き――
それらを目に焼きつけた後、寝る前に毎日、脳内で動きを再生する。
イメージトレーニングを続けていたら、最初は見えていなかったものが、徐々に見えるようになっていた。
「相手の動きを見切る目は、剣で最も大切なものです。それをこの短期間で習得できたアルフォンス様にはやはり才能があります」
とても嬉しそうな顔をして、俺の顔を見つめるクレハさん。
「次に大切なものは、反射神経。これはなかなか鍛えることができないはずですが……」
たとえ相手の動きが見えるようになっても、反応できなれば意味がない。
だが俺は、一流の騎士のクレハさんと、剣を交えてきた。
何か特別なことをしたわけじゃない。
クレハさんの速い動きについていけるように、身体が自然と鍛えられた。
「では――成長したアルフォンス様に本気をお見せしましょう」
そう言うが早いか、ふわっと、クレハさんが宙に舞う。
あたしはとっても憂鬱だった。
「はあ……明日は久しぶりにクズフォンスに会いに行く日か」
親が勝手に決めた婚約。
オルセン家のためとは言え、あんなキモブタと結婚しないといけないなんで……
あまりの嫌悪感に、あたしはつい部屋の窓から下を見る。
「ここから飛び降りちゃおうかな。あたし」
ここは屋敷の二階だから、飛び降りてもせいぜい骨が折れる程度だけど、明日会わなくて済むならそれもいいかもしれない。
それほどまでにクズフォンスと会うのは気が重かった。
クズフォンスとは、すでに何度かお茶会をしているが、毎回鼻をフガフガさせて、気持ち悪い視線を送ってくるのだ。本当にキモすぎて、紅茶もクッキーも吐いてしまいそうになるくらい。
それに、今のあたしには気になる人が別にいる。
「水の魔術師様と、結婚できたらいいのに……」
一度、ガレオンの街に行った時、街の広場で、泣いている女の子がいた。
親とはぐれた迷子で、たぶんよその国からやってきた子。
よそ者に冷たいガレオンの人たちは、迷子がいても見て見ぬフリだった。
でも、そこに水の魔術師様は周りの目を気にすることなく、その子に近付いて、噴水からキレイな水玉を作って渡していた。
スライムみたいにぷにぷにする水玉をもらって、女の子は笑顔になった。
あんな高度な魔法を、涼しい顔で使うなんて!
「水の魔術師様、本当にイケメンだったなあ……」
通りかかった時に後ろ姿を少し見ただけだけど、銀色の髪に、すらっと高い背。
とても素敵な出で立ちだったな。
「あのキモブタも、髪だけは銀色なのよね……」
でも体型や性格はまったく違う。水の魔術師様の爪の垢を煎じて、ガブガブ飲ませてやりたいくらいだ。
「レギーネお嬢様。紅茶を淹れました」
メイドのセリアが部屋に入ってくる。
「ありがとう。ちょうど飲みたかったところだったの」
「ふふふ。レギーネお嬢様、また水の魔術師様のこと考えてましたね?」
セリアとは、あたしが生まれた時から一緒にいる。
「ち、違うわ……」
「うふふ。顔が真っ赤ですよ。恋してますね? 水の魔術師に」
身分は違うけど、まるで姉妹のようにからかい合うような関係だ。
あたしが気になっている水の魔術師というのは、ヴァリエ侯爵領で話題になっている謎のイケメン魔術師のことだ。
水魔法で領地中の水道を整備して回ったり、この前の女の子の時のように人助けをしているらしい。あっという間に女の子のファンができて、目撃情報があるとみんながヴァリエ領に押し寄せるようになったようだ。
「明日は、アルフォンス様とお茶会の日ですね」
「死ぬほど嫌よ。水の魔術師様と同じなのは『銀髪』なだけだし……」
「ヴァリエ侯爵家の近くで新しい目撃情報が出たみたいですよ」
「本当に?」
「ええ。もしかしたら水の魔術師に近付ける情報が手に入るかもしれませんね」
キモブタには会いたくないけど、水の魔術師様が近くにいる可能性があるなら行くしかない。
それだけが、あたしの楽しみだ。
「水の魔術師様と会えますように……!」
◇ ◇ ◇
「アルフォンス様、今日もレギーネ様が来ました」
「え? 三日連続だぞ?」
前まではかなり期間を空けて会っていたはずのレギーネが、なぜかここ最近頻繁に訪問してくる。
「でも話すことないしな……」
しかも俺に会いに来ても、彼女から言葉を発することはめったにない。
じっと虫を観察するみたいに俺を見るだけ。
正直言って、気味が悪いというか……
「何を考えてるのか、サッパリわからないんだよ」
「なるほど……私の予想では、レギーネ様はアルフォンス様に何か言いたいことがあるけど言い出せないという状況のように感じますね」
「うーん。何を言い淀んでるんだろう?」
婚約破棄の申し出だろうか?
