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一話完結:考えるな! 感じるアル! それが真実に至る道アル
しおりを挟む「第一王子様、どうかご無事で、、、」
「セカンリーベ嬢、帰ってきたら、正式に婚約しますので、待っていてくれ」
悲しい別れの日です。
伯爵家の令嬢である私は、幸運にも第一王子様との婚約が決まり、若草色の髪は輝き、しばらくは楽しい日々が続きました。
しかし、、、王国に魔物が迫ったため、王国軍による討伐が決まりました。
第一王子様は、王国軍の最高責任者として、前線に出ます。
◇
魔物の侵攻はこれまで以上に激しく、王国軍の被害は大きいとの噂が流れています。
「お嬢様、噂など気にせず、第一王子様のご無事を信じましょう」
メイドたちが元気付けてくれます。
「ありがとう、私は神を信じます」
神よ、婚約を目前にした私たちが何をしたというのでしょう、、、
第一王子様の安否を心配する耐えきれない毎日は、とても長く感じます。
気を紛らわすため、新しいダンス講師を雇いました。
「お嬢様、後ろ足はつま先立ちに構えて、瞬時にひねるアル」
「そうです、同時に腰を回転させるアル」
遠い東の国のダンスだそうです。
◇
「お嬢様、第一王子様の好きな白い薔薇をお屋敷にたくさん飾ってはどうでしょう」
「ありがとう、第一王子様が戻った時に、きっと喜んでくれますね」
ふさぎ込み、物にあたってしまう私を見かね、周囲の人達が気を使ってくれます。
でも、新しいダンスを習っている時間は、全てを忘れられます。
「お嬢様、前の手は自然に緩めて構え、瞬時に突き出すアル」
「考えるな! 感じるアル! それが真実に至る道アル」
「アチョー!」
練習用の板なら、素手で割れるようになりました。
◇
私の涙は枯れ、お屋敷に飾られた白い薔薇も昨日から元気がありません、、、
「大変ですお嬢様、第一王子様が突然見えられました!」
玄関ホールに、あの人が立っています。
「ご無事で帰還、なによりです」
私は、カーテシーで出迎えます。
「戻りました、セカンリーベ嬢」
第一王子様が、私をハグしてくれました。
身長は、私よりも頭ひとつ高いです。
「ありがとうございます。でも、お手がとても冷たいです」
貴方は無理して微笑んでくれます。
「貴方は、お優しいのですね」
ハグした腕が少し震えています。
「無理をなさらないで下さい。私には、もうわかっていますの」
ハグから開放されました。
「セカンリーベ嬢!、、、」
第一王子が一歩後退しました。
「貴方は、戦場で、どこかの女性騎士と結ばれたのですね」
昨日、密偵から手紙が届きました。
あなたの裏切り、、、戦場で他の女性と結婚式を挙げたのですね、、、
「アチョー!」
「グッ!」
新しいダンス、私の右ストレートが、第一王子のミゾオチに突き刺さりました。
飾った白いバラが、はじけて散ります。
第一王子がうずくまり、からだ中を走り回る地獄の苦しみに悶絶します。
「ざまぁ! この浮気者が!」
━━ fin ━━
あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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