星屑のメロウディーヴァ

ベアりんぐ

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episode"3"

episode3.8

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 館を出て、住民が指差す方向を見る。すると、明らかに人ではないものが住民達を拘束し始めていた。

ある建物は崩れ、ある建物からは煙が出ていた。サザンクロスはすぐに集落の広場に集まっている住民に呼びかけた。



「私の館へ避難しろ!早くだ、走れ!」



 その言葉は住民を動かし、一気に集落中から人の声が消えていく。

暴れるアンドロイド達に、既にルミナは動き出していた。



「は、はな……し、て……」

「//拘束。指定の位置に拉致//」

「離してっ!!」



 住民を拘束しているアンドロイドに、ルミナの強烈な蹴りが入る。それはアンドロイドのボディを貫き、機能停止まで追い込むほどの威力であった。

倒れるアンドロイドから住民を解放し、抱えてそのアンドロイドから離れる。やがてアンドロイドは爆発し、そのまま動くことはなかった。



「大丈夫ですか!?」

「……あそこに、あそこに……子供が居るんですっ!……助けて、くだ、さいっ……」



 助け出した女性が指差す場所に、瓦礫に挟まれて動けない子供がいる。女性を安全な場所に下ろし、刹那——、走り出す。

ルミナはすでに核融合の副産物である緑の光粒子を出している。そしてスターマイン解放による超駆動を発揮していた。

そこに、ハルが赤い光粒子を散らしながら向かって来た。ルミナに情報を伝える。



「ルミナ!アンドロイド数は4体!あなたが倒したヤツを除いてね!それと、恐らくMETSISがいるっ!私はあまり戦闘には向いてないから、あっちの三体とMETSIS、あなたに任せるわよ!」



 そう言うハルに、ルミナも答える。



「あそこに子供がいるんですっ!ハル、任せても良いですか?」

「任せなさい!それとあっちの一体はやっとく!任せるのはむしろ私の方……片付き次第、そっちに向かうから!」

「ありがとうございます!!」



 会話を終え、それぞれ目にも止まらぬ速度で駆けていく。

ルミナは集落を破壊するアンドロイドを見つけた。



「(一、ニ…‥三体!まとめて倒す!)」



 アンドロイドが破壊行動に勤しむ中、ルミナは標準を定め、狙い撃つ——。



「《人馬宮器:サテュロス》!!」



 風を纏って、強弓から放たれた三連の矢は、全てアンドロイドの動力炉がある胸部分を貫き、瞬く間に三体のアンドロイドが爆発四散した。

そして、ハルが言っていたMETSISを探す。爆風と爆音によって、視覚と聴覚が鈍った、その時——。



「ありがとう、これで僕の毒針、避けられないね——《天蠍宮器:アンタレス》」

「!!」



 鋭い針先が、ルミナを襲う。爆風と爆音の影響で、反応が遅れる。



「(くっ……間に合わない!!)」



 針先が、ルミナの四肢に四連。よろけながら、敵のMETSISと距離を取る。すると突然、ルミナの人工心肺が締め付けられるような心地になった。



「ぐっ……!」



 思わず立膝の姿勢になる。崩れたルミナの前に、METSISが近づく。



「僕、テレス。サダルの仲間だよ。サダルが苦戦したみたいだからちょっと身構えてたけど……箱も、毒には弱いみたいだね」

「……(毒……世界が、回る。だんだん、強、く……)」



 ふらふらになって立てなくなったルミナに再び、蠍のような尻尾の毒針を向ける。



「(この毒針、一撃受けただけでも即死級の毒なんだけど……しかも最後の五撃目、かわされた……まあ、これ刺して終わり、かな)……来てもらうよ、ニュイ・エトワレの箱っ!」

「《白羊宮器:ハマル》!!あなたの毒、向こうにさせていただきますっ!」

「……!ハル!」

「このっ……裏切り者がぁ!!」



 テレスがルミナに毒針を刺す直前、ハルの十二宮兵器の力によって、ルミナが解毒され、針を避けたのだ。

こうしてMETSIS三人が、集まる。



「……ハル、なんで箱と居るの?」



 この問いに、少し軽めにハルが返事する。



「別に誰と居ても良いじゃない。もう戦争は終わったのよ?私達を縛るものなんて、ないじゃない——」

「違うっ!!」



 テレスが叫ぶ。



「人間どもにやられたこと……し返さないでおくべきか!?違うだろっ!……なぜ君がそれに反抗しているんだ……!!」



 これに、ハルが答える。



「私は……いつまでも過去に、死人に、引っ張られたくないだけよ!はあぁ!!」



 地面を蹴り出し、テレスに打撃を繰り出す。尻尾でガードし、ハルの脇腹を足で狙うテレス。両者、譲らない。

そこに繰り出したのがルミナであった。他二人とは馬力が桁違いであるスターマイン解放による超駆動は、二人の視線を置き去りにし、その内テレスだけを一殴りで吹き飛ばす。

 吹き飛んだテレスはアンドロイド達が崩した建物にぶつかり、なお止まらず二軒目の建物にぶち当たった所で止まった。

 すでに、勝負はついていた。

 吹き飛ばしたテレスに、二人が近づく。見ると、先ほどの一撃で右腕と左脚が千切れ、頭から止めどなく血液が垂れ流れていた。

しかしアンドロイド、ということもあって生きているようだ。ハルが話しかける。



「……あなた達の戦争は、いつ終わるのよ?」



 血反吐を吐きながら、それに答える。



「……ハァ、僕らの戦、争は、……人類を、ねだ、や、し、うっゴホガハっ!……ハァ、するま、で……だ……」

「だったら、私が対抗する。そしてこの悲しみと怒りを持ったこの集落の人々が抵抗する。……戦争って、そういうものよ……?」



 ハルは憐れむようにして、戦友に答えた。





「やはりこの程度では無理なようだな……」





 突然超次元ホールが開き、テレスの元へと姿を現したのは——



「サ、ダル……がはぁ……」

「サダル……!」

「やあルミナ、久しいね。でもやはりその力は脅威だ。そして同時に、君が欲しい……」

「あなた、何しに来たのっ!?」

「何しに来た、とは愚問だな。回収に決まっている。……テレス、行くぞ」



 そう言ってボロボロのテレスを抱え、超次元ホールへと入ろうとする。



「逃しません!サダル!」

「ルミナ、そろそろ時間切れだ」



 突然、ルミナの体から力が抜けていく。ルミナは自分の身に何が起こっているのか、分かっていなかった。



「ルミナっ!?大丈夫!?」

「っ!!……力がっ……!」

「その超駆動、私達METSISの機動力を大幅に上回る力……オーバーヒートがあることに気づくんだな」

「ま、待てっ!!」

「またな、ルミナ、ハル」



 そう言ってサダルはテレスを抱え、超次元ホールへと消えてしまった。同時にホールも消えてしまった。
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