クズな性格のアルフォンスがどんな反応をするか怖くて、なかなか言えないのかもしれない。
「とりあえず、今日は先約があるから会えないよ。冒険者ギルドで剣の鍛錬だ」
「け、剣の、たんれん……っ!!」
リコがふらっと倒れそうになる。
「リコッ! 危ない!」
俺は間一髪のところでリコを抱きとめた。
「ア、アルフォンス様が、剣を握るなんて……明日世界が終わるかも……」
長年アルフォンスの側にいたリコにとって、今のは卒倒するような発言だったのか。
「しかし、なんでまた剣を? 『剣は下賤な平民のもの』と言っていたじゃありませんか?」
たしかに『ドミナント・タクティクス』の世界では、魔法を使えるのは貴族のみのため、魔法を使えない平民は自ずと剣で戦うことになる。
だが主人公だけは、平民でありながら魔法を使うことができて、もちろん剣の腕も立つ。魔法も剣もどちらも天才で、その力で貴族たちを蹂躙していく。
もしシナリオ通りに進んだら、俺は学園で主人公に追放されるので、冒険者になって生きていくつもりだった。
冒険者の世界は強さがすべての実力主義。剣も魔法もどちらも使えた方がいい。
「少しでも強くなるためだよ。強くなって、ヴァリエ家の領民を守りたいんだ」
だが、貴族が冒険者を目指すのは野蛮だと言われているため、ここでは俺の本当の意図は隠しておく。
俺はリコに予め考えておいた理由を伝えた。
「とても立派ですね。ただ、最近のアルフォンス様は立派すぎて、どこか遠くへ行ってしまった気がしてちょっと寂しいというか……」
「寂しい?」
「いえっ! 今の言葉は忘れてください……」
なんだかレギーネだけでなく、リコの様子も最近変だな。
◇ ◇ ◇
リコに頼んでレギーネとのお茶会を断ってもらい、俺はガレオンの冒険者ギルドへ向かった。
この世界では、貴族は自らが冒険者を目指すことがほとんどない代わりに、自分の領地に冒険者ギルドを持っている。
表向きはギルドは独立した組織だが、実際には貴族から金銭的な援助を受けないと、ギルドは運営できない。要するに、貴族はギルドのケツモチみたいなものだ。
唯一の例外は、主人公が後に所属する『栄光の盾』と呼ばれるギルドだ。ここはSSランクの人間だけを集めた最高峰の組織で、貴族から一切の援助を受けずに活動している。
ギルドの訓練場に入って、俺は剣術を教えてくれる師匠を待っていた。
父親には、事前に師匠の手配を頼んでおいた。
「貴族が剣を振れるわけねえ」
「ヴァリエ侯爵のブタ息子じゃん」
「マジで邪魔だわ」
冒険者からは罵詈雑言が飛んでくる。
ここでもアルフォンスの悪評は広まっているのか。
それはさておき、父親はすごい師匠をつけてやると言っていたが、いったいどんなやつなのか。
「アルフォンス殿、待たせましたね」
「え? あなたはSランク剣聖の、クレハ・ハウエルさん……!」
桃色の髪を束ねた剣士が鳶色の瞳で、俺をまっすぐ見据える。
「あなたがヴァリエ侯爵の令息ですね。剣を習いたいとのことですが……」
明らかに不機嫌そうな声だ。最初から嫌われているらしい……
おそらく俺の父親に無理矢理雇われたのだろう。
クレハは主人公が学園を卒業した後、仲間になるキャラだ。
だからゲームのシナリオ通りなら、そもそもアルフォンスがクレハと出会うことは絶対にない。
そもそも自分の親を貴族に殺された過去を持つクレハにとって、権力を振りかざす貴族は憎むべき相手でもある。
つまり、アルフォンスはどストライクで嫌悪の対象。
「ギルドからの依頼で、あなたに剣を教えることになりました。早速ですが、あなたの実力を見せてもらいましょう」
