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第四章 水曜
34 寝室での朝
しおりを挟む「チュンチュン」
小鳥が鳴いている……バルコニーに小鳥が集まっているようだ。
ここは王宮の王弟殿下の寝室だ。
昨晩、マーキュリーさんのマッサージが気持ち良くて、寝落ちした……と、いうのが表向きの理由だ。
昨晩、見えてしまったサクラの下着が、王弟殿下のビルダーパンツだった。なぜだろう?
それと、王弟殿下は聖女ハーレムを作ろうとして失敗し、侍女ハーレムに至ったのか?
さらに、元カノへの未練を断ち切れないのか?
考えても、考えても……最悪な結論にたどり着く。
サクラは、王弟殿下の新しい愛人であり、ハーレムの新メンバーだった……のか?
「おはようございます、フランソワーズ様。具合はいかがですか?」
夜勤だった侍女のマーキュリーさんが、私を心配してくれた。マーキュリーさんは、王弟殿下が作ったハーレムのボスかもしれない。
「大丈夫です。マッサージして頂き、ありがとうございました」
「いえ、フランソワーズ様は、日曜日から大変な出来事が続いており、さぞかし困惑されている事でしょう。心中お察しいたします」
日曜日の婚約契約のサインを第一王子から拒否されてから、様々なことが起きている。
「さぁ、朝の食事で、もっと元気をつけましょう。サクラ様も一緒ですよ」
サクラと朝食……サクラのビルダーパンツ姿が浮かび、彼女との接し方が分からない。これまでどおりに親友として、まともに顔を見れないかも。
「今日は、水曜なので、急いで学園に戻ります。制服はどこですか」
授業を受けている時は、余計なことを考えないですむ。学園に戻ろう、そうしよう。
「……それが、学園は休校になりました」
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「流行り病が急速に広まり、王都は高熱の患者で混乱しているため、国王陛下が外出禁止令を出しました」
マーキュリーさんの説明に驚がくする。これは王都の一大事だ。
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「王宮でも、病人が救護室に入りきらず、廊下に寝かしている状態です」
これは、のんびりと朝食を摂っている場合ではないでしょ。
「治癒魔法は?」
マーキュリーさんは珍しく困った顔をしている。彼女が困るほどの事態なのか!
「治癒魔法が使える者のほとんどは、上級貴族に仕えているので、一般貴族が働く王宮や、平民の王都全体にまでは、手が回りません」
悔しい。お金を持っている一部の人間だけが、治癒を受けられるのか。
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