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3章
盗賊退治を頼まれる
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「あの、アルフォンス・フォン・ヴァリエさんですか……?」
放課後。
寮へ帰る途中に、女子学園生に呼び止められた。
明るい茶色の髪に、大きな黒い瞳。
華奢な身体がどこか儚げな印象を与える。
「そうですが」
「いきなりごめんなさい。あたしは、マリー・フォン・アルシュタイン準男爵令嬢。実は……ヴァリエさんにお願いがあるのです」
バルト神殿跡ダンジョン攻略後、学園でよく人に声をかけられるようになった。
だいたいは俺に頼みがあった。
俺が神剣デュランダルをファウスト将軍から守ったことが学園新聞で書かれて、一緒にダンジョン攻略をしてほしいと言われるのだ。
この世界の貴族は、ほとんどが冒険者の末裔だ。
だから冒険者として活躍することは、貴族の最大の名誉となる。
「今までアルフォンス様をブタ貴族とバカにしていたくせに~~っ! アルフォンス様が活躍したら手のひらをくるっと返して……っ!」
「そうですよ! アルフォンスの実力を知ってから寄ってきても、もう遅いです……っ!」
と、リコとセリスは学園生たちに怒っていたが、俺はダンジョン攻略を手伝っていた。
人から頼られることは別に嫌いじゃなかった。
「もしかして……ダンジョンの攻略の誘い?」
「いえ……そうではなくて、あたしの領地のことで……」
マリーが言うには、アルシュタイン準男爵領に盗賊が出没しているらしい。
しかも盗賊たちは、領地のない少女たちを誘拐しているそうで……
(盗賊撃退イベントか……)
令嬢から盗賊撃退を頼まれる。
原作のシナリオでもあった展開だ。
だが……依頼してくるのはマリーではなくて別の令嬢だった……
つまりマリーは、原作にいないキャラだ。
「ジーク・マインドさんにも依頼しているのです。ジークさんと一緒に、あたしの領地を助けてくれませんか……?」
「ジークと、一緒か――」
盗賊撃退の依頼を受けるのは、もちろん主人公のジークだ。
バルト神殿跡ダンジョンの攻略後、令嬢から依頼される。
(これは原作のシナリオを戻すチャンスだ)
このイベントでジークに活躍してもらえば、ジークにもっと注目が集まるだろう。
それに、最後に魔王ゾロアークを倒せるのは、勇者の生まれ変わりであるジークだ。
俺がどれだけ強くなっても……魔王ゾロアークを倒せない。
勇者専用スキルを使わないと、魔王ゾロアークにダメージが通らない設定だ。
ジークが魔王ゾロアークに負ければ、この世界は破滅することになる――
「わかりました。俺でよければ引き受けます」
「ありがとうございます! ではさっそく、我が領地へ来てください……!」
マリーが深々と頭を下げた。
原作と違う令嬢が依頼してきたのは気になるが……
とりあえず行ってみるしかない。
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バルト神殿跡ダンジョン攻略後、学園でよく人に声をかけられるようになった。
だいたいは俺に頼みがあった。
俺が神剣デュランダルをファウスト将軍から守ったことが学園新聞で書かれて、一緒にダンジョン攻略をしてほしいと言われるのだ。
この世界の貴族は、ほとんどが冒険者の末裔だ。
だから冒険者として活躍することは、貴族の最大の名誉となる。
「今までアルフォンス様をブタ貴族とバカにしていたくせに~~っ! アルフォンス様が活躍したら手のひらをくるっと返して……っ!」
「そうですよ! アルフォンスの実力を知ってから寄ってきても、もう遅いです……っ!」
と、リコとセリスは学園生たちに怒っていたが、俺はダンジョン攻略を手伝っていた。
人から頼られることは別に嫌いじゃなかった。
「もしかして……ダンジョンの攻略の誘い?」
「いえ……そうではなくて、あたしの領地のことで……」
マリーが言うには、アルシュタイン準男爵領に盗賊が出没しているらしい。
しかも盗賊たちは、領地のない少女たちを誘拐しているそうで……
(盗賊撃退イベントか……)
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だが……依頼してくるのはマリーではなくて別の令嬢だった……
つまりマリーは、原作にいないキャラだ。
「ジーク・マインドさんにも依頼しているのです。ジークさんと一緒に、あたしの領地を助けてくれませんか……?」
「ジークと、一緒か――」
盗賊撃退の依頼を受けるのは、もちろん主人公のジークだ。
バルト神殿跡ダンジョンの攻略後、令嬢から依頼される。
(これは原作のシナリオを戻すチャンスだ)
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それに、最後に魔王ゾロアークを倒せるのは、勇者の生まれ変わりであるジークだ。
俺がどれだけ強くなっても……魔王ゾロアークを倒せない。
勇者専用スキルを使わないと、魔王ゾロアークにダメージが通らない設定だ。
ジークが魔王ゾロアークに負ければ、この世界は破滅することになる――
「わかりました。俺でよければ引き受けます」
「ありがとうございます! ではさっそく、我が領地へ来てください……!」
マリーが深々と頭を下げた。
原作と違う令嬢が依頼してきたのは気になるが……
とりあえず行ってみるしかない。
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