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後日談
後日談その2「真夜中の情交」(2)★
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「本当は独り占めしたいところですが、構いませんよ」
ユスターが寝台に上ってくる。メーシャの顎に指をかけると、彼が口づけてきた。
「んっ」
ユスターの長い舌にメーシャの舌が搦め捕られる。
「アルフレッドは起きない。思いきり声を出しても大丈夫だ」
「それでは、私のほうももっと強くしてかまいませんね?」
「んむっ!」
花弁をなぞるだけだったギグフラムの指が、メーシャの中に入ってくる。すっかり熱くなったそこは彼の指を受け入れ、きゅうっとしめつけた。
「おや? メーシャの中、もうとろとろしていますね。すぐにでも挿れられそうです」
ギグフラムはメーシャの両膝を割り開くと、足の間に体を挟んでくる。しかし、すぐに挿入するでもなくユスターのほうを見た。
「ユスターはどうします?」
「俺はまだキスをしていたい。……ん……」
メーシャの体は彼らを同時に受け入れられるようになっている。前で、後ろで、この唇で、三人の夫を一緒に受け入れられるのだ。
だが、ユスターはまずはメーシャとの口づけを楽しみたいと言ってくれた。肉欲ではなく、一人の女性としてメーシャを欲してくれるのだと思うと嬉しくなる。
ユスターと舌を絡めあいながらうっとりと瞳を細めると、ギグフラムの硬くなったものが蜜口に押し当てられた。ぐっと、一気に奥まで突き挿れられる。
「んんんっ!」
メーシャはユスターとキスをしたまま、横目でギグフラムを見る。彼の深緑の瞳には嫉妬の色が入り混じっていた。
「……ふふ、そうです。私のこともちゃんと見て、感じてくださいね」
満足げに呟いたギグフラムが腰を穿ってくる。彼の太い楔がメーシャの隘路をぎちぎちと押し拡げながら、柔肉を蹂躙してきた。粘膜が擦れあい、得も言われぬ快楽が襲いかかってくる。
塞がれた唇の隙間から甘い嬌声がこぼれ落ちた。
「んっ! ……っむ、ん――!」
ユスターに唇を奪われながら、体はギグフラムと繋がっている。
(まるで、初めてした時みたい……)
三人の夫を持つメーシャは、彼ら二人とだけ交わることはない。情事の流れで二人だけと繋がっている瞬間はあれど、同じ寝台には必ずアルフレッドがいて、その様子は見られていた。
しかし、そのアルフレッドは寝ている。今この瞬間、メーシャの体はユスターとギグフラムだけのものになっているのだ。
初めての時みたいだと思うと、ひどく懐かしい気持ちになって、胸の奥に熱いものがこみ上げてくる。
「……っん、ん、んんっ!」
懐かしい記憶と今の自分を重ね合わせると、余計に感じてしまう。この体は彼らのものによく馴染み、彼らもまたメーシャが気持ちよくなれる部分を的確に刺激してきた。
「――っ!」
メーシャはユスターの髪をぎゅっと掴みながら達してしまう。痛いだろうに、彼はメーシャの手を振り払ったりはしなかった。
メーシャの内側はギグフラムのものを強くしめつけながら、ねだるように奥に向かって脈打つ。
「メーシャ……っ」
メーシャの反応に促されるようにギグフラムのものが打ち震えて、熱い白濁がたっぷりとメーシャの中を満たしてきた。残滓まで注いだ熱杭が引き抜かれると、入れ替わるようにユスターのものが入ってくる。
彼の長いものは、ギグフラムでは届かなかった部分をこつんと穿ってきた。
「あっ……、奥っ、ん……!」
絶頂の余韻が残る中、休む間もなく最奥に刺激を与えられる。ひくひくと震える蜜口は容赦なく穿たれた。
「ユスター……っ!」
惜しみなく快楽を与えられて溺れそうになる。嬌声を紡ぐ唇は今度はギグフラムに奪われた。肉厚な舌に唇をこじ開けられて、口内を余すことなく堪能される。
「んむ……っ、ん」
最初にした時は、ギグフラムがメーシャの処女を奪うからといって、キスをしてきたのはユスターだけだった。
でも、今はこうして彼ともキスができる。
