国王専属メイドは執行聖女 害なす者は天界でお幸せに

甘い秋空

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第四章 執行

27 目覚め

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「目が覚めたか?」

 国王の声だ……私の寝室で目が覚めた。


「アルテミス、優しい顔になったな」

 国王は、私の髪を撫でてくれた。


「今回の騒動は、叔父の軍事クーデターだ」

 公爵のクーデター……まさか、ここまで行動するとは思っていなかった。


「叔父が、指揮下にある護衛兵を動かした」

 護衛兵は敵だと思った方が良い。

「近衛兵には、同胞である護衛兵を倒さず、投降しろと事前に命令しておいた」

 近衛兵が素直に投降したのは、国王の命令があったからか。

「武力で勝る騎士団は、王宮の外だ」

 騎士団は、外からの攻撃に備え、王宮の外側の警備を担当している。

 護衛兵の武力と数によって、王宮は制圧されたということか。


「叔父の想定以上に動くとしたら、母だろう」

 どんな計画にも、想定外というものが生じる。

 おとなしく軟禁された元女王ならば、事前に何らかの対応策を考えているはずだ。


「私も、想定以上に動きます」

 ソロの戦士には、ソロとしての戦い方がある。

 まずは、元女王の作戦を知る必要がある。


「あと、こちらの弱点は王弟殿下が人質となることです。彼は?」

 彼が人質になると、思い切った反撃はできない。

「クロガネは大丈夫だろ、あれでも王族だ」

「だが、長期化すれば見つかる恐れがある」

 国王は、王弟殿下はどこかに隠れていると考えている。


「アルテミスの執務室へ移ろうか」

「はい、一度調べていますが、護衛兵が出入りしたので、罠が無いか執務室を調べます」

 私は口紅を塗り直し、国王は上着を肩にかけた。

 注意しながら、二人で執務室へと移動する。


 サイドボードの上に、置いた覚えのないカップの受け皿がある!


「爆弾!」

 間に合わない! 受け皿が爆発して、執務室の窓や扉が吹き飛んだ。


「やった、犯人を吹き飛ばしたぞ」

 扉の外から護衛兵が入ってきた。彼は護衛兵の隊長だ。

「これは、国王陛下のお召し物! 俺は国王を手にかけた、英雄だ!」

 国王が落とした上着を見て、護衛兵の隊長が笑い……
 壊れた窓から飛び降りた。


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