上 下
28 / 28
3章

盗賊退治を頼まれる

しおりを挟む
「あの、アルフォンス・フォン・ヴァリエさんですか……?」

 放課後。
 寮へ帰る途中に、女子学園生に呼び止められた。
 明るい茶色の髪に、大きな黒い瞳。
 華奢な身体がどこか儚げな印象を与える。

「そうですが」
「いきなりごめんなさい。あたしは、マリー・フォン・アルシュタイン準男爵令嬢。実は……ヴァリエさんにお願いがあるのです」

 バルト神殿跡ダンジョン攻略後、学園でよく人に声をかけられるようになった。
 だいたいは俺に頼みがあった。
 俺が神剣デュランダルをファウスト将軍から守ったことが学園新聞で書かれて、一緒にダンジョン攻略をしてほしいと言われるのだ。
 この世界の貴族は、ほとんどが冒険者の末裔だ。
 だから冒険者として活躍することは、貴族の最大の名誉となる。

「今までアルフォンス様をブタ貴族とバカにしていたくせに~~っ! アルフォンス様が活躍したら手のひらをくるっと返して……っ!」
「そうですよ! アルフォンスの実力を知ってから寄ってきても、もう遅いです……っ!」

 と、リコとセリスは学園生たちに怒っていたが、俺はダンジョン攻略を手伝っていた。
 人から頼られることは別に嫌いじゃなかった。
 
「もしかして……ダンジョンの攻略の誘い?」
「いえ……そうではなくて、あたしの領地のことで……」

 マリーが言うには、アルシュタイン準男爵領に盗賊が出没しているらしい。
 しかも盗賊たちは、領地のない少女たちを誘拐しているそうで……
 
 (盗賊撃退イベントか……)

 令嬢から盗賊撃退を頼まれる。
 原作のシナリオでもあった展開だ。
 だが……依頼してくるのはマリーではなくて別の令嬢だった……
 つまりマリーは、原作にいないキャラだ。

「ジーク・マインドさんにも依頼しているのです。ジークさんと一緒に、あたしの領地を助けてくれませんか……?」
「ジークと、一緒か――」

 盗賊撃退の依頼を受けるのは、もちろん主人公のジークだ。
 バルト神殿跡ダンジョンの攻略後、令嬢から依頼される。
 
 (これは原作のシナリオを戻すチャンスだ)

 このイベントでジークに活躍してもらえば、ジークにもっと注目が集まるだろう。
 それに、最後に魔王ゾロアークを倒せるのは、勇者の生まれ変わりであるジークだ。
 俺がどれだけ強くなっても……魔王ゾロアークを倒せない。
 勇者専用スキルを使わないと、魔王ゾロアークにダメージが通らない設定だ。
 ジークが魔王ゾロアークに負ければ、この世界は破滅することになる――

「わかりました。俺でよければ引き受けます」
「ありがとうございます! ではさっそく、我が領地へ来てください……!」

 マリーが深々と頭を下げた。
 原作と違う令嬢が依頼してきたのは気になるが……
 とりあえず行ってみるしかない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【応援よろしくお願いします!】

 「面白かった!」

 「続きが気になる、読みたい!」

 と思ったら

 下の「お気に入りに追加」から、作品への応援お願いいたします。

 ご感想もいただけると本当にうれしいです。

 「面白かった」「つまらなかった」など、一言のご感想でもとても嬉しいです……っ!

 「お気に入りに追加」の下にある「感想」を押すと、ご感想を入力できます。

 何卒よろしくお願いいたします!


↓「お気に入りに追加」をポチっと押してください!↓
 
しおりを挟む
感想 61

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(61件)

ポケっこ
2024.08.29 ポケっこ

あの〜関係ないんですけどタイトルと内容紹介のところが似ている方を見つけました。
サブアカだったりします?(すみません)

解除
龍夜mk.Ⅲ
2024.05.17 龍夜mk.Ⅲ
ネタバレ含む
水間ノボル🐳
2024.05.17 水間ノボル🐳

ご感想ありがとうございます!
最高に嬉しいです!

新たな所有者ですね笑

またご感想待ってます!

解除
Aliceheart
2024.05.09 Aliceheart

なんかもうジークくんが可哀想に見えてきたよ⋯笑笑

解除

あなたにおすすめの小説

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!

秋田ノ介
ファンタジー
 主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。  『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。  ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!! 小説家になろうにも掲載しています。  

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。