(やっぱり、ギグフラムの厚めの唇はとても気持ちいいわ……)
メーシャはうっとりとしながら、彼と舌を絡め合った。そのたび、きゅうきゅうと体の中の雄杭をしめつける。
――その夜、彼らが同時にメーシャに入ってくることはなかった。代わる代わる求められて、交代でキスをする。
まるで、あの研修の頃に時が戻ったみたいだ。
二人の男に求められ続け、メーシャもまた彼らを求める。体だけではなく、心も満たされていった。
◆ ◆ ◆ ◆
――何者かの視線を、強く感じる。
「ん……」
暗かった部屋の中が、いつの間にか明るくなっている。メーシャが目を開けると、両隣にユスターとギグフラムが横になっていた。彼らの目は開いていて、メーシャよりも先に起きていたようだ。固めの寝台はギグフラムのもので、いつもと寝心地が違う。
(そういえば、あのままギグフラムの寝台で寝てしまったんだわ)
ぼんやりとしながら周囲を見渡すと、寝台の前で腕を組んだアルフレッドがすごい形相でメーシャを見ていた。眉間には深い皺が刻まれている。
「……! アルフレッド様!」
メーシャは飛び起きる。
もちろんメーシャは裸だ。同じ寝台に横たわっているユスターとギグフラムも裸であり、ここでなにが行われていたかは一目瞭然である。
「こ、これは、その……」
「なぜ、僕は寝てしまっていたのか……。君の声に気付かないほど、暢気に寝ていたなんて……」
アルフレッドはとても悔しそうだった。
「お前は最近、とても疲れていたみたいだからな。よく眠れたようだし、体調はいいだろう?」
ユスターがしれっと言う。アルフレッドを物理的な方法で眠りに落としたというのに、全然悪びれていないし、真実を伝えるつもりもないみたいだ。
「確かに疲れていたし、今はとても元気だ。しかし、僕だけがのけ者なんて……くそっ。せっかくの休日だというのに」
「アルフレッド様……」
「彼らと平等をきすためにも、今すぐメーシャを抱きたい! ……しかし、君も疲れているだろう。起きなかったのは僕の責任だし、朝から僕の相手をしろというのも酷な話だ」
「……っ!」
メーシャは目を瞠る。
王子である彼は、今までメーシャに無理強いをすることも多かった。メーシャに焦がれ続けた二年強の想いの強さのせいだろうが、離宮で彼に囚われていた時は毎晩彼に抱き潰されたものだ。
しかし、一妻多夫の結婚生活を送ることで彼もまた変わっていったのだろう。
医官であるユスターはメーシャの体を気遣うしってくれるし、従兄弟という関係だからか、王子であるアルフレッドに対しても物怖じすることなく注意する。
だから、アルフレッドも自分の欲をぶつけるだけでなく、こうしてメーシャのことを考えてくれるようになったのだ。
(なんだか、嬉しいわ……)
メーシャの心が震える。
気がつけば、メーシャはアルフレッドに向かって手を伸ばしていた。
「わたしは三人の夫を平等に接する責任があります。それに、そんな顔をしたアルフレッド様を放ってはおけません。アルフレッド様のことも大好きですから」
「メーシャ……!」
アルフレッドがぱっと表情を輝かせる。おもむろにメーシャを抱き上げて、自分の寝台へと歩き出した。
「いいのか? 本当にいいのか?」
「……はい」
「ああ、メーシャ! 我が最愛の人!」
歩きながら、ちゅっちゅっとキスを浴びせてくる。
(アルフレッド様も変わったわ。きっと、無理はしないはずよ)
メーシャは心の中で思うけれど、すぐにその考えが甘かったことに気付く。
――そう、メーシャは心を病んだ男を惑わせる凶相の持ち主。
メーシャの許しを得たアルフレッドは、その喜びもあってか箍が外れてしまったようだ。
「何回イかされた? 同じ回数だけイかないと、平等じゃないよね?」
そんなことを聞きながら、執拗にメーシャの体を求めてくる。
今日はせっかくの休日なのに、午前中は寝て過ごすことになってしまいそうだ。
――それでも、嫌ではない。
(ユスターとギグフラムも好き。でも、アルフレッド様のことだって大好きだもの……)
求められるのは嫌ではない。
凶相持ちの特徴か、メーシャはそれに応えられるだけの器を持っているのだ。
