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3章

俺のレギーネちゃんが汚された…… ジーク視点

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【ジーク視点】

 深夜――
 ギルドハウスの物置小屋。
 俺は、水晶に記録された映像を見ていた。
 レギーネちゃんのお風呂シーンだ。

 (やっぱりレギーネちゃんのお尻は素晴らしいな……)

 大きな桃尻。
 モミモミしてあげたいな……
 レギーネちゃんも、きっと俺に触ってほしいに違いない。

 しかし――

「レギーネちゃん……どうして俺を避けるんだ……?」

 帰還パーティー時、レギーネちゃんは俺を明らかに避けていた。
 まるでゴキブリを見るような目で、俺を見ていた。

 (アルフォンスの仕業だな……)

 全部、アルフォンスの洗脳魔法のせいだ。
 絶対に許せない……!

「俺がアルフォンスから救い出してやるからな」

 アルフォンスをブッ殺して、レギーネちゃんを解放する。
 他のヒロインたちもアルフォンスから取り返す。
 もちろん俺は「レギーネちゃん推し」だ。
 だけど、他の女の子ともイチャイチャしたい……っ!
 ドミナント・タクティクスは、もともとハーレムがコンセプトのエロゲだ。
 特定のヒロインのハーレムに入っても、他のヒロインたちとイチャイチャできる……

 (そこが刺さったんだよな)

 俺のハーレムを奪ったアルフォンスは、何度殺しても殺し足りない。

「殺す、殺す、殺す、アルフォンスを殺す……っ!」

 俺は主人公のジークだ。
 この世界の「正義」は――俺自身だ。
 何が「正義」で、何が「悪」かは、俺が決める。
 主人公は神。
 以上より、俺は神である。QED.(証明終わり)

「さて……今日のレギーネちゃんを見るか」

 水晶のチャンネルを「今日」に切り替える。

 (レギーネちゃんの可愛い寝顔を見ようかな♪)

 しかし水晶に映ったのは、誰もいないレギーネの部屋だった。

「あれ……? レギーネちゃんが自分の部屋にいない……?」

 おかしいぞ……
 まさか――アルフォンスに何されたのか?!
 原作の設定では、アルフォンスは女の子をいたぶるのが趣味だ。
 だからレギーネちゃんに酷いことをしてもおかしくない。
 実際、原作でアルフォンスは、レギーネちゃんに暴力を振るっていた。

 (そこからジークが救い出すのだよな……っ!)

「少し巻き戻してみるか……」

 俺は水晶の映像を巻き戻す。
 10分前に時間を戻すと、

「え……っ? レギーネちゃんがアルフォンスの部屋に……っ!」
 今、午前1時30分。
 そこから10分前だから、1時20分にレギーネちゃんはアルフォンスの部屋へ。

「まだ間に合う……っ! 俺がレギーネちゃんを助けるんだ!」

 俺は物置小屋を飛び出す。

 (やっと主人公らしいことができるぞ……っ!)

 アルフォンスがレギーネちゃんを犯している現場を押さえるのだ。
 アルフォンスをブッ殺す大義を得た……!
 心置きなく、アイツをボコれる。
 そして俺とレギーネちゃんは、結ばれるのだ。

「今助けに行くよ! 俺のレギーネちゃん……っ!」

 ★

「アルフォンスの部屋はここか……」

 ギルドハウスの2階。
 しかも南向きの角部屋だ。
 主人公の俺が裏庭の物置小屋で寝ているのに、モブ悪役のアルフォンスが一番いい部屋で寝てやがる。
 俺は拳を握りしめる。

 (マジでムカつくぜ……!)

 忍び足で、俺はドアに近づく。
 アルフォンスの隙をついて、腹をナイフで突き刺す。
 俺は毒蛾のナイフを鞘から引く抜く。
 息を殺しながら、静かにドアを少しだけ開けた。
 しかしそこには、
 信じられない光景が――

 (な、な、な、何だこれは……あり得ない……っ!)

 レギーネちゃんが……アルフォンスに抱き合っている……
 部屋の真ん中で、レギーネちゃんがアルフォンスに抱き着いている――
 アルフォンスが強引にレギーネちゃんに抱き着いた……わけじゃない。
 レギーネちゃんの横顔を見ればわかる。
 あれは……主人公とエッチする時に見せる表情だ。
 何度もゲームで見た、レギーネちゃんのエッチシーン。
 神絵師の手で描かれた、至高のアへ顔だ。

 (ウ、ウソだ……ウソだ、ウソだ、ウソだああああああ……っ!)

 俺は呆然とする。
 この世の終わりだ……
 あり得ない。
 絶対にあり得ない。
 俺のレギーネちゃんが、アルフォンスと――

 (……そうか。わかった)

 洗脳魔法だ。
 アルフォンスが洗脳魔法を使って、レギーネちゃんに抱き着かせているのだ。
 人形のようにレギーネちゃんを操って、ダッチワイフにしているんだ。

 (うん。そうだ。そうに違いない……っ!)

 鬼畜なアルフォンスがやりそうなことだ。

「……かわいそうなレギーネちゃん。今、正義の味方が助けてあげる」

 ガタ……っ!

 ドアノブに手が当たってしまった。

「誰だ……?」

 (ヤバい! アルフォンスに気付かれた……!)

 アルフォンスはチートコードを使って、無駄に強くなっている。
 だから正面からじゃ勝てないかも……
 いや、主人公の俺なら負けるわけないが、レギーネちゃんを人質に取られたらマズイ。
 卑劣で外道なアルフォンスなら、絶対にそうするに違いない。
 自分が生き残るためなら、容赦なくレギーネちゃんを殺すだろう……

 (アルフォンス……今回だけは見逃してやる。命拾いしたな……っ!)

 窓の外へ脱出した。

「……レギーネちゃんは、絶対に取り返すからな」
 

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