クレハが訓練用の木剣を俺に差し出した。
その時、俺の耳元で――
「どうせ遊びでやっていることでしょうから、手加減してあげますよ……」
クレハがそう囁いた。
「違う。俺は、真剣に強くなりたいんだ――」
◇Side:クレハ◇
ギルドの依頼で仕方なく侯爵令息の剣の指導をすることになって数日、あたしは打ちひしがれていた。
「あたしの今までの努力っていったい……」
アルフォンス様の、圧倒的な才能に。
初日の手合わせこそ勝利したものの、その後の鍛錬のたびにアルフォンス様はどんどん強くなっている。
子どもの頃、無能貴族の魔法が暴走したせいで家族を殺されて以来、あたしは貴族の存在を嫌悪していた。
そして、残った妹のアイラを養うために冒険者になり、あたしはひたすら剣の腕を磨いてきた。
冷徹に任務をこなすあたしを『氷の姫騎士』なんて呼ぶ人もいる。嫌いな呼び名だけど。
いつしか『剣聖』と呼ばれるようになり、あたしのもとにたくさんの貴族や騎士が弟子になりたいと言って集まるようになった。
だけど、みんなすぐ音を上げる。あたしの指導が厳しすぎると言って。
だから今回の依頼者も数日かからず諦めると思っていた。
ヴァリエ家はギルドの支援者だから、ギルマスに頼まれて仕方なく引き受けただけだ。
でも、その思惑は外れた。
毎日、アルフォンス様は必ず鍛錬にやってくる。
あたしがどれだけ倒しても、剣を振り続ける。
そして何より――
「上達速度が尋常じゃない……っ!」
間合い、呼吸、体幹、目線、先読み……
一流の剣士のセンスをアルフォンス様は備えている。
ポテンシャルがすさまじい。
「圧倒的才能ね……」
たしかアルフォンス様は『キモブタ』『無能貴族』『ヴァリエ家の恥晒し』と言われるような人間だったはずなのに。
きっと今まで、誰もアルフォンス様の才能に気付いていなかったということなのだろうか。
王国一の金持ち貴族の家に生まれたから、今まで努力をする必要がなかっただけで、少しでもやる気を出したらここまで伸びるものなのか。
「才ある者が努力したら、そりゃすごいわよね……」
あと一年、いや、半年も鍛錬すれば、アルフォンス様はあたしを追い越してしまう。
「あたしを師匠って呼んでくれるのは、もってあと半年か……」
もしあたしが師匠でなくなったら、アルフォンス様とはお別れだ。
でも、これからのアルフォンス様の成長を見届けたい。
「もっとアルフォンス様と一緒にいるにはどうすれば……」
第三話 アルフォンス様に忠誠を誓います
「アルフォンス様……今日で家庭教師を辞めさせていただきます」
「えっ? どうして?」
授業が終わると、ロゼリア先生が突然辞職を申し出た。
「私がアルフォンス様に、教えられることがないからです……すでにアルフォンス様は、私の実力を遥かに超えてしまいました。辞職については、ヴァリエ侯爵様の承諾をいただいています」
俺に話す前に、辞職の意志を固めていたらしい。
「そんな……」
「来年、セプテリオン魔法学園に行けば、アルフォンス様のレベルに合った魔法をもっと学べます」
セプテリオン魔法学園――王都にある一流の魔法学園だ。
主人公とアルフォンスが出会う場所でもある。
「でも、俺はロゼリア先生ともっと……」
「……すみません。もう決めたんです」
「せめて新しい就職先を紹介させてください。父上に頼んでみます」
「ありがとうございます。アルフォンス様は紳士ですね」
『キモブタ侯爵令息』と呼ばれていたアルフォンスが、女性から紳士と言われる日が来るなんて……