愛し、愛され、求め、求められて。
どこまでも深く幸せの海に溺れていく――
(後日談・完)
ユスターが寝台に上ってくる。メーシャの顎に指をかけると、彼が口づけてきた。
「んっ」
ユスターの長い舌にメーシャの舌が搦め捕られる。
「アルフレッドは起きない。思いきり声を出しても大丈夫だ」
「それでは、私のほうももっと強くしてかまいませんね?」
「んむっ!」
花弁をなぞるだけだったギグフラムの指が、メーシャの中に入ってくる。すっかり熱くなったそこは彼の指を受け入れ、きゅうっとしめつけた。
「おや? メーシャの中、もうとろとろしていますね。すぐにでも挿れられそうです」
ギグフラムはメーシャの両膝を割り開くと、足の間に体を挟んでくる。しかし、すぐに挿入するでもなくユスターのほうを見た。
「ユスターはどうします?」
「俺はまだキスをしていたい。……ん……」
メーシャの体は彼らを同時に受け入れられるようになっている。前で、後ろで、この唇で、三人の夫を一緒に受け入れられるのだ。
だが、ユスターはまずはメーシャとの口づけを楽しみたいと言ってくれた。肉欲ではなく、一人の女性としてメーシャを欲してくれるのだと思うと嬉しくなる。
ユスターと舌を絡めあいながらうっとりと瞳を細めると、ギグフラムの硬くなったものが蜜口に押し当てられた。ぐっと、一気に奥まで突き挿れられる。
「んんんっ!」
メーシャはユスターとキスをしたまま、横目でギグフラムを見る。彼の深緑の瞳には嫉妬の色が入り混じっていた。
「……ふふ、そうです。私のこともちゃんと見て、感じてくださいね」
満足げに呟いたギグフラムが腰を穿ってくる。彼の太い楔がメーシャの隘路をぎちぎちと押し拡げながら、柔肉を蹂躙してきた。粘膜が擦れあい、得も言われぬ快楽が襲いかかってくる。
塞がれた唇の隙間から甘い嬌声がこぼれ落ちた。
「んっ! ……っむ、ん――!」
ユスターに唇を奪われながら、体はギグフラムと繋がっている。
(まるで、初めてした時みたい……)
三人の夫を持つメーシャは、彼ら二人とだけ交わることはない。情事の流れで二人だけと繋がっている瞬間はあれど、同じ寝台には必ずアルフレッドがいて、その様子は見られていた。
しかし、そのアルフレッドは寝ている。今この瞬間、メーシャの体はユスターとギグフラムだけのものになっているのだ。
初めての時みたいだと思うと、ひどく懐かしい気持ちになって、胸の奥に熱いものがこみ上げてくる。
「……っん、ん、んんっ!」
懐かしい記憶と今の自分を重ね合わせると、余計に感じてしまう。この体は彼らのものによく馴染み、彼らもまたメーシャが気持ちよくなれる部分を的確に刺激してきた。
「――っ!」
メーシャはユスターの髪をぎゅっと掴みながら達してしまう。痛いだろうに、彼はメーシャの手を振り払ったりはしなかった。
メーシャの内側はギグフラムのものを強くしめつけながら、ねだるように奥に向かって脈打つ。
「メーシャ……っ」
メーシャの反応に促されるようにギグフラムのものが打ち震えて、熱い白濁がたっぷりとメーシャの中を満たしてきた。残滓まで注いだ熱杭が引き抜かれると、入れ替わるようにユスターのものが入ってくる。
彼の長いものは、ギグフラムでは届かなかった部分をこつんと穿ってきた。
「あっ……、奥っ、ん……!」
絶頂の余韻が残る中、休む間もなく最奥に刺激を与えられる。ひくひくと震える蜜口は容赦なく穿たれた。
「ユスター……っ!」
惜しみなく快楽を与えられて溺れそうになる。嬌声を紡ぐ唇は今度はギグフラムに奪われた。肉厚な舌に唇をこじ開けられて、口内を余すことなく堪能される。
「んむ……っ、ん」
最初にした時は、ギグフラムがメーシャの処女を奪うからといって、キスをしてきたのはユスターだけだった。
でも、今はこうして彼ともキスができる。
(やっぱり、ギグフラムの厚めの唇はとても気持ちいいわ……)
メーシャはうっとりとしながら、彼と舌を絡め合った。そのたび、きゅうきゅうと体の中の雄杭をしめつける。
――その夜、彼らが同時にメーシャに入ってくることはなかった。代わる代わる求められて、交代でキスをする。
