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第1章 異世界転移

まさかの異世界転移!? 1

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 いつもの道、いつもの風景、いつもの学校。こんないつも通りの毎日に非日常が来ることはなく、一切は過ぎて行く。

 俺、原 孝太朗は、そんな毎日の中でも楽しみなことはある。それは、漫画や小説を読む時だ。

 物語のジャンルは関係なく、その中の人々や動物達は毎日を楽しそうに生きている。もちろん、辛い日々や悲しいときがあるけれども、それでも彼らは、俺たちが欲してやまない"特別感"を持っている。

 そんな日々を夢見て体を鍛えてみたり、コミュニケーションをとってみたりしたところで、レベルアップしたり、女の子の好感度が高まったりはしない。それでもやはり憧れを持って見てしまう。

 「ふぅ~、今回も面白かったな、"異世界転生 ~最強スキルで国家乗っ取り~"。」

 今見ていたのはいわゆる"異世界転生"を題材とした物語。突然謎の死を遂げた主人公が、異世界に転生し、最強スキルで国家の悪をバッサバッサと切り倒し、美少女たちや熱い仲間と共に他の国でも悪を倒していく物語だ。

 こんな風に転生でもして強い能力が手に入れば、そりゃこんな無茶苦茶な活躍するわ。

 キーンコーン、カーンコーン

 授業開始のチャイムが流れて、俺は慌てて今見ていた漫画をしまうと、代わりに剣と盾……ではなく、シャープペンシルとノートを取り出した。やることは魔物退治……ではなく、問題退治だ。

 どこかから退屈そうなあくびをしているのが聞こえた。

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 授業が終わり、帰りのSHRを済ませると、部活動に所属していない者は学校に残って友達と話をしたり、そそくさと帰ったりしていた。逆に部活動に所属する者は、慌ただしく教室を出て行き、すでにグラウンドには熱い空気が漂っていた。

 「俺も帰るかな。」

 必要最低限の荷物を持ち、席を立ち上がって教室を出る。すると、いつ隣のクラスからこちらの教室に来たのか、彼女が教室の扉の横で立っていた。

 「あっ、いたいた!孝太朗くん、"異世界転生 ~最強スキルで国家乗っ取り~"の最新話見た!?」

 「ああ、もちろん見た。もう最高だね、アレ。」

 「おっ!じゃあ今日も語りながら帰ります?」

 「多分1時間じゃ足りんけど?」

 「私多分3時間は話せるわ」

 こうして、いつもの帰路に、いつも通りの形でつく。

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 「やっぱあのシーンが印象的だよね!」

 「わかりみが深い。いやー沼ってきたね、大井さん」

 彼女の名前は大井 恵。俺と同じく2年生だ。

 明るめの茶髪で、肩につくかつかないぐらいに切り揃えられている。身長はそこそこ。中学までは陸上部だったらしく、スタイルは良い。

 学校では、俺とは違い毎日友達と楽しく生活しているようだ。成績も良く、顔もなかなかに端正な感じだ。きっとモテているだろう。

 そんな彼女とは1年の頃に知り合った。彼女が読んでいる本を俺が読んでいて、声をかけてくれた。そこからは意気投合し、一緒に帰りながら漫画や本を互いに語っている。

 「いや~今日も語り尽くしたね」

 「それな。俺も結構語った」

 「それある!ってもうこんなとこか~。孝太朗くん、こっから電車はすごいね」

 「まったくだぜ……これだから田舎者はよぉ~」

 「あ!それ新しくでたやつ!私も読んだよ!」

 「おっ、もうちょっと語れそうかな……ってアレ?あんな自販機あったっけ?」

 「……確かに。今日設置されたのかな?」

 それにしてもおかしい。まずデザインがいままで見てきた自販機とは違うのだ。また、売っている飲み物がまさかの1種類しかない。

 「"女神のサイダー"?」

 「なんか……異世界感を感じる……」

 「とりあえず、買ってみるか」

 一つ200円とかぼったくりもいいところだが、中身も気になったので、買うことにした。

 ボタンを押した後、意識がプツリと途切れてしまった。

 
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