現実主義者の異世界転移 〜転移高校生のレベルアップ生活〜

第0章 異世界の神様事情

神様の会議

　　　　　　　1

　私の名前はメガ！見習いの女神をやってます！

　今、私達が見守っている世界では、人間と魔物とその他の動物達が仲良く暮らしている……はずなんだけど、どうやらここ100年ぐらい、どうも人間と魔物の仲が良くないらしく、私達女神や色々な神様、天人が住んでいる"天界"にもどうやら悪影響が出ているらしく、今日は朝から会議にのせいで、みんな慌ただしくしている。

　「おいメガ！いつまで支度してるんだ！会議に遅れるぞ！」

　「待ってギガ姉さん！もうすぐ行く！」

　今私をどやしているのはギガ姉さん。

　女神を始めて結構経っているので、今ではベテラン女神だ。

　ここ最近、"地上界"のごたごたによってかなり疲弊しているらしく、目の下には大きなクマができていた。

　　　　　　　2

　自宅から"天界"の乗り物、"エアフォース"に乗って、走らせること約5分、"天界"の中心街である"サイズ"の会議場に着いた。やはり中心街なだけあって、天人や神様が溢れかえっていた。今日に限ってはそれだけが理由ではないけど。

　会議場の中に入ると、そこには数多の神様や女神、上流階級の天人がいた。もちろん、私の上司もいたので、挨拶をするため姉さんとは一旦別行動をすることにした。

　「ミンさん！おはようございます！」

　「……お～メガちゃ～ん、おはよ～」

　ミンさんは私の上司である女神だ。口調からわかるが、かなりのおっとりさんである。でもそこがかわいい！推せる！

　「メガちゃ～ん、今日の議題何か知ってる～？」

　「えっと、確か"異世界転移者"を誰がコッチの世界に呼ぶかって議題だったと思います。」

　「そっか～、じゃあ私達には関係ないね～、こんな下っ端にそんな重要な役は任せられないしね～。」

　「確かにそうですね……でも、姉さんならともかく、どうして私の様な女神もこの会議に呼ばれたんでしょう……？」

　「さあね～、でも事情がありそうだね～。」

　「気になります……あ、始まりますよ。」

　この時は知らなかった……あんなことになるなんて。

　　　　　　　3

　「それではこれより、天界会議をはじめる！今回の議題は、"異世界転移者"を誰が呼ぶのかということについてだ！」

　議長を務める神様が高らかに議題を言った所で、上級の神様や女神は、苦々しい表情をしていた。なぜだろう？

　「なお、このことについて、"天界"の経費が苦しくなっているため、給料は一切でません！」

　「なっ」
　どういうこと！？給料が出ないとなると話は別だ！そりゃ上の神様や女神はあんな顔するわ！

　私達女神や神様は、異世界との繋がりを持つとき、代償として一度"地上界"に動物として転生する。そしてそれは死ぬまで終わらない。死んでしまえば"天界"に元の姿で転生し、多額の給料がでるシステムなのだ。その給料が一切出ないとなると、誰もやりたがらないのは当然だ。

　一体だれがこんな仕事をするのか、それは多分だれもが思った。そう思った矢先、隣のミンさんがとんでもないことを言い出した。

　「はいは～い、メガちゃんがやりたいそうで～す」

　「……へ？」

　「そうか！そこの女神！やってくれるのか！」

　「……は？」

　「勇気ある者に拍手を！」
　
　パチパチ～、わーわー。
…………は？
「いやいやいや！？うそでしょ！？」
なんでこうなってるの！？ミンさん！どういうこと！？

　「ミンさん！？どういうこと！？」

　「前に～"地上界"に行きたい～っていってたから」

　「いやいやいや、これとそれは別でしょ！？」

　とんでもないことになってしまった。みんなもう帰り始めてるし、いまからやっぱり出来ませんなんて恐ろしくて言えない！

　「メガ、頑張れよ」

　「姉さん！そんな憐れみの目でみないでぇー！」

　こうして、わたくしメガは、異世界転移者を呼ぶことになってしまった。