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6-2話 第二王子バートへの想い

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「王宮は、第一王子様の浮気相手が押しかけ、大騒ぎです」

 屋敷の庭園で、本を読んでいた時です。
 ジジが、嬉しそうに報告してくれました。

 彼女は、今も私の側に仕えています。

 初等部に通わせたいのですが、ご両親から英才教育を受けて初等部以上の学力があると分かりました。

 そのため、新学期が始まってから、学園の中等部に通うことになっています。

 私は、婚約破棄の騒ぎが収まるまで、学園を休んでおり、今は自習中です。


「ケバ顔、巨乳、ロリ、熟女と、あらゆる分野の令嬢が押しかけ、しかも全て栗毛です」

 第一王子の裏の顔が、あばかれたようです。
 婚約破棄された私には、もうどうでも良いです。


「皆さん、第一王子様から求婚されたと主張して引かないのです」

「これは、一大スキャンダルです」

 ジジは初等部なら6年生の年齢なのに、この手の話には本当に嬉しそうです。


「ジジ、まだあるわよ」
 お母様も加わって来ました。

「もうひとつ、セレーナの不貞が、あばかれました」

「大物の貴族たちが、彼女に落とされており、養女にした伯爵の名前も上がっています」

「フランとお見合いが予定されていた侯爵、彼の名前もあるので、お見合いは断りました」

 セレーナ嬢は、おやじキラーだったようです。


「困ったことに、国王の名前も上がっており、王妃様がカンカンです」

「これらは極秘情報ですから、扱いには気をつけてね」

 お母様も、ジジも、なぜか嬉しそうです。
 血は争えません。


「王妃様が、神殿へ相談に行きました」

「これから、もう一波乱、起きますよ」

 お母様の情報網もすごいですが、考察力もすごいです。


「ところでフラン、第二王子のことを、どう思っているですか?」

「初めての婚約破棄なので落ち込んでいましたが、探していた栗毛少女が見つかったので、もう大丈夫だと思いますよ」

 第二王子も学園を休んでいます。

「そういう事じゃなくて、両想いなんでしょ、どうなの?」

「え!」
 言葉に詰まります。

「好きではありますが、恋かと言われると、自身がありません」

 正直、自分の気持ちが分かりません。


「第二王子の横に貴女が立った時、第二王子は、今以上、例えば国政を任せられるほど、力を発揮できると思いますか?」

 お母様が、深掘りしてきました。

「私が横に立てば、彼なら国政を任せられる人物になれると思います」

「じゃ、決まりね」
 え? お母様、何が決まったのですか?


「失礼します、奥様」
 執事長が声をかけてきました。

「ほら、フラン、執事が呼んでますよ」
「いえ、奥様はお母様です! 私は若奥様、ジジはお嬢様です」

「あらら、そうなのね。それで、どうしました執事長?」

 ジジが孫娘と分かってから、すっかり隠居気分になってますよ、お母様。

「第二王子様が屋敷を訪れると、先ぶれがありましたが、いかがいたしましょう」

 執事長が淡々と報告します。

「承知しましたと伝えて下さい」
「フラン、第二王子様がプロポーズに来るのかもよ」

 そんなわけないじゃない、でもプロポーズだったらどうしましょう。

 お母様のその一言で、屋敷中がソワソワし始めました。

   ◇

 でも、第二王子は、屋敷に手ぶらで来ました。

 真っ赤なバラの花束を期待していましたから、ガッカリです。

 なんで、私はガッカリしているんだろ。


 第二王子と庭園でお茶会をします。


「突然、どうしたのですか」

「王宮が大騒ぎで、居心地が悪い」

「では、学園の話でもしましょうか」

 私は、ジジを、呼びます。

 ジジを交えて、学園の噂話で盛り上がります。
 第二王子が、腹を抱えて笑っています。

 良かったです。


「第二王子様、私は、聖女にはならないと思います」

 勇気を出して、心に引っかかっていたことを話します。

 私の素養は、聖女に向いていません。


「俺は、フランが聖女だと思っている」

「聖女になるのは、たぶん、辺境伯の孫娘ティファニーです」

 第二王子は、国民が自分と聖女が結ばれることを望んでいることを、分かっています。

 とても苦しい思いです。


「その辺境伯の孫娘ティファニー様の話ですけど、第三王子カール様との仲が、恋に発展しそうなのです」

「「えー!」」

 第二王子と私が吹き飛ぶほどの、ジジの爆弾発言です。

 将来は聖女となるティファニーが、第二王子ではなく、第三王子と結ばれる! これまた、ややこしくなってきました。



(次回予告)
 聖女の素質が少ないフラン。次回は、婚約を発表する御前会議です。
 そこで、大荒れの展開に、、、

 カギを握る隣国の王妃が登場します。

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