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11.国王陛下と王妃の逝去

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 午後に、恐れていたことが起こりました。国王陛下と王妃が、息を引き取ったのです。


 国王陛下の寝室に、王妃を移し、最後は二人並んで休ませます。

 王弟殿下、第一王子、第二王子が集まり、今後を相談しています。

 私たち侍女は、花で二人を飾ったりと、忙しく手を動かしながら、王族からの指示を待ちます。


「父は、引き出しの中に、遺言書を用意していました」
 第一王子が話しました。

 王弟殿下が引き出しを確認し、手紙を手にします。

「ん?」
 封蝋に違和感があるようですが、開封しました。

「第一王子を国王に指名する内容だ」
 王弟殿下は感情を出さず、読み上げました。

 おかしいです。遺言書は、法に基づいて、貴族院に預けるのが決まりです。


 おかしい点は、まだあります。従者・侍女の情報網で飛び交う話をつなぎ合わせてます。

 その結果、第一王子と王妃は秘密裏に通じており、国王陛下がそれに気づいたという衝撃の推理が、浮かびあがります。

 ということは……まぁ、王族なんて、なんでもアリですから。

 だれが何をしようと、私が“王妃の侍女”という職を失う現実に、変わりはありません。もう、夫が残してくれた伯爵家は、終わりです。


 一段落して、廊下で飾り付けをしていると、第一王子が扉を開けて出てきました。

 私に気が付き、名刺を手渡してきました。

「美しいご婦人だ。今晩、僕の部屋に来なさい」

 自分の両親が亡くなったのですよ! なにを考えているんだ、この色ボケ王子は。


 たまたま近くを通りかかった、未亡人のメイドおばちゃんに、事情を話して、名刺を差し上げました。

 おばちゃんはノリノリで、第一王子に、ざまぁを仕掛けるそうです。

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