星屑のメロウディーヴァ

ベアりんぐ

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episode"3"

episode3.6

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 "ハル"が旅についていくことになり、そしてルミナ達も旅をしながらサダルへの対抗策をさらに練ることとなった。



「クラウドにクレス、それにタウリーとホープ、ね……うん、憶えたわ」

「アンタも研究させとくれ、ハル」

「私よりも、ルミナを研究したほうが良いわよ」

「ちぇっ……お堅い女だね」

「ほぼ初対面でこんなこと言う方が駄目だよクラウド……」

「全く最近のガキは堅いね!アタシゃおい先短いんだから……」

「あーはいはい、それもう何回も聞いたよ」

「きっ、通用しないか……!」

「あなた達、本当にサダルを止められるの?これで?」



 タウリーとクラウドのやり取りを見て、ため息と同時にそう言ったハルに、ルミナが言う。



「旅の途中に会話はつきもの、です」

「そ、そう……」

「それに、今向かっている場所まであとどれぐらい掛かるか分からん。それまでこうして行くのも、悪くないだろ?」

「……まあそうね。でも、警戒は怠らないで。サダルや他のアンドロイドがいつ来るかなんて、分からないんだから……!」



 変に張り切るハルを、ルミナとクレスが少し笑いながら見る。その後ろで歩きながら口論を続けるタウリーとクラウド。

そんな風に歩き、夜になったら収納庫で明かし、また朝に歩き出す。これをまた明日、また明日を今日に変えて歩く。

 そんな日々を過ごしていくうちに、中々ひらけた場所に出た。ずっと草木繁る道を歩いていたルミナ達にとって喜ばしいものだった。

汚染地からも離れ、ようやく安心して歩くことが出来る場所まで来た。そう安堵していると——。



「なぁ、あそこに何かないか?」



 クレスがそう言い、指差す。その先を見るとそこには、何やら建物が規則性をもって並んでいるのが見える。

それは今までの集落とは全く違う、今まで見たことのないような技術で建てられたとしか思えないものであった。



「あれが、ポラリス……?」

「みんな、きっとあれだよ!早く行こ!」



 走って行こうとするタウリーの首根っこを掴み、クラウドがタウリーを止める。



「待ちな。これでもしアタシらに危害を加えるようなヤツらだったら危ないだろ」

「……確かに。クラウドがまともなこと言ってる!」

「お黙り!!……さて、どうするか」

「でも、とりあえず行くしか他に方法なんてないんじゃ……?」



 そんなタウリーとクラウドのやり取りにハルが提案する。



「なら、私とルミナで先行しましょう。私達アンドロイドなら、人間相手に遅れはとりません。万が一攻撃された場合でもなんとかなるでしょう。他の三人とホープは、少し離れた所から私達を見ていてください」



 その提案にルミナも賛同し、他の三人も静かに頷く。

その後二人が先行し、段々その集落らしきものに近づいていく。その後ろを三人が物陰に隠れながら追いかける。

やがて集落の門らしき場所にたどり着いた二人は、その黒々しい門の二人の門番に止められた。



「待たれよ。お主ら、何者であるか」

「ここはポラリス。絶の集落であるということを聞いていない者か?」

「私達は旅をしている者です。シリウスの集落の長にここを聞き、訪れました」



 ルミナが嘘偽りなく言う。すると、門番が顔を見合わせその後こちらを見て、深々とお辞儀した。



「これは失礼いたしました。あなた達旅人が、我らが救世主"サザンクロス様"が予言していた者達なのですね」

「ただいまサザンクロス様の元へご案内します。こちらへ——そこに隠れているのは、あなた達の仲間ですか?」



 訳が分からないが、案内してもらえることを理解したハルが先に動いていた。

そして門番に、後ろにいる者達も仲間である、ということを伝えた。

それに気づいた三人は、二人の元へと駆け出す。そして門番に言われたことを三人に伝えた。ひとまず門番の案内に全員でついて行く。

 門をくぐる。入っていくとそこには、この荒廃した世界で独自の文化を形成してきたと一目で分かるほど、今までに見たことのない服を着た人々がいた。

門番が外部の者を案内するのが余程珍しいようで、黒々としたこの集落独自の家からどんどん人が出て来て見物しているようであった。

その目線に戸惑いながら、小さく会話をする。



「これは一体、何なの……」

「分かりません。何が、起こっているんでしょう?」

「入れたから良いけど……それにしても不思議な集落だねぇ……」

「全くアンタは呑気だねぇタウリー。危機感ってやつがないのかい?」

「(……他の集落とは全く違うな。一体どういう文化なんだろうか……)」



 そうこうしているうちに、門番二人がある大きな屋敷の前で立ち止まった。



「我々の案内はここまでです。ここから先、サザンクロス様がお待ちになっていることでしょう」

「ねぇ、予言と言っていたけれど、なんの予言なの?」



 ハルがそう言うと、もう一人の番人が鎧をガチャガチャ言わせながら首を横に振った。



「我々にはその詳細を知らされることはありません。が、サザンクロス様の予言が外れることは今まで一度もありませんでした。なので、我々も迷わずあなた達をここまで連れてくることが出来ているのです。それでは」



 そう言って敬礼し、また二人の門番は元来た道を歩いて行ってしまった。



「……どうしましょう、皆さん?」

「……入るしかないじゃない。どのみち引き下がれなさそうだし」

「予言が出来る人、一体どんな人なんだろう……?」

「かっー!予言ねぇ、胡散臭くて鼻が曲がりそうだよアタシゃ!」

「とにかく入るぞ。そうしなきゃ、先に進めないからな」



 そう言って、クレスが先行する。その後に四人と一匹がついていく形となった。

 屋敷の中は、至って普通だ。収納庫にあったような部屋と似たようなもの——



「これはまさかっ!?」

「そう、そのまさかですよ。旅人さん達。よくぞ来られた。約束の地、ポラリスの集落へ」



 何かに気がついたクラウドに声をかけた男がいた。その声する方に全員が目を向ける。

少し暗がりの中から、その暗闇には似合わない輝く長い金髪に、空を写したような青い瞳が登場した。



「この部屋、あなたが持っているであろう収納庫と同じような作りになっているのです——おっと、紹介が遅れました。私、この集落で長をしている"サザンクロス・アステリズム"と申します。この度はおいでいただき、ありがとうございます」



 その男は爽やかに笑い、お辞儀した。
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