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暴かれし藪蘭 2
しおりを挟む「……は?」
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最初、なにを言っているのかと思った。アイツに秘密もクソもない、と。
だが、さっき見た。アイツの秘密がアレなのだとしたら、噂だとしたら。提供者がクサイと考えてもおかしくない。
まだアイツのアレが本当かどうかはわからない。もしそうだとしても、アイツがみんなに知られたくないなら。
俺が、吉田祐樹の親友としてできることは。俺が見たものは言わないほうが良いだろう。
その後、二人とはこれからどうやって祐樹の秘密を見つけるのかを話し合っていたが、俺は心ここに在らずの状態であり、話の内容はまるで頭に入ってこなかった。
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「……真也、真也!」
「…ん!?な、なんだよ」
「さっきからボーっとしてどしたの?なんかあった?」
「いいや、何も」
どうやら相当考え込んでいたらしい。今は彩芽と帰っている最中だ。
「真也はさ、祐樹くんの秘密ってなんだと思う?」
「さあな、検討もつかないよ」
本当は知っている。まだ断定するには早いがおそらくアレだろう。
きっと秘密を持つやつなんて珍しくもなんともない。彩芽だって一つや二つぐらい秘密を抱えているだろう。
そもそもなぜ松宮は秘密を暴こうとしているのか?あいつは何を考えているんだ?
秘密を調べることは部活のことであり、俺の秘密の保持にも直結することだから辞めるわけにはいかない。
だがあいつの考えていることがわからない限り、祐樹の秘密を伝えるわけにはいかない。
とりあえず調べるふりをしよう。そして俺は松宮の秘密を調べよう。
そんなことを考えながら帰宅し、家に着いた時、俺のスマホが震えた。
画面に浮き出た文字を見て視線を逸らし、もう一度見た。
そこには吉田祐樹の名前があった。
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