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第三章 血族と信仰
夢の中のかけら
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気がつくと俺は、夢の中で目を覚ましていた。夢の中で目を覚ます、という状況に異常さを感じていたがそれ以上に、その状態に安堵感を覚えている自分に疑問が生じた。
しかしその疑問には、すぐに解が出た。
「ここ……神化世界か?」
周りには本棚や本がずっしりと並び、どこまでも続く大図書館のような空間が広がっていた。そしてその光景は紛れもない、自分自身の世界だと悟った。
でもなぜ神化世界にいるんだ?自分が望んで入ったわけでもないのに……
ひとまず俺は、管理者を探すことにした。俺の神化世界ならば、前に見た姿の管理者がいるはずだ。何故ここに俺が来てしまっているのか。理由を聞く必要がある。
しばらく歩いていたが、どうにも管理者が見当たらない。前に来た時はこの永遠広がる世界のすぐ近くに現れていたので、今回も近くにいると思っていたがいない。気づけば俺は、最初にいた場所に戻ってきてしまっていた。
「おかしい……」
管理者が居ないこともそうだが、一番は"目覚めない"ことだ。もしこれが夢であれば、もう覚めてもおかしくない。それに何度現実世界に戻ろうと意識しても、一向に戻る気配がない。
もしかするとここは、俺の神化世界ではないのでは……?
「コウ、スケ…」
「!?誰だ!」
後ろから声が聞こえ、そう言いながら振り返るとそこには、今にも消えそうな少女が居た。綺麗な黒髪に凛とした黒眼。かなり痩せ細っていたがしっかりとした軸のようなものを感じさせる雰囲気があった。
そして"消えそう"というのは比喩ではなく物質的に消えそうになっている。彼女の後ろにあるはずの本棚が見えているのがその証拠だ。
彼女はこちらにゆっくりと近づきながら、ずっと何かを言っていた。
「マダ、マダ……ソノトキジャナイ…」
「君は、一体…誰なんだ?」
「……マダ、マダ……ソノトキジャナイ…」
彼女はそう言いながら、俺の質問を無視してこちらに近づく。
そしてもうすぐ当たりそうな距離まで近づくと一度立ち止まり、こちらを見てからまた歩き出す。当たることなくその体は俺の体をすり抜け、そして歩いていった。
少女は振り返ることなく、歩いていく先で姿を消した。俺はただ呆然として立っていただけだった。
気づけば俺は、いつも通りの朝を迎えていた。
いつもと同じ時間に家を出て、いつも通り学校へと行く。
一体、彼女は何者だったのだろう?今日榊の所に行ったら相談した方が良いだろう。
そんなことを考えながら、俺は校門をくぐった。
しかしその疑問には、すぐに解が出た。
「ここ……神化世界か?」
周りには本棚や本がずっしりと並び、どこまでも続く大図書館のような空間が広がっていた。そしてその光景は紛れもない、自分自身の世界だと悟った。
でもなぜ神化世界にいるんだ?自分が望んで入ったわけでもないのに……
ひとまず俺は、管理者を探すことにした。俺の神化世界ならば、前に見た姿の管理者がいるはずだ。何故ここに俺が来てしまっているのか。理由を聞く必要がある。
しばらく歩いていたが、どうにも管理者が見当たらない。前に来た時はこの永遠広がる世界のすぐ近くに現れていたので、今回も近くにいると思っていたがいない。気づけば俺は、最初にいた場所に戻ってきてしまっていた。
「おかしい……」
管理者が居ないこともそうだが、一番は"目覚めない"ことだ。もしこれが夢であれば、もう覚めてもおかしくない。それに何度現実世界に戻ろうと意識しても、一向に戻る気配がない。
もしかするとここは、俺の神化世界ではないのでは……?
「コウ、スケ…」
「!?誰だ!」
後ろから声が聞こえ、そう言いながら振り返るとそこには、今にも消えそうな少女が居た。綺麗な黒髪に凛とした黒眼。かなり痩せ細っていたがしっかりとした軸のようなものを感じさせる雰囲気があった。
そして"消えそう"というのは比喩ではなく物質的に消えそうになっている。彼女の後ろにあるはずの本棚が見えているのがその証拠だ。
彼女はこちらにゆっくりと近づきながら、ずっと何かを言っていた。
「マダ、マダ……ソノトキジャナイ…」
「君は、一体…誰なんだ?」
「……マダ、マダ……ソノトキジャナイ…」
彼女はそう言いながら、俺の質問を無視してこちらに近づく。
そしてもうすぐ当たりそうな距離まで近づくと一度立ち止まり、こちらを見てからまた歩き出す。当たることなくその体は俺の体をすり抜け、そして歩いていった。
少女は振り返ることなく、歩いていく先で姿を消した。俺はただ呆然として立っていただけだった。
気づけば俺は、いつも通りの朝を迎えていた。
いつもと同じ時間に家を出て、いつも通り学校へと行く。
一体、彼女は何者だったのだろう?今日榊の所に行ったら相談した方が良いだろう。
そんなことを考えながら、俺は校門をくぐった。
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