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第三章 闇属性による治癒

18 伯爵夫人

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「夫人は、闇属性での治癒を受けましたね?」

 王宮の応接室、金髪でブルーの瞳の伯爵夫人に、聞き取り調査への協力をお願いした。

 応接室は、会議が出来る程度の広さはあるが、天井の高さは執務室程度である。


 意外にも、伯爵夫人は、聞き取り調査に、素直に応じてくれた。

 しかし、さっきから、沈黙が続いている。


「なぜ闇属性での治癒魔法の治験者になったのですか?」

 光属性の治癒を進めていた伯爵の妻なのに、闇属性の治癒を受ける理由がない。


 伯爵夫人は真実を話そうかと悩んでいる様子だ。
 私を疑っているのだろうか。

「娘さんのためですか?」

 伯爵夫婦には、もうすぐ中等部に進む一人娘がいる。


「娘は、何も知りません!」

 自分は、いろいろと知っていると、白状した。


「娘のマーキュリーは、もうすぐ、光属性で、これまで以上の治癒魔法を組み上げようとしています。このことは、誰にも知られないようにしなければなりません」

 今の聖女以上の治癒が可能になれば、娘のマーキュリーさんが聖女となるだろう。

 それを、知られたくないとは……


「夫は、聖女が新しく開発した光属性の治癒に、欠陥があることを知っていました」

 衝撃的な告白だ。

「私は、欠陥のある光属性での治癒を受けましたが、夫に言われ、闇属性の治癒魔法で上書きしました」

 上書き? 欠陥は、闇属性の治癒魔法で消せるのか?


「光属性の治癒に欠陥があることを、裁判で証言して頂けますか?」

 夫人の証言があれば、裁判を有利に進めることができる。

 是が非でも証言が欲しい。


「夫の無念を晴らしたいのです。なんとしてでも、一矢報いたい」

 伯爵の無念を晴らす。これが夫人の行動理由だった。


「分かりました。伯爵の無念を晴らすことに協力すると、約束します」

「その欠陥は、どのようなものか、話して頂けますか?」


「バン!」突然、扉が開き、黒いカゲが飛び込んできた!

 あの傭兵だ!


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