うん。よくやったぞ。アルフォンス……って俺のことか。
「またアルフォンス様とお会いできましたら、その時は一緒に魔法の研究をしましょう」
「はい! ぜひっ!」
俺はロゼリア先生と握手した。
シナリオでは、ロゼリア先生はアルフォンスのセクハラとパワハラに耐えかねて自殺する展開だったけど、とりあえず、ひとつ破滅の未来を変えることができてよかった……
◇ ◇ ◇
翌日、ギルドの鍛錬場に俺は来ていた。
今日はクレハさんとの剣の鍛錬の日だ。
「アルフォンス様、手合わせ願います。いつもは教えながらですが、今日は真剣に」
クレハさんが剣を抜いた。
訓練用の木剣でなく、真剣での手合わせなんて初めてだ。
クレハさんの表情もいつになく真面目だった。なんとなくいつもと雰囲気が違う……
「わかりました。こちらこそお願いします」
俺も剣を抜く。
せめてカッコ悪い負け方だけは、しないようにしないとな……
「はあああああああああ……っ!」
クレハさんが踏み出して、突きを繰り出す。
俺の喉を狙っているように見せかけているが、これは――フェイクだ。
ガラ空きになった俺の胴へ、横薙ぎを喰わすための陽動。
……見える。クレハさんの剣と、思考が。
右の胴へ素早く迫る剣を、俺は自分の剣で受け止めた。
よし! このまま剣を下へいなせば――
「く……っ!」
クレハさんが足がもつれさせて、その身体がよろめく。
体勢を崩したクレハさんの肩へ、俺は剣を振り下ろして寸止めした。
「わたしが……負けた」
驚いた表情をしながら、クレハさんが床に手をつく。
いつの間にか訓練場の周りにいた冒険者のギャラリーがざわつく。
「マジかよ……氷の姫騎士が負けた!」
「何が起こったんだ? 全然見えなかったぞ……」
「あのクズ貴族が勝つなんて! し、信じられない!」
「アルフォンス様、見えたのですね?」
クレハさんは立ち上がりながら、俺に微笑む。
「……はい。見えました」
クレハさんが言っているのは、太刀筋のことだ。
さっき俺には、はっきりとそれが見えていた。
「アルフォンス様、あなたはわたしの剣を見切りました」
俺はこれまでの鍛錬の間、ずっとクレハさんを観察していた。
太刀筋だけじゃない。クレハさんの呼吸、視線、重心、手足の動き――
それらを目に焼きつけた後、寝る前に毎日、脳内で動きを再生する。
イメージトレーニングを続けていたら、最初は見えていなかったものが、徐々に見えるようになっていた。
「相手の動きを見切る目は、剣で最も大切なものです。それをこの短期間で習得できたアルフォンス様にはやはり才能があります」
とても嬉しそうな顔をして、俺の顔を見つめるクレハさん。
「次に大切なものは、反射神経。これはなかなか鍛えることができないはずですが……」
たとえ相手の動きが見えるようになっても、反応できなれば意味がない。
だが俺は、一流の騎士のクレハさんと、剣を交えてきた。
何か特別なことをしたわけじゃない。
クレハさんの速い動きについていけるように、身体が自然と鍛えられた。
「では――成長したアルフォンス様に本気をお見せしましょう」
そう言うが早いか、ふわっと、クレハさんが宙に舞う。
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どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
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