まるで、あの研修の頃に時が戻ったみたいだ。
二人の男に求められ続け、メーシャもまた彼らを求める。体だけではなく、心も満たされていった。
◆ ◆ ◆ ◆
――何者かの視線を、強く感じる。
「ん……」
暗かった部屋の中が、いつの間にか明るくなっている。メーシャが目を開けると、両隣にユスターとギグフラムが横になっていた。彼らの目は開いていて、メーシャよりも先に起きていたようだ。固めの寝台はギグフラムのもので、いつもと寝心地が違う。
(そういえば、あのままギグフラムの寝台で寝てしまったんだわ)
ぼんやりとしながら周囲を見渡すと、寝台の前で腕を組んだアルフレッドがすごい形相でメーシャを見ていた。眉間には深い皺が刻まれている。
「……! アルフレッド様!」
メーシャは飛び起きる。
もちろんメーシャは裸だ。同じ寝台に横たわっているユスターとギグフラムも裸であり、ここでなにが行われていたかは一目瞭然である。
「こ、これは、その……」
「なぜ、僕は寝てしまっていたのか……。君の声に気付かないほど、暢気に寝ていたなんて……」
アルフレッドはとても悔しそうだった。
「お前は最近、とても疲れていたみたいだからな。よく眠れたようだし、体調はいいだろう?」
ユスターがしれっと言う。アルフレッドを物理的な方法で眠りに落としたというのに、全然悪びれていないし、真実を伝えるつもりもないみたいだ。
「確かに疲れていたし、今はとても元気だ。しかし、僕だけがのけ者なんて……くそっ。せっかくの休日だというのに」
「アルフレッド様……」
「彼らと平等をきすためにも、今すぐメーシャを抱きたい! ……しかし、君も疲れているだろう。起きなかったのは僕の責任だし、朝から僕の相手をしろというのも酷な話だ」
「……っ!」
メーシャは目を瞠る。
王子である彼は、今までメーシャに無理強いをすることも多かった。メーシャに焦がれ続けた二年強の想いの強さのせいだろうが、離宮で彼に囚われていた時は毎晩彼に抱き潰されたものだ。
しかし、一妻多夫の結婚生活を送ることで彼もまた変わっていったのだろう。
医官であるユスターはメーシャの体を気遣うしってくれるし、従兄弟という関係だからか、王子であるアルフレッドに対しても物怖じすることなく注意する。
だから、アルフレッドも自分の欲をぶつけるだけでなく、こうしてメーシャのことを考えてくれるようになったのだ。
(なんだか、嬉しいわ……)
メーシャの心が震える。
気がつけば、メーシャはアルフレッドに向かって手を伸ばしていた。
「わたしは三人の夫を平等に接する責任があります。それに、そんな顔をしたアルフレッド様を放ってはおけません。アルフレッド様のことも大好きですから」
「メーシャ……!」
アルフレッドがぱっと表情を輝かせる。おもむろにメーシャを抱き上げて、自分の寝台へと歩き出した。
「いいのか? 本当にいいのか?」
「……はい」
「ああ、メーシャ! 我が最愛の人!」
歩きながら、ちゅっちゅっとキスを浴びせてくる。
(アルフレッド様も変わったわ。きっと、無理はしないはずよ)
メーシャは心の中で思うけれど、すぐにその考えが甘かったことに気付く。
――そう、メーシャは心を病んだ男を惑わせる凶相の持ち主。
メーシャの許しを得たアルフレッドは、その喜びもあってか箍が外れてしまったようだ。
「何回イかされた? 同じ回数だけイかないと、平等じゃないよね?」
そんなことを聞きながら、執拗にメーシャの体を求めてくる。
今日はせっかくの休日なのに、午前中は寝て過ごすことになってしまいそうだ。
――それでも、嫌ではない。
(ユスターとギグフラムも好き。でも、アルフレッド様のことだって大好きだもの……)
求められるのは嫌ではない。
凶相持ちの特徴か、メーシャはそれに応えられるだけの器を持っているのだ。
愛し、愛され、求め、求められて。
どこまでも深く幸せの海に溺れていく――
(後日談・完)
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